恋せよ女の子
文字数 1,286文字
不審者の手首を捻り折れる形で抑える。
彼女の手の甲が正しい向きについているのは、大人しくしているからだ。
そう。彼女は受け身も取れずにベットに押し倒された。
床だったら頭から血を流していた。
私と見つめ合う少女の表情は、驚きから笑いを堪(こら)えるものへと変わり…。
演技がかった返答をする
名前と顔が一致した瞬間、記憶が鮮明に浮かぶ。
公の場で男性に囲まれているのを何度も見たことがある。
でも質問の意図が正しく伝わっていなかったので、改めて問う。
メイヤが王都に来る理由がないのだ。
約束では、私が15時にコルジア家に伺うことになっている。
10時に出発すれば、ゆっくり馬を走らせても間に合う。だが、まだ8時だ。
昨晩のソーセージ男もたぶんそうだ。
誰かが側にいるだけで気持ちは安らぐのに…。
メイヤの頬に涙が伝う
私はメイヤの馬車に乗り、コルジア家に向かった。