新たな始まり

文字数 1,643文字

    私は、目を覚ました。小鳥たちの鳴き声が聞こえることから、朝だということを理解した。

    となると、私は昨日の夕方からずっと眠っていたことになる。私は、ベッドから起きようとした。

    しかし、力があまり入らず、そのままベッドに逆戻りしてしまった。

    何故に?!

あ……あの……どうしてこんなに身体が怠いんですか……
それは、詩乃が無理までして魔法を使ったからで……
    それに何故、ギルバードさんが私の寝室にいるの?

    もしかして、また夜這いでもされたのか?    あの日の記憶が再び脳裏に甦り、私は一人で悶絶する。

も……もしかして……見ました?
何を?
私、ネグリジェに着替えていますけど……裸とか……
そんなことないよ。使用人に頼んで着替えさせてもらったよ。それに名前を呼んでも起きなかったから心配して……
ごめんなさい……心配かけて。ロバートさんに送ってもらった記憶はあるんですが……
    私の返答にギルバードさんは、衝撃的な答えを返してきた。もうそれは、爆弾発言並みで……。
ロバートなら宮廷音楽人としてアリストシア城で雇うことにしたよ
はっ?
ロバートの話は、とても面白かったし、音楽を作曲していると聞いて雇ったんだ。これからは、毎日のように会えるよ
    何てこった!!

    何が何でも直球過ぎて私がついていけない。私が寝ている間にいったい何があったんだ?!    誰か説明プリーズ!!

    私が叫びそうになった時だった。廊下の方から愉快な鼻唄が聞こえてくる。まさか……

おはようございます!!    昨日は、お世話になりました、詩乃!!    ボク、昨日からここで宮廷音楽家として働くことになりました!!
きゃああああああ?!    乙女の部屋にいきなり声もかけずに入らないで下さい!!
ご……ごめん……。ボクは、毎日詩乃に会えるのが嬉しくて……
まだ体調が安定していないんです。ロバートさん……またいつでも話せるので次の機会で良いですか?
うん。いつでも会えるならボクはいいよ。ギルバード様、今からボクの音楽作曲に付き合ってください!!
えっ……何で?    今じゃないと駄目?
はい!!    ギルバード様、行きましょう!!    詩乃の邪魔になりますよ!!
    ギルバードさんは、ロバートさんに手を握られ、どこかへ連れていかれた。

    一人部屋に残された私は、大きなため息をついた。

やっと一人になれる……。まさか、ロバートさんがここに住むことになるなんて……。この世界は、何でも適当に進んでいるんだなぁ。日本人よりフランクかも……
    そう……私の世界の外国人と言ったところだろうか。フランクすぎて私がついていけない。それに、何か疲れた。

    そのまま寝てしまおう。

    私は、ベッドに潜り込むとすぐに目が微睡み、瞼が落ちてきた。意識さえも心地のよいベッドに預けるため、私は目を閉じた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
    次に私が起きると、お昼を過ぎていた。これは、眠りすぎたかもしれない。楽器も吹いていないのはいけない。

    私は、ベッドから起き上がる。さっきより身体は自由に動く。私は、ネグリジェから普段着に着替えようとクローゼットを開けた。

    服を着るため、ネグリジェを脱ごうとした時だった。

    ガチャ、っと扉が開き、ギルバードさんとロバートさんが部屋に入ってきた。

    勿論、私は下着姿で……。恥ずかしくなった私は、大声で二人に叫んでいた。

いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!    何で入ってくるんですか?!
えっ、扉叩いたはず……
……
この変態!!!!    とにかく私が着替えるまで外にいてください!!
    私は、二人を部屋から追い出し、急いで普段着に着替えた。本当にギルバードさんは、出会った時から変態で困る。ロバートさんまでまきこまないでいただきたい。

    私は、普段着に着替えるとギルバードさんとロバートさんを部屋に招き入れた。

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登場人物紹介

支倉 詩乃

    20歳のピチピチの音大生。フルートを専攻しており、世界のコンクールで入賞するなどの快挙を見せる新星のフルート奏者。

    ある日の大学からの帰り道、神の悪戯による災害により異世界に飛ばされることになる。音楽しか出来ない詩乃は、異世界で生き残ることが出来るのか。

ギルバード・フォン・アリストシア

    アリストシア公国の第2王子。24歳。詩乃が異世界に飛ばされて初めて出会う男性。←(しかもベッド上で……)王様や女王様から相手にされない日々を送ってきており、内緒で魔法使いになった青年。兄のジルベルトとは仲が良いみたいで……

ジルベルト・フォン・アリストシア

    アリストシア公国の第1王子。27歳。自警団を設立し、国を守っている青年。魔法の素質もあり、度々魔法を使っている。やんちゃな性格のため、弟たちを困らせる事もある。

ナタリー・フォン・アリストシア

    アリストシア公国のお姫様。25歳。身体が弱いためあまり魔法を使えない。詩乃の事を大切に思い、サポートしてくれる。

詩乃の友人

神の悪戯による災害により死亡する。

神様

    詩乃を異世界に飛ばす気紛れな神。

ハチミツ

    詩乃を手助けするにゃんこ。口がとても悪い。一応、メス。

ロバート・フランツ

    22歳の戯曲家。詩乃の音楽魔法でデイドリーム・シンドロームから目覚める。後の有名な戯曲家。

マイケル・フォン・アリストシア

アリストシア公国の国王

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