第27話 水と砂漠
文字数 237文字
水が砂を食っているのか、
砂が水を飲んでいるのか、
ぼくには分別がつかない。
ただ、見えていた水がなくなったので
砂に沁み込み、
水が消えたように見えた。
すると今度は、
水がほんとうにあったのか、
そんな疑いが頭をもたげた。
見えていたものがなくなった。
しかし、砂が水を吸い込んで、
水は砂と同化しただけのようでもあった。
蜃気楼だ、とも思える。
でも、本当に見えたのは事実だ。
「だから蜃気楼だった」
「だから本当だった」
ふたつの声が地に聞こえ、
「どっちも、同じだよ」
ひとつの声が、天から聞こえた。
砂が水を飲んでいるのか、
ぼくには分別がつかない。
ただ、見えていた水がなくなったので
砂に沁み込み、
水が消えたように見えた。
すると今度は、
水がほんとうにあったのか、
そんな疑いが頭をもたげた。
見えていたものがなくなった。
しかし、砂が水を吸い込んで、
水は砂と同化しただけのようでもあった。
蜃気楼だ、とも思える。
でも、本当に見えたのは事実だ。
「だから蜃気楼だった」
「だから本当だった」
ふたつの声が地に聞こえ、
「どっちも、同じだよ」
ひとつの声が、天から聞こえた。