平凡な日々の終わり
文字数 1,920文字
私が、広々とした草原でフルートを吹いている。そこは、私が今住んでいる東京の大都会の町並みは一切なく、自然豊かで古めかしい建物が建ち並んでいるそんな世界。
フルートの音色は、風に乗って何処までも響いていく。誰もいない私だけの世界。夢は夢のままであってほしい。
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今の日常に私は飽きてしまった。
私、支倉 詩乃は、東京のとある音楽大学に通う20歳になったばかりのピチピチの学生。でも、彼氏いない歴=年齢なのが残念な所。今は、友人と一緒に大学帰りにディナーに来ている所だ。
ただの女になってしまう可能性の方が高い。私は、音楽の為に色々なモノを捨ててきた。『友達』や『家族』、友人に言われた『彼氏』もそうだ。
あんなことやこんなことをした『彼氏』を捨てた私は、どんな心を持っているのだろうか……。
その後も友人とディナーを楽しんだが、肝心の料理の味なんて全く分からなかった。
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ドカンッ、と大きな衝撃が周囲を襲い、土埃が舞い上がる。詩乃は、たまたまスマートフォンを確認することが出来た。そこには、予想すら出来なかった事がスマートフォンのディスプレイに記されていた。
緊急地震速報
日本全国で地震発生。非常に強い揺れに備えてください。予想されていたあの南海トラフの地震? と私は疑う。
その時だった。バキバキ、と音を立て、何かが落ちてくる音が聞こえる。もう逃げ場はない。私は、目を閉じた。
その温もりはもう無かった。
私の声は出ない。さっきまで一緒にディナーをしていた友人が目の前で死んだ事実が脳裏にこびりつき、離れようとしない。
その時、私がいた地面に大きな亀裂が入り、私はそこに落ちてしまった。何処までも深く続く穴に私は悲しみを抱き、一粒の涙を流し、そのまま意識を手放した。