触れあう距離
文字数 1,632文字
今言えることを言うと……私の身分は見知らぬモブキャラみたいな存在なのに、アリストシア公国の王子様と同じベッドで寝ていいのか……という事だ。
私の隣でモゾモゾと寝返りをうつギルバードさんの手が私の手に触れたこともあり、一瞬ドキッとしてしまう。
な……何でこんなにもドキドキしないといけないの?!
私は、出会った初っぱなにギルバードさんとエッチな事をしているのだ。それは、もうとてつもなくエロかった。
されるがままの私なんてもう最後の方は、全く覚えていないし……。
私が頭を抱えて、記憶を抹消しようとしていると、私の背後から寝息が聞こえてきた。
二人で寝ると温かさを感じる。
昔、妹の茜や弟の和馬と一緒に寝ていた頃の温かさとは違う温かさがある。
どうしてか分からない。
あの日の災害で私は友人を失い、家族とは離れ離れになってしまったけど、この世界でも私は、幸せを手に入れるために頑張っているような気がする。幸せとは程遠いが……。
何か考えていると頬が熱くなってきた。決して、私が痴女とかそんなことではない。
もうどうでもいいことを考えるのは止めよう。
明日に備えて、私は眠りについたのであった。
部屋はまだ暗い。時計を確認するとまだ一時間程しか経っていなかった。
このドキドキは何なんだろうか……。いけない事を繰り返しているドキドキ感なのか……。
私の隣で眠っていたギルバードさんが寝返りをうった際に、手が私の脇腹に当たった。
私は、少し寝返りをうち、ギルバードさんを見つめる。ぐっすり眠っているのか全く聞こえていなかったみたいだ。良かった……。それにしても綺麗な顔立ちだなぁ……。イケメンは、良いよね。みんな、容姿端麗だし。
でも、この体勢は今にでもキスしてしまえそうな体勢だ。流石にまずいと思った私は寝返りをうち、ギルバードさんに背中を見せるような感じで悶絶する。
もしかして、これが……。これ以上考えるのは止めよう。私は、再び眠りにつくのであった。