フランス空港

彼氏と会話していた。

「　それで？　」

「　やっぱり、わからないよね　」

崔　余北が言う

「　わけが分からない。付き合う事がもうできないって　」

アジアユーロビート音楽がかかっている。彼が音楽を出ていたこだわりのあったＱＱ音乐という中国ダウンロードサイトにドラムが響く部屋で話が挟まれる。

高層ビルから可能が出口の自動ドアから出た。

崔には一度も鬼を使う事は無かったイヤ使う事もあったがそれには中国国営憑依組織の許可が必要ではある、彼が他国との関係があるかどうかが判断され可能に組織背景は読まれてはいた。

彼の信頼スコアも高いが沙　可能ほどではないものの中国人の女性としてビジネス上それ以上も読むべきかもしれなかったが躊躇した。


フランス、パリからイギリスへ向かうシャルル・ド・ゴール空港ターミナル通路


人ごみの中

紫乃はビジネススーツ姿だった部下男女の中、頭に悪寒が走ったと同時に戦場で鍛えられた野生の感か。

ひざを折り曲げ体ごと沈ませた、頭の上に弾頭を欠けさせた弾丸は虚しく通過したその代わりに男の部下の首が血とともにもげた。

通路ガラスが割れる。

先端の欠けたバランスの無い弾頭が再度、照準を変えそれでも紫乃の動きに追いつく。「　何？　」瞬間、人ごみの中で体勢を立て直す為に体ごと回転させていく紫乃の動きに追い付いたように紫乃の肩に着弾した。

―　くっ　―

それでも血が出るより先に黒い炎に紫乃が包まれる。

可能だった、訓練を受けたとはいえ戦争をくぐった兵士との差が出た。

ＶＩＰ別ゲートをなぜ利用しないのか。それが他人数いる観光客とまぎれる方が安全でなおかつ人間の盾として周囲を利用できた為だ。

しかしそれを乗り越える人物がいた。

憑依グループから脱退していたものの組織上でありバックアップは受け続けている。

表面上なんらかの形で公になったとしても憑依グループとは関係は無いそれでも紫乃の暗殺を目的にしているのは同じだ。

「　紫乃！！　」

周囲にいるそれでも単にビジネス上の部下で兵隊では無い。

それでも目を大きく開け白人の男女は身をふせた。平和な国とは違いテロがある国であって危険な状況には対応できた。

周囲の人間もようやく銃撃に気づきそれでも騒ぎが起きた程度だった。



数人いた紫乃の男女の部下は頭部、左胸を沙　可能の銃撃によってえぐられ死亡している。

周囲の観光客を巻き添えにしかねない判断だったが可能にとってはすべての倫理的、人道上を捨てていた。

それは紫乃に人間性が近づく道だったが。