第11話 ことのはじまり ~特別な想いを実行~

文字数 1,660文字

面白そうと感じることは実行した方がよい。
心の奥底から込み上げてくる特別な想いは実行するに限る。

そもそも、どうして私がオーストラリアへ行くことになったのか。
それは、とある夜の1本の電話から始まった。
――トゥルルルルル、トゥルルルルル……
誰だろうか。受話器を手に取り耳にあてる。
「龍崎、久しぶり!元気か?」
「おぉ、元気!元気!どうした?」
高校時代、同じクラス、同じ剣道部、同じバンドで、親友の広沢昭利からだった。
私は名古屋に、広沢は山梨県に暮らし、互いに大学生活を送っていた。
電話口の広沢がこう言った。
「夏休みに一緒にオーストラリアに行かんか?」
「おっ!イイねぇ!行こう!」
たったこれだけの会話である。
こうして私のオーストラリア行きは決まった。
――え?それだけで?
驚かれたかも知れないが、まるでコンビニへでも行くかのようなノリ。
シンプルに「面白そう」という理由だけでオーストラリア行きを即決した。
私は大学で英語を専攻しており海外には興味がある。英語圏の国にも行ってみたい。
せっかくの大学の夏休みだから何か思い出に残ることをしておきたい。
広沢からの提案は、まさに願ったり叶ったりである。
そして何より、この計画を聞いた時、
「おぉ、面白そう、行きたい」
心躍るような気持ちが強烈に心の奥底から込み上げてきた。
これは日常生活では感じることのない、心の奥底からくる……
――特別な想い
この特別な想いに従い、私は「行こう」と即断即決したわけである。
広沢による旅の計画は次のようなものだった。
シドニーからオーストラリアに入り、そのまま南下し最南端の街メルボルンへ行き、そこから北上しオーストラリア大陸を縦断するというのである。
――オーストラリア大陸縦断!
「うむむ、これは面白そうだ……」
これまた大きく心が躍る。
勿論、エアーズロックなどの名所も巡る。
さらには、特別な人たちとの再会までするというのである。
特別な人たちとは、私たちが高校生の時、日豪交流の一環としてオーストラリアの人たちが我が校を訪れた。
その時、私の友人宅で歓迎会を行ったのだが、当時、小学生のミッシェルという女の子と、その母親アマンダ、ミッシェルと同年の少年ベンと知り合った。
私たちは彼女たち3人と、とても楽しい時間を過ごした。
そのミッシェルたちにも会うと言うのである。
――ミッシェルたちとの再会!
「うむむ、こちらも楽しそうだ……」
またまた心が躍る。
「いやぁ、本当に面白そうな旅だな」
話を聞いているだけでも、とても胸躍る楽しい計画である。
聞いた瞬間に二つ返事で「行く」と決めたわけだが、旅の計画を聞けば聞くほど、「面白そう」という気持ちがさらに込み上げてきた。
ここまで気持ちが高揚することは絶対に実行した方がよいだろう。
私はこの二つ返事で行くと決めたことは、絶対に正しいと感じた。
そして、実際にその旅を実行してどうだったのか。
結論を言ってしまえば、これは完全に大正解だった。
今、振り返ってみても、とても良い思い出になっている。
やりたいと感じることは、

と感じている。
長期の旅となると、社会人になると仕事の都合上難しくなる。
学生時代の夏休みだからこそ出来ることとも言える。
その意味からしても実行しておいて正解だろう。
人に迷惑が掛かることでなければ、「面白そう」という心の奥底からくる特別な想いは実行するに限る。
――特別な想いに従い即決
こうして私は友人広沢とオーストラリアへ旅立つこととなったわけである。

旅の計画を聞いた時、心の底から特別な想いが湧き上がった。
特別な想いのその先には、何かしら大切な体験が待っている。
そうである。

――じつのところ誰の人生にも「まだ見ぬ大切な体験」が無限にある

旅はそれを私たちに教えてくれるのである。

次回、私たちはシドニーで意外な事実に気づくこととなる。

【旅のワンポイントアドバイス11】
心が強烈に惹かれることは、誰かの迷惑になることでなければ実行してみる。そうすることで、旅も人生もたくさんの良い思い出に恵まれることとなる。



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