モーニングコール
文字数 1,163文字
新しい朝が来た。
しかし、私は眠くてそれどころではなかった。あくびが止まらない。
私の隣では、ぐっすり眠っているギルバードさんの姿が目に入る。
どうしてこの人はこんなに眠れるのですか……。私の方が意識しすぎじゃないですか……
あっ、おはよう。詩乃はよく眠れたかな？
誰かさんのせいで全く眠れませんでしたよ！！
色々まきこんでごめんね……
もう怒る気が失せました。とにかく、早く着替えませんか？ またロバートさんが来てしまいますよ
そうだね。ロバートにこんなところ見られたら厄介……
へぇぇ、ギルバード様は詩乃の事が好きなんだ……。ボク、見ちゃった……。一緒のベッドで寝ているの……。もう一線は越えた？
部屋の扉の近くには、ロバートさんが立っていた。怪しげな笑みを浮かべ、私とギルバードさんを見つめてくる。
いつ、ここに入ってきたのか気配が無さすぎて怖い。モーニングコールだとしても怖すぎる！！
それにどうして男の人は、エッチな事に拘る！！
ギルバード様と詩乃は、どこまで進んでいるんだ？ ボクだけ知らないのは可笑しいよ？
あのですね……ロバートさんが言うようなエッチな事なんて一切していません
もしかしてギルバード様が夜這いでも……
そんな事……
そうだよ。ロバートの言うとおりだ。僕が夜這いしたんだよ
何を言い出すんだ、この変態王子は！？ 私がオブラートを包むように隠そうとしているのに、暴露してどうするの？！ あらぬ誤解を招かないで欲しい。
私は、ギルバードさんに頼まれて一緒に寝ただけであって、やましい事など一切していない。普通の人なら当たり前でしょ！！ 好きなのか分からない人とイチャイチャするのは、私の中では許されないことなのだから！！
やっぱりか。ギルバード様が幸せそうで何よりだ。いつ、祝言をあげるんだ？
ちょっと待て、ロバートさん……。私、まだピチピチの２０歳だよ？ まだ好きか分からない人と祝言をあげるなんて論外だよ？ 分かってる？
そ……それは……
その話はどうでもいいじゃないですか！！ とにかく……私、着替えたいので出ていってくれませんか？
そうだった。逃げるにはこの方法が１番いい方法だ。
私は、ギルバードさんとロバートさんを部屋の外に追い出した。
１人になって思う。
(本当にギルバードさん……大丈夫ですかね？ あの魘され方は尋常じゃないです……。あの時、「母上」と言っていた記憶がありますけど……。何かあったんですかね？ １度ギルバードさんに聞いてみた方が……。でも、聞けないです……)
私は、昨夜の事を思い返してみる。色々と引っかかる点があり、私は冴えない頭をフル回転させるのであった。
