第3話   討伐

文字数 4,746文字

1人ずっと立っている。
闇の中で永遠に、その闇の中であの仮面が父さんと母さんを殺した。
そしてまた1人だけ。
今度は貴族の家族が監禁、暴力を振るいそして仮面に殺される。

「はぁはぁはぁはぁ」

そこでフェレンは目を覚ました。
頭を押さえる。
激痛に耐えながらも夢に見た記憶を鮮明に思い出す。

「また、あの夢か。久しぶりに見たな」

そう呟かずにはいられない。
ベットから降り窓のカーテンを開ける。
そこの景色は丁度朝日が出ている瞬間だった。
そんな景色にも目をくれず歯磨きをし服を着替え軽い身支度をする。
そしてもう一度ベットに座り今日の討伐について考える。

しばらくすると朝食の時間になったので朝食を食べに行った。
相変わらずの普通だな、心でそう呟きながら情報をまとめていく。
部屋に戻り荷物を持って宿屋を出た。
空は快晴であり太陽の光が気持ちいい。
そう思いながらフェレンはフードを被りまずある目的地に向かう。

ちなみにここから北の門まで少し遠い。
たどり着くには数十分はかかる。
10分くらい経つと目的地についた。
そこは少し公園のような場所で噴水のある広場だった。

そこには約50人くらいの人が集まっている。
これがマスターが言っていた通り中規模集団だ。
もう既に集まっており、行こうとしている。

「っち」

フェレンは舌打ちをし次の方法を考える。
本当であればもっと早く先行し討伐しておくつもりだったが討伐隊は思ったりも早く準備を済ませており、隊長のような人が率いて出発してしまった。

そこでフェレンは別の考えに至った。
もし、ここで一緒に討伐隊と魔獣に出会えばそこの冒険者と魔獣の強さがよく分かるかもしれない。
そんな考えに至ったフェレンは早速中規模集団に混じるのだった。

「済まない、遅れた」
「ん、あんたも魔獣を倒しに行くのか。ってか仲間はどうした」
「あぁ、仲間はいないんだ。俺だけだ」
「う、嘘だろ!?ってお前さんも分かるだろ!その恐ろしさが」
「知っている。だから行く」
「お、お前さん。命知らずだな。まぁ、しばらくの間よろしく」

握手を求めていたがフェレンはそのまま前に進んだ。
運良く中規模集団に混ざれたようだ。
そうして中規模集団は魔獣がいる場所まで歩くのだった。

北門を越え草原地帯に進む。2キロ先歩くと森の入口がありそこに入る。
木々は5メートルを越えておりそのうち1本だけ高さ20メートルくらいの大木があり中規模集団はそこを目指すようだ。
着いた場所は広場になっており草原が広がってる中、中心に大木が据わっている。
やがて大木に近づく頃、先行していた隊長が声を上げた。

「総員、直ちに戦闘準備!伝説の魔獣スターボーンホースを発見されたし!繰り返す!総員、直ちに戦闘準備!伝説の魔獣スターボーンホースを発見されたし。直ちに散開し合図を待て!」

隊長がそう言い終わると他のパーティーを組んでいる人達は武器を取り出しつつ散開した。
だが、フェレンはそんなことをせず近くの木にジャンプし枝に移った。

戦闘が始まったか、そんなことを思いながらも魔獣に視線を向け観察する。
魔獣は骨だけである。
身長は大体4メートルほど。
頭には見たことの無いほどの巨大な角が生えており、骨しかないユニコーンといえばわかりやすい。
しかもその見た目では分からないほどのスピードとパワーを持っておりその長所を活かして他のパーティーに角を出して突進している。


「総員、陣形を整えつつ攻撃せよ!タンクは敵に挑発し続けろ!魔術師は拘束魔法を唱え、魔獣を拘束せよ!攻撃部隊は積極的に角を攻撃し、敵の体力を減らせ!回復部隊はいつでも回復できるように準備をしておけ」

的確な指示により集団は大きく動けている。
その集団は3つに別れひし形の形を陣形にして攻撃4人、タンク4人、魔法が4人、回復が4人といったバランスの取れている陣形を組みその3つのひし形が連携することで着々とダメージを与えられている。

だが、今戦っているのは伝説の魔獣だ。
これが普通の魔獣だったら簡単に倒せたていただろう。

魔獣はその足で高く飛ぶ。
下を見ながら攻撃する目標を狙っていく。
狙いが決まったのか角を下にして標的に向ける。
そのまま勢い任せて落下した。
そのそして魔獣の重さがどんどんスピードを加速させいく。
その進行方向には隊長に向けており司令官から倒したていく。そんな算段だろうか。

段々と隊長に近づいていく。
その狙いがわかった隊長だが動こうとしても動けず足が震えている。
なんで?そう思いながら必死に足を動かそうと力を入れている。
だが、それよりも早く魔獣が近づく。
角が当たる瞬間足が動き咄嗟に横に飛んだ。
仲間は避けられた隊長を見て安堵したが次の声で状況が一変する。

「た、隊長!足に穴が!」
「だ、大丈夫だ。心配するな。取り敢えず、お前が指揮を取り陣形を整えろ」
「わ、わかりました!では、隊長らしばらくここに休んでください」
「あぁ、そうさせてもらう」

隊長の足には大きな穴が空き戦闘ができない状態になった。
その代わりに隊長のパーティーだろうか。
陣形を整え指揮を取っていたが魔獣の攻撃が激しく対処が難しくなってきた。
そして隊長の足を貫いた、巨大な小さく光る虹色の角、隊長の大きな穴、その姿を見て決まったのか。
他の冒険者達は戦意喪失しかけていたり、次第に怯え、怪我人が出たり死人が出始めた。

その光景に指揮を取っていたパーティーの人はこの状況に手に負えなくなり、1人で声を上げ逃げてしまった。

「うわあああああああぁぁぁ!?」

その声に反応してたくさんの冒険者が見た。
俺も逃げなきゃ!殺される!
そして声に釣られるようにぞろぞろと冒険者は逃げていった。
だが、残った者もいる。
重症を負っている隊長、そして死人。

魔獣は今も生きている人を狙っている。
そう隊長だ。
魔獣は今にも突進して行きそうな勢いがある。
逃げたい!その気持ちでいっぱいだが、その大きな穴が空いている足では逃げることは出来ない。
だが、別の場所に移ろうと移動しようした結果。
魔獣は勢いをつけて突進してきた。

もうダメだ、ここで死ぬ。そんな考えが頭に駆け回り体を縛る。
クソ!そんな思いが回るが体は限界を迎えており木を背中につけズルズルと落ちた。
ヤバい、本当に死ぬ。
そんなふうに思った時には目を瞑っており死ぬ覚悟を決めていた。

残り数百メートル、数十メートル、数メートルだが、そこで止まる。
激しい地響きが無くなっている。目を開けると何かの魔法で拘束されていた。
すると次の瞬間大きな轟音と衝撃と魔獣の叫び、人の声がこの森を響かせた。

「ヒィィィィィィィィ!?」
「静かにしろ骨屑が!っと」

住んでいた小鳥たちはどこかに飛んでいき代わりに下から何かが落ちて来るのが見えた。

数分前

フェレンは戦闘の様子を見ていた。
どのように戦うか、どのような戦略にするか。
だが、部隊があっという間にやられ考えてる時間がなかった。
剣を出し全員がいなくなるまで待ったが魔獣がこちらに向かってくるのが見えた。直ちにスキルを展開し拘束した。

「拘束」

一言放つと魔獣の足元から幾何学な模様、魔法陣が展開し青い鎖が出てきた。
その鎖はぐるぐる足を巻いて木に当たる直前までに拘束出来た。
その隙にフェレンは魔獣の角を狙い、落下攻撃を仕掛けた。
一瞬の間で起こったが剣は角を少し削りフェレンはそのまま地面に着地した。

「あ?まだ人がいたのか?まぁ重症だな」
「あ、あんたは?」
「今それは関係ない。ララジンやるから早くそこをどけ。邪魔だ」
「あぁ、済まない」

フードから覗く眼を見た。
一瞬恐いと思いながらも頼もしく、あの魔獣を倒してくれるんじゃないか?そんなことも思いながら隊長はすぐにララジンを使う。
みるみる穴が塞がって治っていく。既に無くなっている傷を見て嬉しく思いながらもすぐにその場から離れた。

「やっと退いたか。ったく、のろまなんだよ」

そう呟きながら、空高くジャンプし、拘束してある魔法を解いた。
その直後、木にぶつかる轟音が森に響いた。
魔獣は耐性を崩し、転んだがすぐに立ち上がり目標を定める。
フェレンはサッと逃げるように巨大な大木に移った。
そしてフェレン一息つきは確実にその骨を確実に壊すように狙いを決める。ひとつまたひとつと。

「まず肋骨、次に足、そして最後にその頭の角」

そういった通りフェレンは足を狙っていく。
また、スキルで魔獣を拘束させようとするが、そんな物に喰らうか!というように空高くジャンプし隊長をやったように貫こうとしている。

だが、フェレンもそこまで怖らがらず逆に魔獣の方に飛んだ。
魔獣はそんなことを想定していなかったのか焦っておりどうしようかと考え動きが止まる。
フェレンはチャンスと思ったのか手を魔獣に向けスキルを言った。

「拘束」

今度は空中、避けられるはずもなく。
魔獣は足を封じられた。
解こうするが解けずそのまま突っ込んでくるフェレンに剣で肋骨を斬られた。
魔獣はそのまま、落下していくフェレンはまたもまた落下していくが魔獣の角に乗って行く。
角は硬かったがその分足や他の所は脆いようだ。

「脆いな、やっぱりただの骨だな。次は足」

そのまま地面に着いた。
魔獣はしばらく動けずいた。
フェレンは何事もなくそのまま降りて足を狙う。
立てる暇も与えず攻撃するが肋骨と違って足は中々に硬かった。
剣で斬っているがダメージは与えられずしばらく攻撃していると魔獣の足が動き立ってしまった。

っち、と舌打ちをしフェレンは後ろに下がった。
どうやってやるかなと考えていると魔獣に動きがあった。
魔獣はその大きな角を真上に掲げる。
すると、上空から雷雲が突如として現れた。
その雷雲は徐々に光を大きくさせ、そして敵フェレンに大きな雷鳴と共に稲妻を落とした。

ゴロロロロロロロロロ!!ピシャア!?

「は?」

稲妻が落ちた場所には火がついており煙が立ち込めていた。
やったか、と伺うように魔獣は落ちた所に近づいて見た。
だが、そこに声が響いた。

「あっぶねぇー。あともう少し遅かったら焼けていたな。ふぅ、流石伝説と言われるほどではあるな。だが」
「ヒィイイイイイイイイイイイイイン!?」

突如として現れたフェレン。
それに驚く魔獣。
フェレンの頭上には見蕩れるほど綺麗な空色をした六角形の板が浮いていた。

「俺のリフレクターには叶わない。残念だったな」
「ヒィイイイイイイイイイイイイイン!」

フェレンは稲妻に当たる直前全ての攻撃を弾くスキルリフレクターを展開させ、稲妻を弾いたのだ。
そのことに魔獣は驚きながらもまた稲妻を落とそうとしたが、そうはさせまいとフェレンは懐に入り魔獣の足と角を斬った。
足は簡単に斬れたがやはり角のが硬く弾かれるばかり、何か策はないかと考える。

そしてフェレンは不敵な笑みを浮かべた。
魔獣もこのままやられる訳にはいかずまた稲妻を落とすが簡単に弾かれる。
魔獣は足をやられた為起き上がることが出来ずに稲妻を落とすことしかできなかった。

だが、フェレンは剣で攻撃する。
角を集中的に斬りながら何やら準備をしている。
段々角が削れてほとんど折れてる状態だ。
魔獣は叫び声を上げながら必死に抗う。

「ヒィイイイイイイイイイイイイイン」
「さて、骨やろうここで終わりだ」

そういった後ろに下がり指を上に指した。
雷雲に1つの穴が空いておりそこに何枚も重ねてある魔法陣が魔獣の上に形成されていた。
魔獣はこれにびっくりし言葉を失ったのか叫ばなくなった。

やがて、その魔法陣は強い光を帯び始めた。
その光は強くこの森一体を照らした。
だが、その光も一瞬にして魔獣に放たれた。
レーザーのようにその光は魔獣に当たり、焼かれていきやがて溶けていった。

数分間その光景が続いた。
その光も次第に消え、残ったのはフェレンと。巨大な小さく光る虹色の角だけが残っていた。
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