月葉と可能

月葉の内心　―　この子どもまるで娘のような気がするんだが、何故だろう。他人の様な気がしない　―

―　そうか自ら生み出した事からの肉体へ親近感、か。ならば　―

「　おい可能、どこにも出ていく予定がなければここにいていいんだぞ　」

可能が驚いたような顔で。

「　なに？らしくないわよ。女の子をナンパした次はあたしを抱くつもりなの？　」

月葉の頭の中にもたげた渇望はそんな性欲では無かった。どちらかと言えば妻と別れまさに寂しさを。

「　いや、いいんだそのつもりが無いなら　」

可能が微笑む。

「　本当は、、、。どこにもいく当てがないの。このまま関係のない人達を巻き添えにするわけにもいかないし　」

嘘だった。

心の中に人への同情がまるで無いのが本心ではある。

月葉　甲斐がなぜそんな提案を持ちかけてくるのか本音が知りたいのがあった。

久しぶりに人の心が読めないことで人間としていられるのではないか？

そんな思いはある。

可能も白米を食いながらそして温かい食事を用意している月葉を見て謎に好意があった。それはあくまで父親のような感覚ではあって。

二人の感情は一致した。



「　うわぁぁぁぁ！！　」

可能の叫び声。人を殺した緊張の解けている時への後悔がわき上がっている。フラシュバック過去の人としての違い人間として倫理が耐えられなかった。

夜中

自分が軽く丁度良く軽い横になれ睡眠のとれるほどのソファ

寒い中ではあったけれども軽いブランケットをわし掴んで声を上げていた。

寝ている月葉が起きた。

―　なんだ？　―

それでもさらに彼女は涙を流して叫ぶ。

月葉が気づいて。

「　―　過去へ回帰しているのか　―　」

月葉は大足で近寄る。

そして

ブランケットごと彼女を抱き締める。

頭をなでながら「　大丈夫　」

月葉にとっても何が言いたいのか分からなかったけれども。

それでも「　大丈夫　」

さらに叫び声の上がる可能を抱きとめ強くともいえない手でなで続けていた。


翌朝の土曜日

可能が涙の後を残していたがその顔でも軽い睡眠が取れるほど落ち着いている。

今度は女としてではないが眠る月葉の顔を見ながら自分の膝の上にある彼の頭を逆になでていた。

近くのスーパーマーケット

月葉の金であるが可能が服を選んでいて紺に近いフルダウンジャケットを見て。

フランスの中でも別段に高級店では無い

「　このダウンジャケットどうかな？　」

月葉を仰ぎ見ていてそれでも楽しい時間を過ごしている。

「　いいんじゃねえか　」

可能が思わず笑い声を上げて。

「　月葉がこまってる。あははは　」



「　つぎはレストランと食事の買い出しにいこ！　」

今までの孤独な人生の瞬間との落差に可能は思わず笑えた。