第2話 現在
文字数 4,818文字
「君?本当にやるの?」
「あぁ、1人でやるつもりだ。何か問題が?」
「いや・・・ね。君、知ってるでしょスターボーンホース。あれね、勇者パーティーが瀕死になってやっと倒した恐ろしい魔獣だよ。1人でだなんて無理に決まっているでしょ。最低でも50人以上はいなきゃ」
個室窓口で保証カードと、ある1人の人物を交差しながら見ている。
そして窓口で確認を取っている人は白ひげを生やし眼鏡をかけているじいさんだった。
そしてじいさんはジロリとその人物を見る。
その人物は茶色いフード付きのロングコートを着ており腰には誰でも持っていそうな剣を持っている。
もちろん顔は見えないようにフードを被っている。
覇気はそんなに感じず声も低く表情は暗い。
背も少し高いだけで他に目立つ所はない。
数分見た後、やがてじいさんはため息混じりに言った。
「はぁ、全く命知らずの小僧がいたもんだ。分かった。受けさせよう。ただし知っていると思うがその魔獣の素材、一部を持ってこい。それが出来なければ報酬は貰えん。分かったな」
「あぁ」
そういってフードを被った人物はこの場を立ち去ろうとした。
が、じいさんが立ち去る男を止める。
「ちょ、ちょっと待て、お前さん名前は!あ、後で支部長に伝えておくから!」
「フェレン、フェレン・ディーア」
そういってフードの男、フェレンはこの場を去った。
「さて、これからどうするか」
施設を出てまっすぐ歩く。
あれから8年の時が経過していた。
年齢は15歳を過ぎているが仮面の情報は全く入ってこずせず進歩していなかった。
そんな中時間をかけることにしたフェレン。
これから自分を守ることにいっぱいになるだろうと日々特訓していた。
そして今冒険者という役職で情報を集めながら旅をしている。
「確か魔獣のスターボーンホースの討伐だったか?なんか集団で行くとか何とか言っていたが、まぁ1人の方が色々楽だしさっさと倒すか。あのジジィが言っていた支部長にも聞けば何か情報を得られるかもしれない」
フェレンは少し急ぎながら目的の場所に行くのだった。
その時風でフードが取れる。
ダークブルーの髪に青い瞳がよりフェレンのカッコ良さを増している。
少し、注目を浴びることになったがすぐにフードを被り歩き出した。
道なりに歩いているとたまたま町の住人から声が聞こえた。
「なぁ、知ってるか。100年前あの勇者パーティーが倒した伝説の魔獣スターボーンホースが復活したっていう話」
「それ、本当だろうな?嘘だったらやばいぜ」
「いや、それがなマジらしいんだ。この前スターボーンホースを見つけて戦ったパーティーがいたんだ。だが、そのパーティーは呆気なくやられ、1人だけ帰ってきたんだと。」
「マジで、で残りの3人は」
「残りの3人はその圧倒的な強さにやられて死亡したらしい」
「うわ、なんだそれ。無理じゃん。勇者が居なきゃ終わりだな。それでその魔獣はどこに現れるんだ。」
「確か、こことは反対側の北の方、5キロ先にいるらしい」
(ちなみに魔獣は自然から放出されている魔力の粒子から獣、植物が一定以上取り入れることで体内の魔力が暴走し変貌を遂げる。その時に尋常じゃない魔力と大きな力を得る。)
結構な情報が耳に入り色々聞く手間が省けた。
そう思いながらも早速北を目指す。
そうだったと思い出したフェレン。戦いの準備をするために1度傷薬を売っている店に行く。
カランッカランッ
そんな鈴の音と同時に扉がギィーと開いた。
「いらっしゃい」
「邪魔する」
「おっ、フードあんちゃん」
素早く入りフードを取ってカウンターの方まで近づく。そこのカウンターには笑顔で迎えてくれた人がいた。
黒髪、肌の色が茶色でがたいはフェレンより2倍は大きく30後半のオッサンだ。
「どうしたんだ。また何か買いに来たのか?」
「あぁ、ラシが欲しい。10本だ」
「了解だ。それにしても、今度はどんな依頼を持ってきたんだ」
(さっき言ってたラシ、これは傷薬である。もっと簡単に言えばゲームのRPGに出てくるポーションと考えてください。ちなみにそのラシにも種類があり下から順にラシ、ララシ、ララジンとなっている。だが、回復力は別々になっておりララジンともなれば回復力は絶大である)
このオッサン、以外にもフレンドリーに接しているが初めて会った時はこんな感じではなかった。
だが、今はある程度信頼されているらしい?
ちなみにこの店は薬の他に武器、防具を売っておりフェレンはよく薬を買う時に世話になっている。
「スターボーンホースの討伐」
「え?スターボーンホースって言えばあの勇者が瀕死になってやっと倒した伝説の?」
「らしい」
「らしいって!あんちゃんそんなんじゃすぐ死ぬぜ。って言っても無駄か」
せっせと薬を小瓶に詰める。
10本詰め終わるとフェレンに渡す。
フェレンは代金を支払い扉に近づく。
「ほれ、出来たぜ。そういえばそうとあんちゃん。討伐はいつ行くんだ?」
「集団での討伐が三日後、明日には行く」
「そうか、気をつけろよ」
その言葉を背にしてこの店を出ていった。
買った薬を収納魔法で入れた後バックを取り出し荷物を確認した。
(ちなみに今使った魔法は収納魔法と言い道具であればなんでも収納することが出来る魔法。だが、収納できる量もその人の持つ魔力量によって決まって人それぞれである。)
バックに入っているは大事な物ばかりであの紋章も入っている。
フェレンはバックから紋章を取り出し紋章をまじまじと見た。
正四角形にその枠に埋まるようにひし形が載っておりその上に翼が4枚と非常にシンプルなデザインでありその紋章は全て金属で金色で出来ている。
そんな紋章を仕舞おうとするとドッと誰かに当たった。
前を向くとボロボロの服の少年が走っていた。
だが、フェレンはある違和感を覚えた。
先程仕舞おうとしていた紋章がない。
しまったと思っていたが、どうやらあの少年が盗っていったようだ。
「っち、あのガキ」
バックを仕舞い舌打ちをしムカつきながら走って追いかける。
少年は追いかけてきたのを知ったのか全速力で逃げ路地裏に入っていった。
少年はやった!と思ったが路地裏に入る姿をフェレンは確認したので急いで路地裏に入る。
少年はまじまじとその紋章を見ていた。
「おい、俺から奪った紋章を返せ」
「へ!嫌だよ。俺はこれを売ってお金持ちになるんだ」
そう言いながら逃げようとするもあっさりフェレンに捕まった。
じたばたしながらもがいている。
流石にウザったいので首とんをし気絶させ手から落ちた紋章を拾いもう一度少年を見た。
「確かに盗みたいっていう気持ちは多少分かるがお前の人生終わるぞ」
そう捨て台詞を吐いて路地裏出た。
長い寄り道だ。そう思いながらそろそろ討伐に行こうとしたが生憎とすでに太陽が落ちかけていることが見えた。
赤く燃えた太陽はフェレンを照らしそんなフェレンは宿に泊まることにした。
フェレンはいつも情報収集のため毎日居酒屋に行き、行っては情報を探している。
そんな居酒屋は一年前から静かになっていた。
誰?と聞かれると居酒屋の常連客の奴らはプルプル震えながら青ざめていた。
マスター?ぶんぶんと首を振る。
奴らは行けば分かるという。
そういって居酒屋に入って来たのはフードを被っている男だった。
そうしてその男を見た瞬間、空気は氷河のように肌寒くなり騒いでいた奴らは静かになった。
カウンターの席に着くなり急に静かになったのか周りを見た。
プルプル震えながら青ざめていた。
するとマスターが話す。
「いらっしゃい、今日も飽きずに来たんだね。残念だが、今回も情報は入っていないよ」
「いや、違う。今日は別の話だ」
「ほぅ、それは珍しい」
今フェレンと話しているマスターはマスターの中のマスターとも呼ばれている。
それはフェレンが来て数日たった日に付けられた。
2つ名ともいえる。
というようにフェレンが関係している。
早速フェレンは今回の討伐の話しについて聞こうとしたが扉から新たな客が来た。
そいつは2人ほど連れておりどかどかと奥へ進みカウンターの席へ座った。
「にしても、なんだここは!?全然騒いでねぇじゃねぇか!?どうだてめぇらもさっさと騒げ!」
そんなことをいいゲラゲラ笑いながら近くの奴を叩いた。
それによりテーブルにいたヤツらは腕でバツを作り、やめとけ!やめとけ!と必死に伝えた。
だが、そんな言葉は伝わらずフェレンはイラついていた。
相手の方も周りが全然騒がないのかイラつき怒った。
「おい!なんだよ!ってかそのお前、ここは俺の席ださっさと退け」
フェレンに指を指し退けと指図した。
さらにテーブルの奴らは笑いだし『あいつらもう終わった』全員同じことを思っており頷き酒を静かに飲んだ。
フェレンはというと怒りのメーターが既に振り切っており限界まで来た。
「おい!てめぇ聞こえなかったか!退けって言ってんだよ!?冒険者のやり方って奴を教えてやろうか!?」
「あ?俺が座ってんだ。ピーピーうるせぇな」
「お前、調子に乗るなよ」
座っていた席を立ち構える。
取り巻き2人も構える状態にしいつでもできるように準備をする。
フェレンはその行動にため息をつき席を立つ。
「どうやら本当に教えた方が良さそうだな。行くぞ歯を食いしばれ」
「はぁ、教えるのはこっちのようだな。」
「は?何言って」
相手がフェレンの言ったことを理解しようとしたが、その前にフェレンが蹴りを入れた。
その体型に似つかない威力の蹴り繰り出した。
3人はその蹴りで奥まで吹っ飛び壁にぶつかった。
その衝撃で3人は気絶、その光景を見ていたテーブルの人はより1層顔を青くさせ徐々に血相をかいてテーブルに隠れた。
「決まっているだろここのやり方だ」
フェレンはまた席に着きマスターと話した。
マスターもこういった出来事に慣れているため口に出さず黙っていた。
「済まないな。店、騒がせて」
「いや、大丈夫。私は静かな方が好きだしね。それで聞きたいこととは?」
「あぁ、今回依頼したものが確か伝説の魔獣だったか。確かスターボーンホース」
「!?ほう、またこれは中々な・・・。それでその魔獣の情報が」
「そうだ、居場所は把握している」
フェレンはそのまま話を進める。
幸いにも小声で話していたため他の人には聞かれずにより多くの情報を得れた。
「確か、今日のお昼頃に魔獣のことについて話していました」
「どんな」
「弱点と討伐隊の話でしたね。確か、魔獣の角を折れば弱くなり、数十人でかかればそんなにかからないと」
「なるほど、確かにそれは有力な情報だ」
「ただ」
「ただ?」
「その角は非常に固く、剣でやるだけでも半日もかかるとか、それに魔獣は非常に荒っぽく近づくだけでも精一杯だとか・・・・・・。」
フェレンは頷き、情報、酒の代金を支払い居酒屋を出ていった。
宿屋向かいながら情報を整理する。
ちなみにマスターが教えてくれた情報はこれだけでなく集団の討伐隊の話をしてくれた。
その集団の規模は48人、4×12のパーティーで出来ているらしく中規模な集団で討伐するらしい。
そしてその中規模集団は魔獣の討伐を3日から明日に変更された。
ややこしくなったな、そう思いながらも討伐のことを考える。
しばらく歩いていると、宿屋に着いた。
この宿屋はフェレンが1年利用しているものだ。
1泊安い上に朝ごはん付き、これ程恵まれてるものない。
その宿屋には結構お世話になっている。
割り振られていた部屋に移動しそのままベットにダイブした。
バフッとフェレンの体を包む。
あったけぇと思いながらも明日のことを考える。
「さて、明日討伐隊か。昼頃とか言ってな。仕方ない、不本意ではあるが情報の為だ。朝から出発して倒すしかないな」
フェレンは寝る前に収納魔法でバックを取り出し荷物の最終確認を行った。
ラシ、他にも包帯、水分、非常食、色々大事なものがある。紋章もそのバックに入っており、明日から行く討伐は準備万端である。
「やるか」
そんな一言を呟きフェレンは深い眠りに落ちるのだった。
「あぁ、1人でやるつもりだ。何か問題が?」
「いや・・・ね。君、知ってるでしょスターボーンホース。あれね、勇者パーティーが瀕死になってやっと倒した恐ろしい魔獣だよ。1人でだなんて無理に決まっているでしょ。最低でも50人以上はいなきゃ」
個室窓口で保証カードと、ある1人の人物を交差しながら見ている。
そして窓口で確認を取っている人は白ひげを生やし眼鏡をかけているじいさんだった。
そしてじいさんはジロリとその人物を見る。
その人物は茶色いフード付きのロングコートを着ており腰には誰でも持っていそうな剣を持っている。
もちろん顔は見えないようにフードを被っている。
覇気はそんなに感じず声も低く表情は暗い。
背も少し高いだけで他に目立つ所はない。
数分見た後、やがてじいさんはため息混じりに言った。
「はぁ、全く命知らずの小僧がいたもんだ。分かった。受けさせよう。ただし知っていると思うがその魔獣の素材、一部を持ってこい。それが出来なければ報酬は貰えん。分かったな」
「あぁ」
そういってフードを被った人物はこの場を立ち去ろうとした。
が、じいさんが立ち去る男を止める。
「ちょ、ちょっと待て、お前さん名前は!あ、後で支部長に伝えておくから!」
「フェレン、フェレン・ディーア」
そういってフードの男、フェレンはこの場を去った。
「さて、これからどうするか」
施設を出てまっすぐ歩く。
あれから8年の時が経過していた。
年齢は15歳を過ぎているが仮面の情報は全く入ってこずせず進歩していなかった。
そんな中時間をかけることにしたフェレン。
これから自分を守ることにいっぱいになるだろうと日々特訓していた。
そして今冒険者という役職で情報を集めながら旅をしている。
「確か魔獣のスターボーンホースの討伐だったか?なんか集団で行くとか何とか言っていたが、まぁ1人の方が色々楽だしさっさと倒すか。あのジジィが言っていた支部長にも聞けば何か情報を得られるかもしれない」
フェレンは少し急ぎながら目的の場所に行くのだった。
その時風でフードが取れる。
ダークブルーの髪に青い瞳がよりフェレンのカッコ良さを増している。
少し、注目を浴びることになったがすぐにフードを被り歩き出した。
道なりに歩いているとたまたま町の住人から声が聞こえた。
「なぁ、知ってるか。100年前あの勇者パーティーが倒した伝説の魔獣スターボーンホースが復活したっていう話」
「それ、本当だろうな?嘘だったらやばいぜ」
「いや、それがなマジらしいんだ。この前スターボーンホースを見つけて戦ったパーティーがいたんだ。だが、そのパーティーは呆気なくやられ、1人だけ帰ってきたんだと。」
「マジで、で残りの3人は」
「残りの3人はその圧倒的な強さにやられて死亡したらしい」
「うわ、なんだそれ。無理じゃん。勇者が居なきゃ終わりだな。それでその魔獣はどこに現れるんだ。」
「確か、こことは反対側の北の方、5キロ先にいるらしい」
(ちなみに魔獣は自然から放出されている魔力の粒子から獣、植物が一定以上取り入れることで体内の魔力が暴走し変貌を遂げる。その時に尋常じゃない魔力と大きな力を得る。)
結構な情報が耳に入り色々聞く手間が省けた。
そう思いながらも早速北を目指す。
そうだったと思い出したフェレン。戦いの準備をするために1度傷薬を売っている店に行く。
カランッカランッ
そんな鈴の音と同時に扉がギィーと開いた。
「いらっしゃい」
「邪魔する」
「おっ、フードあんちゃん」
素早く入りフードを取ってカウンターの方まで近づく。そこのカウンターには笑顔で迎えてくれた人がいた。
黒髪、肌の色が茶色でがたいはフェレンより2倍は大きく30後半のオッサンだ。
「どうしたんだ。また何か買いに来たのか?」
「あぁ、ラシが欲しい。10本だ」
「了解だ。それにしても、今度はどんな依頼を持ってきたんだ」
(さっき言ってたラシ、これは傷薬である。もっと簡単に言えばゲームのRPGに出てくるポーションと考えてください。ちなみにそのラシにも種類があり下から順にラシ、ララシ、ララジンとなっている。だが、回復力は別々になっておりララジンともなれば回復力は絶大である)
このオッサン、以外にもフレンドリーに接しているが初めて会った時はこんな感じではなかった。
だが、今はある程度信頼されているらしい?
ちなみにこの店は薬の他に武器、防具を売っておりフェレンはよく薬を買う時に世話になっている。
「スターボーンホースの討伐」
「え?スターボーンホースって言えばあの勇者が瀕死になってやっと倒した伝説の?」
「らしい」
「らしいって!あんちゃんそんなんじゃすぐ死ぬぜ。って言っても無駄か」
せっせと薬を小瓶に詰める。
10本詰め終わるとフェレンに渡す。
フェレンは代金を支払い扉に近づく。
「ほれ、出来たぜ。そういえばそうとあんちゃん。討伐はいつ行くんだ?」
「集団での討伐が三日後、明日には行く」
「そうか、気をつけろよ」
その言葉を背にしてこの店を出ていった。
買った薬を収納魔法で入れた後バックを取り出し荷物を確認した。
(ちなみに今使った魔法は収納魔法と言い道具であればなんでも収納することが出来る魔法。だが、収納できる量もその人の持つ魔力量によって決まって人それぞれである。)
バックに入っているは大事な物ばかりであの紋章も入っている。
フェレンはバックから紋章を取り出し紋章をまじまじと見た。
正四角形にその枠に埋まるようにひし形が載っておりその上に翼が4枚と非常にシンプルなデザインでありその紋章は全て金属で金色で出来ている。
そんな紋章を仕舞おうとするとドッと誰かに当たった。
前を向くとボロボロの服の少年が走っていた。
だが、フェレンはある違和感を覚えた。
先程仕舞おうとしていた紋章がない。
しまったと思っていたが、どうやらあの少年が盗っていったようだ。
「っち、あのガキ」
バックを仕舞い舌打ちをしムカつきながら走って追いかける。
少年は追いかけてきたのを知ったのか全速力で逃げ路地裏に入っていった。
少年はやった!と思ったが路地裏に入る姿をフェレンは確認したので急いで路地裏に入る。
少年はまじまじとその紋章を見ていた。
「おい、俺から奪った紋章を返せ」
「へ!嫌だよ。俺はこれを売ってお金持ちになるんだ」
そう言いながら逃げようとするもあっさりフェレンに捕まった。
じたばたしながらもがいている。
流石にウザったいので首とんをし気絶させ手から落ちた紋章を拾いもう一度少年を見た。
「確かに盗みたいっていう気持ちは多少分かるがお前の人生終わるぞ」
そう捨て台詞を吐いて路地裏出た。
長い寄り道だ。そう思いながらそろそろ討伐に行こうとしたが生憎とすでに太陽が落ちかけていることが見えた。
赤く燃えた太陽はフェレンを照らしそんなフェレンは宿に泊まることにした。
フェレンはいつも情報収集のため毎日居酒屋に行き、行っては情報を探している。
そんな居酒屋は一年前から静かになっていた。
誰?と聞かれると居酒屋の常連客の奴らはプルプル震えながら青ざめていた。
マスター?ぶんぶんと首を振る。
奴らは行けば分かるという。
そういって居酒屋に入って来たのはフードを被っている男だった。
そうしてその男を見た瞬間、空気は氷河のように肌寒くなり騒いでいた奴らは静かになった。
カウンターの席に着くなり急に静かになったのか周りを見た。
プルプル震えながら青ざめていた。
するとマスターが話す。
「いらっしゃい、今日も飽きずに来たんだね。残念だが、今回も情報は入っていないよ」
「いや、違う。今日は別の話だ」
「ほぅ、それは珍しい」
今フェレンと話しているマスターはマスターの中のマスターとも呼ばれている。
それはフェレンが来て数日たった日に付けられた。
2つ名ともいえる。
というようにフェレンが関係している。
早速フェレンは今回の討伐の話しについて聞こうとしたが扉から新たな客が来た。
そいつは2人ほど連れておりどかどかと奥へ進みカウンターの席へ座った。
「にしても、なんだここは!?全然騒いでねぇじゃねぇか!?どうだてめぇらもさっさと騒げ!」
そんなことをいいゲラゲラ笑いながら近くの奴を叩いた。
それによりテーブルにいたヤツらは腕でバツを作り、やめとけ!やめとけ!と必死に伝えた。
だが、そんな言葉は伝わらずフェレンはイラついていた。
相手の方も周りが全然騒がないのかイラつき怒った。
「おい!なんだよ!ってかそのお前、ここは俺の席ださっさと退け」
フェレンに指を指し退けと指図した。
さらにテーブルの奴らは笑いだし『あいつらもう終わった』全員同じことを思っており頷き酒を静かに飲んだ。
フェレンはというと怒りのメーターが既に振り切っており限界まで来た。
「おい!てめぇ聞こえなかったか!退けって言ってんだよ!?冒険者のやり方って奴を教えてやろうか!?」
「あ?俺が座ってんだ。ピーピーうるせぇな」
「お前、調子に乗るなよ」
座っていた席を立ち構える。
取り巻き2人も構える状態にしいつでもできるように準備をする。
フェレンはその行動にため息をつき席を立つ。
「どうやら本当に教えた方が良さそうだな。行くぞ歯を食いしばれ」
「はぁ、教えるのはこっちのようだな。」
「は?何言って」
相手がフェレンの言ったことを理解しようとしたが、その前にフェレンが蹴りを入れた。
その体型に似つかない威力の蹴り繰り出した。
3人はその蹴りで奥まで吹っ飛び壁にぶつかった。
その衝撃で3人は気絶、その光景を見ていたテーブルの人はより1層顔を青くさせ徐々に血相をかいてテーブルに隠れた。
「決まっているだろここのやり方だ」
フェレンはまた席に着きマスターと話した。
マスターもこういった出来事に慣れているため口に出さず黙っていた。
「済まないな。店、騒がせて」
「いや、大丈夫。私は静かな方が好きだしね。それで聞きたいこととは?」
「あぁ、今回依頼したものが確か伝説の魔獣だったか。確かスターボーンホース」
「!?ほう、またこれは中々な・・・。それでその魔獣の情報が」
「そうだ、居場所は把握している」
フェレンはそのまま話を進める。
幸いにも小声で話していたため他の人には聞かれずにより多くの情報を得れた。
「確か、今日のお昼頃に魔獣のことについて話していました」
「どんな」
「弱点と討伐隊の話でしたね。確か、魔獣の角を折れば弱くなり、数十人でかかればそんなにかからないと」
「なるほど、確かにそれは有力な情報だ」
「ただ」
「ただ?」
「その角は非常に固く、剣でやるだけでも半日もかかるとか、それに魔獣は非常に荒っぽく近づくだけでも精一杯だとか・・・・・・。」
フェレンは頷き、情報、酒の代金を支払い居酒屋を出ていった。
宿屋向かいながら情報を整理する。
ちなみにマスターが教えてくれた情報はこれだけでなく集団の討伐隊の話をしてくれた。
その集団の規模は48人、4×12のパーティーで出来ているらしく中規模な集団で討伐するらしい。
そしてその中規模集団は魔獣の討伐を3日から明日に変更された。
ややこしくなったな、そう思いながらも討伐のことを考える。
しばらく歩いていると、宿屋に着いた。
この宿屋はフェレンが1年利用しているものだ。
1泊安い上に朝ごはん付き、これ程恵まれてるものない。
その宿屋には結構お世話になっている。
割り振られていた部屋に移動しそのままベットにダイブした。
バフッとフェレンの体を包む。
あったけぇと思いながらも明日のことを考える。
「さて、明日討伐隊か。昼頃とか言ってな。仕方ない、不本意ではあるが情報の為だ。朝から出発して倒すしかないな」
フェレンは寝る前に収納魔法でバックを取り出し荷物の最終確認を行った。
ラシ、他にも包帯、水分、非常食、色々大事なものがある。紋章もそのバックに入っており、明日から行く討伐は準備万端である。
「やるか」
そんな一言を呟きフェレンは深い眠りに落ちるのだった。