母子
文字数 839文字
野蛮人の足元に小さな砂煙が舞う。
蛮人は呻き声をあげ、振り下ろした剣を落とした。
その手には短剣が突き刺さっている。
いや刺さっていた。
アルアは、既に手から短剣を引き抜いていた。
血液が飛ぶ。それが大地を潤すより早く、アルアは蛮人の身体を5度切り裂く。
お母さんは、何が起こったのかわからずに固まっている。
その腕を優しく振りほどいて立ち上がろうとしたが、射手様に静止させられた。
敵にも凄腕の射手がいる。
蛮人が崩れ落ちる際に出来た死角からの一矢だった。
逆光で敵の姿は見えない。
だが、矢が飛んできた角度から検討はつく。