第34話 野生のワニとの遭遇 ~イエローリバー~ カカドゥツアー01

文字数 1,749文字

野生動物たちを見ることはとても意義深い。
その姿を目にすることで大切な意識が呼び覚まされる。

ダーウィンでのこと。
ここダーウィンは大自然にこそ見どころが沢山ある。
熱帯雨林のジャングルあり、荒涼の乾燥地帯あり、南国のビーチあり、さらにはワニやカンガルーなど多くの野生動物たちの宝庫でもある。
オーストラリアの大自然を満喫できる、まさに夢のような冒険の地とも言える。
この見どころ満載のダーウィンを効率よく体験する方法がある。それが……
――カカドゥツアー
カカドゥとは地名であり、大自然の中に広大な面積を誇るカカドゥ国立公園を有している。
そのカカドゥの大自然をバスに乗り込み各所を巡り堪能するエキサイティングなツアー。それがカカドゥツアーである。
「ツアーに申し込もう」広沢が言った。
「それ、いいねえ」私も即同意。
早速、私たちもカカドゥツアーに申し込んだ。
案内所での話によると、野生のワニとの遭遇、野鳥観察、豪華なビュッフェ、乾燥地帯の巨大な蟻塚、と聞いただけでもワクワクする充実した内容。特に野生のワニは見ておきたい。
これは楽しみである。
集合場所に大型観光バスが現れた。どうやらこれに乗り込み各地を巡るらしい。
最初の目的地はと言うと……
――イエロー・リヴァー
じつはこの川、野生のワニの大量生息地として知られている。
なんとも恐ろしいことに、時々、この川で野生のワニに人が食べられてしまうとのこと。
日本で野生動物に人が食べられてしまうことなどあるだろうか。
そこを考えると、やはりとんでもない川である。
それだけに興味をそそられるツアーであり、まさに冒険。
バスの中でガイドさんからそんな話を聞いていると、船着き場に到着。
ここからは小型遊覧船に乗り込み、野生のワニが生息する川を下る。
運がよければ複数のワニと遭遇できるらしい。これは胸が高まる。
さらにはワニの他にも珍しい水鳥たちもたくさん見ることもできるとのこと。
――出航
しばらく遊覧船に揺られていたが、野生のワニは見当たらない。
この川に本当にワニなどいるのだろうか……そんな考えが脳裏を過ったその時だった。
――いた!
川辺の木の後ろ側からワニが這い出てきた。



正真正銘、野生のワニが私たちを威嚇するように、ぬっと大きく口を開けた!
「おぉ、すげーなぁ」広沢もその姿に見入っている。
「本当にワニがいるのだな」私も驚きつつ言った。
川で遊んでいて、こんなヤツに出くわしたら、さぞ驚くだろう。
一見、動きは鈍そうに見えるが、なんとも3m以上もジャンプするらしい。
メルボルン動物園でもワニを見たが、それとは圧倒的に野性味や存在感が違う。
動物園で与えられた餌を食べているワニと、厳しい大自然で獲物を捕らえ食べているワニの違いだろうか。
野生のワニは明らかに研ぎ澄まされた刃物のような雰囲気を醸し出している。その姿はおそろしく精悍で獰猛に見えた。



さらには動物園とは違い、野生のワニと遊覧船との間には柵も何もない。
まさに、野生に生息するワニそのものの姿を見ることが出来るのである。
この光景を目にした私は感じた……
――地球は広く偉大だ
私たちの知らない所にワニのような生物たちも地球にいることを実感。
やはり野生のワニを観に来て正解である。
私たちは幸運にもこのクルーズで3匹の野生のワニと遭遇することが出来た。
日本に暮らしていて、野生のワニと遭遇することは、まず無い。
しかし地球にはワニのような生物も暮らしていることを忘れてはならない。
ふと、そのような意識に目覚めたような気がした。
とかく街に暮らしていると、地球は人間のモノかのように錯覚する。
野生のワニを見たことで、地球は人間だけのものではないと感じた。
これもまた、旅の大切な思い出となった。

野生動物の姿を見ることは意義深い。
その姿を見ることで自然との共生の意識に目覚める。
そうである。

――じつのところ誰の人生にも「まだ見ぬ意識の目覚め」が無限にある

旅はそれを私たちに教えてくれるのである。

次回、私たちはツアーのランチで衝撃のハプニングに遭遇することとなる。

【旅のワンポイントアドバイス34】
異国の地の旅において、野生動物と遭遇するチャンスがある時は、積極的に参加してみる。野生動物を目の当たりにすることで、自然との共生の大切さを感じることが出来る。


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