侵略する炎
文字数 1,107文字
王の間
改めて、テロリスト殲滅会議を始める！兵の緊急配置は？
完了している！
物資需供計画は？
財務大臣が勧めております
国民への情報開示レベルは？
現状だとマニュアル通り「西国スパイによる破壊活動の恐れあり。信憑性なき情報に惑わされる事なかれ」がよろしいかと。
うむ…。手際が良すぎてやることがないな。この国は民に恵まれておる。
私達はテーブルに広げられた東国の地図を無言で見つめる。
（焦れったい。国内の情報を集めに行った兵が戻ってくるのを待つことしかできない）
待つことも戦です。お茶でも淹れてきましょう。
キーヤンス。成長したな
お茶を飲みすぎるとトイレが近くなりますよ…。これもオージスさんの言葉です。
（……。これは言ってみただけだな）
私がお茶と何か食べ物を取ってきましょう
椅子から腰を上げたその時、伝達兵が駆け込んできた。
伝達兵
「伝令！オルアナA地区の報告！
第一地区、異常なし。
第二地区、人型の獣が出たとの噂あり！
人型の獣か。赤だな
シルバは、地図上の第二地区に赤い針をさす。
針の色によって、国内で何が起こっているのかは一目瞭然だ。
赤い針は、テロリストに関すると思われる報告があった地区。
黄色い針は、テロリストには関係はないが、懸念事項があった地区。
青い針は、異常なしだ。
オルアナA地区でも赤…。
オルアナA地区は、テロが起きた古都テナンと王都との中心に位置する。
こんな位置まで猫耳少女の噂が流れているのだ。
（メイヤが襲われてから私が発見するまで、最大3時間半の空白の時間がある。
その間にメイヤを見た人から噂が広がったと考えるのが自然だけど…。噂が広がるのはこんなにも早いの？）
テロリストが情報を広げてんじゃねぇのか？
……目的がわからない
喧嘩はビビった方が負けなんだよ！
つまり恐怖そのものが目的？
国中を混乱させる事が狙いだとすると、長期戦も覚悟せねばならぬか。
地図が針で埋まるまで、交代で休むように。
ーーー
遠方の地区にも針が刺さっていき、近場の地区の針は都度更新された。
そして、朝日が室内を照らす頃。地図の八割に針が刺さっていた。
王都に赤い針が刺さってるじゃねぇか！
見事だな。
道が整備されている街。人の行き来が盛んな箇所は、噂が広がるのが早いのがわかる。
良くも悪くも、王都への情報伝達速度は早いということか
ただ、情報の精度も落ちるようです。
「猫になる感染病が広がっている。」「コルジア家は化物一家だった。」と言うものもあります。
しかし、わからぬな。夜の間に何故噂が広がったのか。
テロリストが情報を広げてんだよ！
そうだとしても謎は残る…。
国民を恐怖に陥れることが目的ならば、なぜオージスさんが死んだという噂が一件も流れていないのか。
