証木　悟

「　そうか、出向という形で　」

「　その量子技術でアメリカに太刀打ちできると？　」

「　私たちはじり貧にまでおいつめられているのです　」

「　クローン生物学とは全く違う技術ですが日本を米に売った月葉以上に頭の回る天才です。彼と同じです、数理学を駆使しコンピュータでは異端のイメージフラッシュを扱います　」

政治家与党の今は若手と言われる４９歳の選挙では４期当選の男、友世　文史が。

政府の文部科学省参与と防衛省制服組（　いわゆる陸海空の特別職国家公務員自衛官の通称　）と会話していた。

友世が

「　月葉を上回る異常者なのか　」

「　やれます。証木　悟の実験はドイツで行なわれます　」

「　ノア・ミュラー首相からの打診です　」

そのノア・ミュラーの写真が報告書とともにあった。

太っていたし若くはない。

ドイツ政党中道右派の男であり。

フランスの極右派の女性党首アガット・デュボアとの関係が報告書に並んでいた。

フランスとドイツは対立どころか歴史上険悪を繰りかえしており。

共同を組む戦線の報告書。

それほどにアメリカ一強の事態へ畏怖していた。

チェンバーシステムとバイオ技術には危機感を持った事は当然といえるだろう。

バイオ誕生の真相はフランス対外治安総局（　ＤＧＳＥ　）、ドイツ連邦情報庁（　ＢＮＤ　）が掴んでいるしその対策も立案していた。