第6話 フィッシュ&チップス ~映画でお馴染み憧れの料理~

文字数 1,727文字

小さな夢が叶うことは喜ばしい。
大きな夢でなくとも、小さな夢が叶うことで人生の幸福度は上がる。

シドニーでのこと。
オーストラリアへ行ったら、是非とも食べたい料理があった。
と言っても高級料理ではない。むしろジャンクフードに類する料理である。
それは……
――フィッシュ&チップス
このフィッシュとは、25cm程のわりと大きな白身魚のフライである。
フライといっても見た目はどちらかというと天ぷらやフリッターに近い。
白身魚の切り身にビールや牛乳で溶いた小麦粉をつけ揚げる。オーストラリアでは多くの場合、塩とレモンで味付けをするが、ケチャップやタルタルソースで食べたりもする。
チップスとは、日本でもお馴染みのフライドポテトのことである。
つまるところ白身魚のフライとフライドポテトのセット。
それがフィッシュ&チップス。



元々は英国が本家本元の料理だが、フィッシュ&チップスはオーストラリアを代表する料理の1つとなっている。
映画や海外ドラマの中で見かけることも多く、有名な料理。
どうやらこれが、とても美味しいらしい。
この料理を映画で見る度に「あぁ、食べてみたいなぁ」という想いに駆られていた。
いわば、いつかは食べたい「憧れの料理」である。
私はこのフィッシュ&チップスがどうしても食べたかった。
そして、今、私はオーストラリアにいる。ここでなら、いたるところで食べることができる。
「フィッシュ&チップスを食べようぜ」私は広沢に提案した。
「おぉ、そうだな」広沢も興味があるらしく二つ返事で同意。
遂に、あのフィッシュ&チップスを食べる時がやってきた!
いやが上にもテンションが上がる。
たかだかジャンクフードじゃないかと思わないこともないが、やはり、ずっと食べてみたかったものが食べられることは、とても嬉しい。
ガイドブックによるとフィッシュ&チップスはレストランでは皿に盛られナイフとフォークで食べるとのことだが、街中の売店でもファーストフードとして手軽に食べられるとのこと。



私たちは売店を探した。
――あった!
シドニーの海岸近くに、看板に『フィッシュ&チップス』と書かれた売店を見つけた。
私たちは早速フィッシュ&チップスを買い、近くの公園に行き芝生の上に座った。
円筒形の白い包み紙を開くと、中からフィッシュフライとポテトが覗いている。
「おぉ、これだ!」
映画やドラマで観るモノそのままである。
まずは、ポテトを1つ口の中に。
――ポイ
「うむ、フツーのフライドポテト」
当然である。普通に美味しい。いよいよ、お次は待望のフィッシュ。
包み紙から長く突き出したこんがり小麦色のフィッシュフライに、そのままかぶりつく。
――サックッ
「あぁ、これは美味しい」
思わず笑みがこぼれる。基本的な味は白身魚の天ぷらだが、衣はサックサク、身はホックホク、そこに塩味が絶妙にマッチしている。なるほど、人気料理なわけだ。
驚くほど美味しい!というわけではないが、何か特別な「美味しいジャンクフード」を食べた時のような喜びが込み上げてくる。
朝のエッグマフィンが美味しい、といった具合の美味しさである。
そこに長年食べたかったという積年の想いも加わり、さらにプラス20%ほど美味しく感じる。
「うむ、美味いな」広沢も美味しそうに頬張る。
小さな夢が叶い、小さな幸せを感じる至福の時間となった。
こうしてシドニーで念願のフィッシュ&チップスを食べることができた。
これも旅のとてもよい思い出となった。
旅を通じて何度かフィッシュ&チップスを食べた。
店によって衣の感じや味は違ったが、どれも間違いなく美味しかった。
さすがはオーストラリアを代表する人気料理といったところである。

小さな夢を叶えることで、小さな幸せを感じる。
旅は小さな夢を叶え人生の幸福度を上げる絶好の機会。
そうである。

――じつのところ誰の人生にも「まだ見ぬ小さな叶う夢」が無限にある

旅はそれを私たちに教えてくれるのである。

次回、私たちはバックパッカーと安宿の実態を知ることとなる。

【旅のワンポイントアドバイス06】
旅に出る時には、あらかじめガイドブック等を見て「食べたいものリスト」を製作しておく。そして1つ1つそれを実現していく。そうすることで旅の楽しみが何倍にもアップする。



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