第10話 シーベルの「花の歌」
文字数 1,410文字
第3幕 第1場
ここはマルグリートの住む家の前。
家には小さなドアや窓があり、その前に木々が生い茂っています。
シーベルがそっと入ってきて、バラやリラの花が咲く茂みで立ち止まります。
ここからシーベルによるカヴァティーナ(アリアよりも単純な形式による独唱曲)「花の歌(伝えておくれ僕の告白を)」です。
そうかもね(笑)。『ファウスト』の「花の歌」は、少年シーベルの純情さが出ていてちょっと可愛らしい雰囲気。グノーの優しさがあふれている印象です。
ちなみに『カルメン』を作曲したビゼーは、グノーの弟子の一人。ビゼーは粗野で荒っぽく、あちこちで問題を起こしていたので、温厚なグノー先生は常に心配していたらしいよ
シーベルはマルグリートに捧げようと一輪の花を摘みますが、たちまちしぼんでしまいます。
先日のメフィストが告げた通りです。
絶望的な気持ちになったシーベル。
でもすぐに解決方法を思いつきます。聖水に指を浸せば、悪魔の呪いも解けるのでは?
幸いマルグリートが毎晩お祈りをしているお陰で、すぐそこに聖水があります。シーベルは早速試してみることに。
第2場
シーベルが花摘みのために一旦姿を消すと、反対側からファウストとメフィストが現れます。
ファウストとメフィストが木立に隠れると、花束を手にしたシーベルが戻って来ます。
花束を戸口にかけ、嬉しそうに出ていくシーベル。
こっちではメフィストが舌打ちしています。
ファウストに向き合い、メフィストはある策略を告げます。
ファウストはやや不機嫌。悪魔の手引きで清らかな彼女を誘惑することに、いささかの躊躇を覚えているのです。
メフィストはファウストを残して出ていきます。