真夜中の異変

文字数 536文字

    不意に私は目を覚ました。

    時間は、深夜の2時過ぎだろうか。

    たまたま隣で眠っているギルバードさんの手に私の手が当たったのだ。

    何故か汗っぽい。さっきまで温かかった手に温もりがなかった。

    私は寝返りをうち、ギルバードさんの方を見た。

ギルバードさん?
    ギルバードさんは、苦しそうにしているのが分かる。

    異変に気がついた私は、ギルバードさんの名前をもう一度呼んだ。

ギルバードさん!!    どうしたんですか?!    どこか苦しいんですか!?
うぅっ……行か……ないで……
私はどこにも行きませんよ!!    だから、ギルバードさん……安心してください!!
ううっ……母……上……
母上ですか?    いったい私はどうしたら……。子守唄でも歌ったら何とかなるんですかね?    歌は音痴だけど、歌いますよ!!
    私は、自分の母から教わった子守唄を口ずさんだ。とても優しい声なんて出せない。多分、音痴だ。

    それでも、徐々にギルバードさんの息づかいも安定していき、通常に戻っていた。

良かったです……。何とかなりました……
    どうしてこんなにも苦しそうなの?

    私には、分からない。

    結局、私はこの後眠ることが出来なかった。

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登場人物紹介

支倉 詩乃

    20歳のピチピチの音大生。フルートを専攻しており、世界のコンクールで入賞するなどの快挙を見せる新星のフルート奏者。

    ある日の大学からの帰り道、神の悪戯による災害により異世界に飛ばされることになる。音楽しか出来ない詩乃は、異世界で生き残ることが出来るのか。

ギルバード・フォン・アリストシア

    アリストシア公国の第2王子。24歳。詩乃が異世界に飛ばされて初めて出会う男性。←(しかもベッド上で……)王様や女王様から相手にされない日々を送ってきており、内緒で魔法使いになった青年。兄のジルベルトとは仲が良いみたいで……

ジルベルト・フォン・アリストシア

    アリストシア公国の第1王子。27歳。自警団を設立し、国を守っている青年。魔法の素質もあり、度々魔法を使っている。やんちゃな性格のため、弟たちを困らせる事もある。

ナタリー・フォン・アリストシア

    アリストシア公国のお姫様。25歳。身体が弱いためあまり魔法を使えない。詩乃の事を大切に思い、サポートしてくれる。

詩乃の友人

神の悪戯による災害により死亡する。

神様

    詩乃を異世界に飛ばす気紛れな神。

ハチミツ

    詩乃を手助けするにゃんこ。口がとても悪い。一応、メス。

ロバート・フランツ

    22歳の戯曲家。詩乃の音楽魔法でデイドリーム・シンドロームから目覚める。後の有名な戯曲家。

マイケル・フォン・アリストシア

アリストシア公国の国王

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