第16話 春のからっ風

文字数 231文字

うららかな日和 ひとりなんだな
てこずってるね
頭の中 なんにもなかった からっぽの

手探りして たどったけれど
指の先 さまよったまま
心 どっかいっちゃった

私 誰だったのでしょう
名前もあって 身体もあったけど
どこにも いなかったみたい

あなたは どなた
ああ、風でしょう
私に かすかに触れて
そして消えた

私も すぐ行くよ
なんにもないから 
からっ風にのって
きっと飛んでく

陽だまりの中
また逢って
触れ合えたら

あなたが誰かも
私が誰かも
忘れてるけど

懐かしくて
懐かしくて
私 きっと涙ぐむ
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