第13話 2人のコンビ
文字数 4,648文字
「君たちは誰だい?もしかして俺たちを?」
自分の窮地を救ってくれた!もしかしたら助けを!?みたいな感じでケイドは少し期待しつつ尋ねた。だが、そんな人のことを考えることはない。それがフェレンであり彼の人間性である。
「あ?んなわけねぇだろ。何勘違いしてんだよ」
「え?でもあれは?」
「はぁ、扉を開けた瞬間、目の前に殺気があったから殺られる前にと思ってやったが結果的にお前を助ける形になった訳だ」
そう、フェレンは扉を開けると同時にリフレクターを展開した。それは自分の身を守るため。番人ってこんな感がいいのかと思っていたがケイドに止めを指すためだったらしくフェレンは勘違いをしてしまった。それを隠すために少し嘘を交えて言ったのだ。
そんなことはエルナにもわかっており勘違いという可愛い姿を見れたことにより少し微笑んだ。それと同時に絶対に倒すという意志の眼をフェレンは身近で感じた。
「早く退け、邪魔だ」
「え?」
突然そんなことを言われて素っ頓狂な声で返すケイドは最初はわからなかったが時間が経つにつれて理解した。
そして、フェレンに“わかった”と言おうとしたが他の冒険者が声を挟んだ。それと同時に周りに視線が集まる。
「おい!てめぇリーダーに向かって言うんじゃねぇよ!」
「あ?」
ケイドに向かって邪魔だと言ったフェレンが気に食わないのだろう。当然である。急に現れて何処の馬の骨のわからないやつに邪魔だと言われたのだ言われて当然である。
事実なもんは事実なんだから仕方ないだろ、見たい目でフェレンは冒険者達を見ておりやがてため息をついた。
「はぁ~、あのな。こんな雑魚相手に苦戦してんだから。無理に決まってる。だから俺は邪魔だと言ったんだ」
「て、てめぇ!」
「ほら、敵さんは弱いお前を狙っているぞ」
「え?」
フェレンに言われるとおり後ろを向くとそこには大剣を振りかぶり今にも斬り殺そうとしている魔獣がいた。
だが、時すでに遅し。抜け出そうにも体が動かず言う事を聞かない。くそ!と苦悶を上げ目を閉じる冒険者。そして魔獣はその大剣を振り下ろした。
が、目を瞑ったが何も起こらず数秒が経過した。おかしい?とそんな異変に気づいた冒険者は目を開けた。そこには空色の六角形の板がケイドと同じように守っていた。冒険者は驚きながらもフェレンを見る。
ほら、というようにフェレンは声を上げる。
「ほらな、お前らは弱いんだ後ろに下がって見ていろ!エルナ行くぞ」
「うん!」
エルナはいい返事を返し収納魔法を使ってマジックドール、銀髪のルナと黒髪サタンを空中からポンッと出した。フェレンも同じようにして剣を取り出し魔獣に向かって走り始めた。
タッタッタッと向かうフェレンに魔獣は気づく。それに2回も始末することに失敗したことに魔獣は怒りを顕(あらわ)にしたように体をスピードに乗せ加速し姿を消した。
するとフェレンは走っていた足を止め、後ろに振り向くと同時に剣を下から上に斬り上げる。だが、そこで剣の動きが止まる。それと同時に金属と金属がぶつかる音と衝撃波がエルナ達を襲う。
魔獣は剣を受け止めたことに驚きながらも姿を見せる。そこには両手で持っている大剣で斬ろうとしていた魔獣がいた。
「ふん、俺が受け止められるんだったら弱いな」
フェレンは少し力を入れただけで大剣を受け止めてしまった。なら、まだあの伝説の魔獣の角が頑丈だったぞ。とでも言うように鼻を鳴らしその後風が舞う程の回し蹴りを魔獣に入れた。
案の定その勢いに負け30メートルくらい吹っ飛んだ魔獣。魔獣はやり返そうとフェレンに向かい走る。
「エルナ!今だ!」
だが、そうはさせまいとフェレンの合図によりエルナはマジックドール、ルナとサタンを使い一言、魔法を放つトリガーを引いた。
「“ミストカーテン”、“黒炎天雨(こくえんてんう)”」
そう言うとルナの手が7色の光に輝き、その光はフェレンに移った。するとその光は消えそれと同時にフェレンの姿も足から消えていった。
これがエルナの覚えた魔法、ミストカーテン。この魔法を使うと光の屈折、反射によって目を錯覚させ姿を透明にさせ見えないと認識させる魔法。
もちろん相手にはそう簡単にはバレないが、弱点といのも存在する。それは自分よりレベルが高い人だと魔法は効かない。やるとしたら自分よりレベルが低い奴に限る。
が、今のフェレンのレベルはこの魔獣よりも超えているのでそう簡単には見つからなかった。
魔獣はフェレンが消えたことに驚きながらも今姿が見えるエルナに目を向けた。また、姿を消し行こうとしたものの、エルナのマジックドール、サタンが紫の魔法陣を手からだし1メートルくらいの黒い玉が1つ発射された。
その玉は時速30kmという速さで魔獣に向かった。魔獣は黒い玉が自分に向かってくると分かると大きな黒い大剣を横に向け防御する体勢に入った。
あと数十メートル、数メートルだがそこで予想外なことが起こった。魔獣はその黒い玉に向かって走る。勢いに任せてはね返そうとしたのだろう。だが、それを予測してたかのようにその黒い玉は盾に当たる直前、上に上昇した。
そしてその黒い玉は1度空中に止まり、膨張を始めた。やがて、膨張しきったその黒いは玉は自分でも抑えられない程大きなり次の瞬間その膨張した黒い玉は破裂しパァン!と破裂音と共に粒子となった。
これでもう攻撃は来ない。そんなふうに思っていた。魔獣だが、ふと上を見上げる。すると、消えたはずの黒いはの粒子がだんだんと黒い雲へと変わっていく。そうして魔獣の真上に広がったその黒い雲から黒い炎が雨のように降ってきた。
これはエルナのお気に入りの魔法でもあり闇属性にして火属性、複合魔法にしてエルナのオリジナルであり更にはイメージ補正も身に付けていたので威力は絶大だ。
ヒュンヒュンと黒い炎が降る中、大剣で身を守る魔獣だが数が数だけに対処しきれず鎧に当たる。その鎧に付いた炎は消えずずっと残っていた。苦しいというわけではないが燃えているので鬱陶しい。気づけば地面や鎧に所々あたり周りは既に黒い炎の海だった。
ずっと続くと思っていた黒い炎の雨は止み、鎧や地面に付いた炎は消え魔獣はようやくその場から動く。魔獣は全く攻撃が出来ずやられっぱなしで怒りに震えていた。
次こそはとエルナに近づこうとするが次の瞬間姿を消していたフェレンは目の前に現れ攻撃を受けた。
「硬」
そう言いながらもフェレンは剣を振り鎧を砕くように傷を付けていく。だが、魔獣もやられるまま黙っておらず反撃する。
剣と剣がぶつかり中フェレンは拘束を使いながら鎧に傷を入れていく。だが、なかなか決めていなる攻撃が与えられない。
エルナの援護を受けているがとにかく硬い。ダイヤモンドのように硬く中々突破できない。そんな中フェレン仕方ないと割り切った。
フェレンは拘束を使い、1度エルナの所まで離れた。ふぅ、と息を着き収納魔法を使う。今使っていた剣を仕舞い、そこからあるものを出した。刀身が1メートルあり赤黒く染まっている大きな大剣だ。それはまるで赤黒く血を連想させるものでありフェレンはそれを軽々と片手で持った。
それを見たエルナは1度大丈夫?とフェレンに声をかける。
「大丈夫さ、あんな雑魚。ただ、またもう一度ミストカーテンを頼む。それとお前のとっておきをお見舞いされるから準備しろ」
「うん!ミストカーテン!」
勢い良く返事をしエルナはもう一度ミストカーテンを使いまた、フェレンを隠す。その間にエルナはさっき言われたとっておきを準備する。
拘束で足止めをされていた魔獣は鎖を引きちぎり姿を消したフェレンを放っておきエルナを先に倒すため姿を消し高速移動をした。
だが、今まで戦いを見てきたエルナ。既にわかっていると言うようにマジックドール、ルナなサタンを後ろに回しパーソナルカラーである剣を構える。それと同時に魔獣がエルナの後ろで姿を現し大剣を振り下ろした。
「あ、危ない!?」
今まで黙って見ていたケイドだが姿を消しエルナを狙うことに気づき、そして今斬られようとしている。危ない!?と声をかけるもエルナは動かず逆に少し微笑んだ。
そして、切り裂かれると思われたが、エルナはそれをわかっているかのように振り向かずマジックドール、ルナとサタンに魔力を込めその振り下ろされた大剣を止めた。
魔獣は止められたことに驚いているのか怒っているのか分からないが力が弱まり一歩その場を引いた。その一瞬、エルナは逃がさないというようにサタンは剣の力を緩め逆にサタンの手から紫の魔方陣が出てきた。そして一言。
「黒凍(こくとう)」
すると魔方陣から黒い氷の礫が無数に出てきて魔獣を襲い、足から攻めていく。魔獣も守りに入るがある異変に気づく。
何と足元から黒く凍り始めている。逃げ出そうとしても凍るスピードが早く抜け出せそうになかったか。そこから追撃すると思っていた魔獣だがエルナは1度後ろに下がった。
時間稼ぎになったそう思いながらエルナは一息着きとっておきの魔法を準備する。相手にしていないならチャンス!と魔獣は剣を使いながら氷を砕く。
だが、砕かせるか!と言うように目の前にフェレンが姿を現し魔獣の左腕を切断した。苦悶のような呻き声を上げ左腕が肩から先がないことに驚いていた。まるで自分の体は切断出来ないとおもっていたように。魔獣はありえないと体をブォンブォンと揺らし暴れる。
その様子を見て面倒だなぁと言うようのにフェレンは姿を魔獣の目の前で見せその後大剣を大きく振りかぶり胴体を切断した。血は出てこずただ斬られた胴体の落ちる音がガランッとここ一体に響いた。
そして次の一言でようやくこの戦いが終わる。
「エルナ!」
「千魔烈断(せんまれつだん)」
その声と同時に2体のマジックドールにうっすらとパーソナルカラーの剣が光った。胴体を切断された魔獣は諦めずずっと体を揺らし殺られないよう必死に足掻いている。
だが、そんなことは自分の死を遅らせることしかできないことでありエルナがそんなことを見逃すはずもなくマジックドールを魔獣に近付け空中を斬った。
だが、空中を斬った所は魔獣と同じ方向に斬られており魔獣はすぐに理解することは出来なかったが時間が経つにつれて理解した。
そして自分に死が降り注ぐとわかってからもっと暴れ体を揺らす。その行動にいい加減イラッと来ていたエルナは更に魔力を込めマジックドールのスピードを上げたそれと同時に見えない斬撃が魔獣を襲う。
ちなみに千魔烈断は空中の魔力で斬っておりその魔力を通してから相手にダメージを与える。そしてまたスピードが上がる。とうとう魔獣はエルナの姿を目で追えなくなった。
それと同時に魔獣の体はバラバラになった。だが、エルナはそれだけではまだ足りないっと言うように先ほどのマジックドールをもっと加速させみじん切りにしてやった。その結果みじん切りにされた魔獣は跡形も無くサラサラッと砂のように消えた。
数十分で倒したと思われていた魔獣だが本当は数分で倒していた鎧の魔獣エルナは終わったと少し息を着いて後ろに振り向きフェレンに近づいた。戦いが終わりフェレンは武器を仕舞いエルナに近づいた。エルナは少し微笑んで抱きついた。
突然の行動にフェレンは少し驚きながらもエルナを受け止め撫でてやった。そして一言呟いた。
「良くやった」
その言葉にエルナは嬉しさの余りフェレンを更に締め付けた。痛い痛いと言いながら微笑みながら見ていた。良い奴がいるんだなとそう思いながら。
自分の窮地を救ってくれた!もしかしたら助けを!?みたいな感じでケイドは少し期待しつつ尋ねた。だが、そんな人のことを考えることはない。それがフェレンであり彼の人間性である。
「あ?んなわけねぇだろ。何勘違いしてんだよ」
「え?でもあれは?」
「はぁ、扉を開けた瞬間、目の前に殺気があったから殺られる前にと思ってやったが結果的にお前を助ける形になった訳だ」
そう、フェレンは扉を開けると同時にリフレクターを展開した。それは自分の身を守るため。番人ってこんな感がいいのかと思っていたがケイドに止めを指すためだったらしくフェレンは勘違いをしてしまった。それを隠すために少し嘘を交えて言ったのだ。
そんなことはエルナにもわかっており勘違いという可愛い姿を見れたことにより少し微笑んだ。それと同時に絶対に倒すという意志の眼をフェレンは身近で感じた。
「早く退け、邪魔だ」
「え?」
突然そんなことを言われて素っ頓狂な声で返すケイドは最初はわからなかったが時間が経つにつれて理解した。
そして、フェレンに“わかった”と言おうとしたが他の冒険者が声を挟んだ。それと同時に周りに視線が集まる。
「おい!てめぇリーダーに向かって言うんじゃねぇよ!」
「あ?」
ケイドに向かって邪魔だと言ったフェレンが気に食わないのだろう。当然である。急に現れて何処の馬の骨のわからないやつに邪魔だと言われたのだ言われて当然である。
事実なもんは事実なんだから仕方ないだろ、見たい目でフェレンは冒険者達を見ておりやがてため息をついた。
「はぁ~、あのな。こんな雑魚相手に苦戦してんだから。無理に決まってる。だから俺は邪魔だと言ったんだ」
「て、てめぇ!」
「ほら、敵さんは弱いお前を狙っているぞ」
「え?」
フェレンに言われるとおり後ろを向くとそこには大剣を振りかぶり今にも斬り殺そうとしている魔獣がいた。
だが、時すでに遅し。抜け出そうにも体が動かず言う事を聞かない。くそ!と苦悶を上げ目を閉じる冒険者。そして魔獣はその大剣を振り下ろした。
が、目を瞑ったが何も起こらず数秒が経過した。おかしい?とそんな異変に気づいた冒険者は目を開けた。そこには空色の六角形の板がケイドと同じように守っていた。冒険者は驚きながらもフェレンを見る。
ほら、というようにフェレンは声を上げる。
「ほらな、お前らは弱いんだ後ろに下がって見ていろ!エルナ行くぞ」
「うん!」
エルナはいい返事を返し収納魔法を使ってマジックドール、銀髪のルナと黒髪サタンを空中からポンッと出した。フェレンも同じようにして剣を取り出し魔獣に向かって走り始めた。
タッタッタッと向かうフェレンに魔獣は気づく。それに2回も始末することに失敗したことに魔獣は怒りを顕(あらわ)にしたように体をスピードに乗せ加速し姿を消した。
するとフェレンは走っていた足を止め、後ろに振り向くと同時に剣を下から上に斬り上げる。だが、そこで剣の動きが止まる。それと同時に金属と金属がぶつかる音と衝撃波がエルナ達を襲う。
魔獣は剣を受け止めたことに驚きながらも姿を見せる。そこには両手で持っている大剣で斬ろうとしていた魔獣がいた。
「ふん、俺が受け止められるんだったら弱いな」
フェレンは少し力を入れただけで大剣を受け止めてしまった。なら、まだあの伝説の魔獣の角が頑丈だったぞ。とでも言うように鼻を鳴らしその後風が舞う程の回し蹴りを魔獣に入れた。
案の定その勢いに負け30メートルくらい吹っ飛んだ魔獣。魔獣はやり返そうとフェレンに向かい走る。
「エルナ!今だ!」
だが、そうはさせまいとフェレンの合図によりエルナはマジックドール、ルナとサタンを使い一言、魔法を放つトリガーを引いた。
「“ミストカーテン”、“黒炎天雨(こくえんてんう)”」
そう言うとルナの手が7色の光に輝き、その光はフェレンに移った。するとその光は消えそれと同時にフェレンの姿も足から消えていった。
これがエルナの覚えた魔法、ミストカーテン。この魔法を使うと光の屈折、反射によって目を錯覚させ姿を透明にさせ見えないと認識させる魔法。
もちろん相手にはそう簡単にはバレないが、弱点といのも存在する。それは自分よりレベルが高い人だと魔法は効かない。やるとしたら自分よりレベルが低い奴に限る。
が、今のフェレンのレベルはこの魔獣よりも超えているのでそう簡単には見つからなかった。
魔獣はフェレンが消えたことに驚きながらも今姿が見えるエルナに目を向けた。また、姿を消し行こうとしたものの、エルナのマジックドール、サタンが紫の魔法陣を手からだし1メートルくらいの黒い玉が1つ発射された。
その玉は時速30kmという速さで魔獣に向かった。魔獣は黒い玉が自分に向かってくると分かると大きな黒い大剣を横に向け防御する体勢に入った。
あと数十メートル、数メートルだがそこで予想外なことが起こった。魔獣はその黒い玉に向かって走る。勢いに任せてはね返そうとしたのだろう。だが、それを予測してたかのようにその黒い玉は盾に当たる直前、上に上昇した。
そしてその黒い玉は1度空中に止まり、膨張を始めた。やがて、膨張しきったその黒いは玉は自分でも抑えられない程大きなり次の瞬間その膨張した黒い玉は破裂しパァン!と破裂音と共に粒子となった。
これでもう攻撃は来ない。そんなふうに思っていた。魔獣だが、ふと上を見上げる。すると、消えたはずの黒いはの粒子がだんだんと黒い雲へと変わっていく。そうして魔獣の真上に広がったその黒い雲から黒い炎が雨のように降ってきた。
これはエルナのお気に入りの魔法でもあり闇属性にして火属性、複合魔法にしてエルナのオリジナルであり更にはイメージ補正も身に付けていたので威力は絶大だ。
ヒュンヒュンと黒い炎が降る中、大剣で身を守る魔獣だが数が数だけに対処しきれず鎧に当たる。その鎧に付いた炎は消えずずっと残っていた。苦しいというわけではないが燃えているので鬱陶しい。気づけば地面や鎧に所々あたり周りは既に黒い炎の海だった。
ずっと続くと思っていた黒い炎の雨は止み、鎧や地面に付いた炎は消え魔獣はようやくその場から動く。魔獣は全く攻撃が出来ずやられっぱなしで怒りに震えていた。
次こそはとエルナに近づこうとするが次の瞬間姿を消していたフェレンは目の前に現れ攻撃を受けた。
「硬」
そう言いながらもフェレンは剣を振り鎧を砕くように傷を付けていく。だが、魔獣もやられるまま黙っておらず反撃する。
剣と剣がぶつかり中フェレンは拘束を使いながら鎧に傷を入れていく。だが、なかなか決めていなる攻撃が与えられない。
エルナの援護を受けているがとにかく硬い。ダイヤモンドのように硬く中々突破できない。そんな中フェレン仕方ないと割り切った。
フェレンは拘束を使い、1度エルナの所まで離れた。ふぅ、と息を着き収納魔法を使う。今使っていた剣を仕舞い、そこからあるものを出した。刀身が1メートルあり赤黒く染まっている大きな大剣だ。それはまるで赤黒く血を連想させるものでありフェレンはそれを軽々と片手で持った。
それを見たエルナは1度大丈夫?とフェレンに声をかける。
「大丈夫さ、あんな雑魚。ただ、またもう一度ミストカーテンを頼む。それとお前のとっておきをお見舞いされるから準備しろ」
「うん!ミストカーテン!」
勢い良く返事をしエルナはもう一度ミストカーテンを使いまた、フェレンを隠す。その間にエルナはさっき言われたとっておきを準備する。
拘束で足止めをされていた魔獣は鎖を引きちぎり姿を消したフェレンを放っておきエルナを先に倒すため姿を消し高速移動をした。
だが、今まで戦いを見てきたエルナ。既にわかっていると言うようにマジックドール、ルナなサタンを後ろに回しパーソナルカラーである剣を構える。それと同時に魔獣がエルナの後ろで姿を現し大剣を振り下ろした。
「あ、危ない!?」
今まで黙って見ていたケイドだが姿を消しエルナを狙うことに気づき、そして今斬られようとしている。危ない!?と声をかけるもエルナは動かず逆に少し微笑んだ。
そして、切り裂かれると思われたが、エルナはそれをわかっているかのように振り向かずマジックドール、ルナとサタンに魔力を込めその振り下ろされた大剣を止めた。
魔獣は止められたことに驚いているのか怒っているのか分からないが力が弱まり一歩その場を引いた。その一瞬、エルナは逃がさないというようにサタンは剣の力を緩め逆にサタンの手から紫の魔方陣が出てきた。そして一言。
「黒凍(こくとう)」
すると魔方陣から黒い氷の礫が無数に出てきて魔獣を襲い、足から攻めていく。魔獣も守りに入るがある異変に気づく。
何と足元から黒く凍り始めている。逃げ出そうとしても凍るスピードが早く抜け出せそうになかったか。そこから追撃すると思っていた魔獣だがエルナは1度後ろに下がった。
時間稼ぎになったそう思いながらエルナは一息着きとっておきの魔法を準備する。相手にしていないならチャンス!と魔獣は剣を使いながら氷を砕く。
だが、砕かせるか!と言うように目の前にフェレンが姿を現し魔獣の左腕を切断した。苦悶のような呻き声を上げ左腕が肩から先がないことに驚いていた。まるで自分の体は切断出来ないとおもっていたように。魔獣はありえないと体をブォンブォンと揺らし暴れる。
その様子を見て面倒だなぁと言うようのにフェレンは姿を魔獣の目の前で見せその後大剣を大きく振りかぶり胴体を切断した。血は出てこずただ斬られた胴体の落ちる音がガランッとここ一体に響いた。
そして次の一言でようやくこの戦いが終わる。
「エルナ!」
「千魔烈断(せんまれつだん)」
その声と同時に2体のマジックドールにうっすらとパーソナルカラーの剣が光った。胴体を切断された魔獣は諦めずずっと体を揺らし殺られないよう必死に足掻いている。
だが、そんなことは自分の死を遅らせることしかできないことでありエルナがそんなことを見逃すはずもなくマジックドールを魔獣に近付け空中を斬った。
だが、空中を斬った所は魔獣と同じ方向に斬られており魔獣はすぐに理解することは出来なかったが時間が経つにつれて理解した。
そして自分に死が降り注ぐとわかってからもっと暴れ体を揺らす。その行動にいい加減イラッと来ていたエルナは更に魔力を込めマジックドールのスピードを上げたそれと同時に見えない斬撃が魔獣を襲う。
ちなみに千魔烈断は空中の魔力で斬っておりその魔力を通してから相手にダメージを与える。そしてまたスピードが上がる。とうとう魔獣はエルナの姿を目で追えなくなった。
それと同時に魔獣の体はバラバラになった。だが、エルナはそれだけではまだ足りないっと言うように先ほどのマジックドールをもっと加速させみじん切りにしてやった。その結果みじん切りにされた魔獣は跡形も無くサラサラッと砂のように消えた。
数十分で倒したと思われていた魔獣だが本当は数分で倒していた鎧の魔獣エルナは終わったと少し息を着いて後ろに振り向きフェレンに近づいた。戦いが終わりフェレンは武器を仕舞いエルナに近づいた。エルナは少し微笑んで抱きついた。
突然の行動にフェレンは少し驚きながらもエルナを受け止め撫でてやった。そして一言呟いた。
「良くやった」
その言葉にエルナは嬉しさの余りフェレンを更に締め付けた。痛い痛いと言いながら微笑みながら見ていた。良い奴がいるんだなとそう思いながら。