VS エステラ
文字数 1,973文字
彼自身驚いた。無意識だが馴染みのある運動で避けた。
日課として繰り返していた腰振りだ。
ルーティンワークが彼を平常心に引き戻す。
思考は冷静さを取り戻し、全身の血が熱く巡るのを感じる。
エステラは彼を追って部屋を飛び出す。と同時に伏せた。
バシッ!
右手から襲ってきた鞭が彼女の頭上の壁を打つ。
逃げたと見せかけてのベルトによる待ち伏せ攻撃。
不意を付いたがかわされた。自力が違うということか。
ずり落ちたズボンに脚が取られて転ぶ。自身の脱衣スキルの低さを嘆いた。
ズボンを脱ぎ捨てたユイヤが駆けだす。
その後ろをエステラが追いかけてくる。影のようにピッタリとついて来る。
彼の顔に決意の色を見る。スピードが緩む。
わかる。ユイヤはそういう男だ。
彼女が攻めてくるなら向かい討つまでだ。
両足を貫いた矢で床に打ち付けられていた。
自由を得た身体は、慣性の力に従い飛ぶ。距離をつめる。1.9mーーー
射抜かれた衝撃で後ろに吹き飛ぶ。
私はエステラの体を縄で拘束した後に、矢を引き抜いた。
傷を塞ぎ、両足を元通りにくっつけた彼女は抵抗することなく兵舎への道を歩いている。