バジシコ VS 七荊棘
文字数 2,192文字
城 正門
兵が欲しくて国盗りをするのに、兵を無駄に殺しては意味がない。王の首一つで完結するのが理想だ。
その場にそぐわない物がある。王が昆虫マニアか変態でなければ、おが屑は恵愛に関する物だろう。
おそらくは、角材を持った男の恵愛。敵をテリトリーに誘い込み優位に立ったつもりだろうが、俺には関係ない。
頭部めがけて角材を振り抜く。
だがバジシコに触れると角材はおが屑に戻り宙に舞う。
俺の死角が多いんじゃない。この男は死角を作るのがうまい。
体幹の強さ、双剣による視線誘導。一人では敵わない。
俺は剣と盾を捨て、捨て身の抱擁をきめる。
武具の隙間を切り裂かれたが気にしない。気にする意味がない。
シルバが落とした剣を振り上げる。狙いはバジシコの首。
だが、振り下ろす瞬間に迷った。
バジシコの右手首がそるのを見た。スナップの初動。短剣投げだ。
首をハネれば動きは止まるのか?確実に右腕を切り落すべきか?
意図を持たぬ刃はシルバを避け、バジシコの右肩を切り裂く。なんと中途半端。
バジシコの短刀投げは発動していた。