第17話   方針

文字数 4,821文字

魔法陣の青い光に視界は包まれていたがやがてその光も徐々に収まり視界が戻っていく。暗くよどんだ空気がなく代わりに明るい緑の景色に自然の環境で生成された空気がフェレン達を迎えた。

一瞬で出てこれたことにはじめは実感が湧かなかったが次第に2人は頬を緩ませやった!と抱きついた。たった3日、迷宮にいたがそれでも地上に出れただけで嬉しくなってしまう。

そんな思いを胸いっぱいに感じながら2人は離れて周りを見渡した。

「ここどこ?」
「うーん、あ!あれ迷宮の入口じゃないか」

石レンガの階段やこけがついている円柱の建物を視界に捉えた。フェレンはその建物が迷宮かどうか確認をしに歩く。

「どう?」
「あぁ、これ俺たちが入ったのと同じだな。じゃ帰るのは簡単だな」
「うん、帰ってお風呂」

そんな会話をしながら歩き始めるフェレン達。澄んだ空気やちょっとしたそよ風が心地よくゆっくりと帰路を辿る。歩いている中エルナはフェレンに寄りかかりながら静かに喋る。

「ねぇ、フェレン」
「なんだ」
「気になってたんだけどステータス解放とかオーバーアップについて教えて」
「そうだな、確かにそのことは言ってなかったな。なら今から説明するぞ」

そう言ってフェレンは右手の人差し指をピンと立てて話そうとするものの途中、誰かがフェレン達の道を阻んだ。道を阻んだ奴らはフェレン達を見て笑っていた。

「おい、女と金を俺たちに差し出せば命だけは助けてやるよ」
「あ?何言って・・・・・・。あ、お前ら」
「あ?てめぇこそ何言って・・・あ!てめぇ」

お互い見たことある顔そして3人組持っている武器や装備で2人はあ、思い出し2人は同時に言った。

「「お前ら(てめぇ)あの時の!?」」

突然現れたことで最初はわからなかったもののフェレンは迷宮ではめれて落とされたことにすごい印象に残っておりきっと多分これからも忘れることはないだろう。

そして早速落としてくれた3人組に出会えたことにフェレンは非常に感謝しておりこれでプチ復讐ができるぞ!と心を踊らせていた。

対して3人組はというと迷宮の入口の少し前で相手をハメるための待ち伏せをしており偶然にもフェレン達だと気づかずに声をかけてしまった。その事に今は後悔しており何やってんだよ!俺!と愚痴を零していた。

「さてとお前らは俺たちをハメたんだ。それ相応の覚悟は出来てるだろうな」
「いや・・・」
「口答えはいいんだよ。いいから黙って言う通りにしろ。でないと殺すぞ」
「「「はい」」」

今更こんな人達に抵抗したってどうせ殺られるのがオチだ。そんな冷静な判断をしながらフェレンが収納魔法で出したロープに3人組はグルグル巻にされ、そのまま引きずられて行った。

3人組が引きずられている中エルナはさっきの話の続きをしようとまた寄りかかった。そんな甘えるエルナにフェレンはそれを受け入れ話し始めた。

ここで今1度フェレンのステータスを見ようと思う。


────────────────────────
フェレン・ディーア 男 15歳 LV202ランク★5
種族 人族
職業 冒険者 剣士
体力・1960 (10500)
筋力・1990 (10400)
魔力・1980 (10010)
俊敏・2010 (11000)
知力・1970 (10200)
耐性・1980 (10300)

固有スキル
想現力(そうげんりき)

スキル
『拘束』[+イメージ補正]・『リフレクター』[+イメージ補正]・『超集中』・『超加速』・『無言』・『心眼』・ステータス補正・オーバーアップ・ステータス解放・ステータス封印

星座スキル
牡羊座[魔力変換・体力][木属性5倍]

???
?????
────────────────────────

これがステータス解放をしていないものでありオーバーアップが加わるとこんな感じある。

────────────────────────
フェレン・ディーア 男 15歳 LV202 ランク★5
種族 人族
職業 冒険者 剣士
体力・100600
筋力・101200
魔力・100500
俊敏・101500
知力・100400
耐性・100800

固有スキル
想現力(そうげんりき)

スキル
『拘束』[+イメージ補正]・『リフレクター』[+イメージ補正]・『超集中』・『超加速』・『無言』・『心眼』・ステータス補正・オーバーアップ・ステータス解放・ステータス封印

星座スキル
牡羊座[魔力変換・体力][木属性5倍]

???
?????
────────────────────────

こんな感じでありぶっ壊れである。君人間?と疑問が出てくる程である。順番に説明していくとこうなる。

まずフェレンは固有スキル《想現力(そうげんりき)》を持っている。固有スキルとは稀に発言する特殊なスキルでありその固有スキルは人によって違いはあるもの強力なスキルである。

フェレンの持つ想現力は文字通り想像を具現化し力に変えるものであり先との戦闘で靄(もや)の人型で折れてしまった紅黒牙(こうこくが)。刃先を伸ばしたのは想現力の想像によって出来たものである。

さらに想現力はスキルも想像でき『拘束』『リクレクター』やステータス解放、ステータス封印はフェレンが想像したものである。

次にフェレンのステータスだが本当の数値は10000以上だが今のフェレンは1900でありこれは固有スキルで想像したステータス封印でやったものである。

フェレンのステータスは一般の人より遥かに力を持っており、これがバレれば色々面倒なことになるのは間違いない。そう思ったフェレンは固有スキルを使いステータス封印を想像して一般より少し強く設定した。

そして100000という数値についてだがこれはオーバーアップとステータス補正の影響である。オーバーアップとは言葉通りで力を解放するスキルであり力は5倍に引き上げられる。その分制限時間もあり約15分が限界である。

さらにステータス補正というスキルも追加される。ステータス補正は2倍に引き上げられるのでオーバーアップされたステータスにステータス補正がかかると10倍ということである。

補足しておくとこの???はフェレンでも分かっておらず、ずっと疑問に残っている。

「とまぁ、こんな感じだな。どうだ、理解出来たか?」
「うん。問題ない」
「そうか」

フェレンの説明が終わりエルナは分かりやすかったとうんうんと頷く。ちなみは3人を引っ張れるのはステータス解放の力あってこそである。ゆっくりと歩いている中3人組の1人が喋る。

「あの、俺たちどこをどこに連れていこうとしてるんですか?」
「あぁ?ギルドに決まっているだろ。何言ってんだ」
「あ、いやその~ギルドに連れていくのはちょっとやめていただけませんか?」
「は?なにそんな偉そうなことを言ってんだ。お前らに反論拒否黙秘する権利はない!」

素直に受け止めろと黙らせる。諦めずに抵抗する者、もう終わりだど諦める者、何も言わずにただただ受け入れる者。様々だ。

そんな感じで3人を引きずりながら歩いていると森を抜け街が見えてきた。その景色にフェレンとエルナは頬を緩ませる。逆に他の3人は顔を青ざめていた。

街に着いたフェレン達はまずギルドを目指した。途中街の住人から変な視線を送られるがフードを被っているので何も問題はない。

ギルドに着いたのでフェレンはガン!と扉を大きく音を立てて開けた。その瞬間全ての視線がフェレン達に集まる。ロープで引きずられているのを見るとみんなはギョッとしフェレンはそのままカウンターに行った。

カウンターの受付人に話しかける。その時の受付人もギョッとしておりフェレンの言う通りに進める。

「済まないがキャスパー支部長を出してくれないかカードは渡すから」
「あ、はい。少々お待ち下さい」

そう言って逃げるように奥の方に行くカウンターの受付人。一通りのことが終わるとフェレンは息をつき愚痴を零した。

「はぁ、なんでこんなことになったんだか」
「仕方ない。フェレンは責任もってやる」

フェレンにだけ表情を崩すエルナだが今回だけは責任を持てとケジメを付けさせる。そんな中、奥からカウンターの受付人と1人見覚えのあるやつがフェレンの前に姿を現した。

その人物はメガネをクイッと上げてロープでグルグル巻にしたフェレンを睨むようにして言った。

「フェレンさん、エルナさん。お久しぶりです。ディルテです。キャスパー支部長がお呼びです。こちらについてきてください。それと・・・その3人組は?」
「ん、あぁこいつらはまぁあれだ。中で説明した方が早いだろ」
「なるほど、分かりました。ではこちらに」

そう言ってディルテは先に先行し階段を登り始めた。フェレンもその後に続く。そしてロープでグルグル巻にされた3人組は階段に頭をぶつけてはカクッカクッと上げられる。痛いので声を上げるがフェレンに我慢しろと言われ、言われるがままにする。

階段を登りきりディルテはいつものようにして許可を得る。許可が入ったのでディルテは扉を開けフェレン達は中に入る。中に入るやいなや心配そうな声で声をかける。

「無事だったか。よかったよ。戻ってきてくれて」
「そんな心配することでもないだろう」
「いや、君達が救出に行ってから3日経ったんだ。これ以上経ったら他の冒険者に行ってもらうところだったよ」
「なるほどね。まぁ、取り敢えず帰って来れたから」
「そうだね」

うんとキャスパーは頷きフェレン達を見ているとふと3人組に目が入る。疑問に思いながらフェレンに説明を求める。

「フェレン君、彼らはなんでロープで拘束されているんだい?何か問題でも?」
「ん、あぁ~。聞いてくれよ。キャスパー支部長。実はな3日間帰って来れなかったのはトラブルがあったからなんだよ」
「そ、そうなのかい?」

不思議に思いながら聞いてくるキャスパーに対し、フェレンは楽しそうに悪巧みの顔をしながら話す。その時のエルナの顔はまるで無邪気な子供を見るかのような優しい微笑みだった。

「あぁ、何せ俺達は3人組の誰かさんに落とされたんだからな。なぁ!」

そう言いながらフェレンの視線は拘束されている3人組に移される。そんな意図に気づいたキャスパーは驚きながらも状況を飲み込もうとした。

「え!この3人組が例の犯罪者かい!?」
「あぁ、おかげで俺の愛用していた剣も折れたからな。まぁ、こいつらのことはあんたが処分しといてくれ。それよりも俺らをここに呼んだ理由を教えてくれ」
「ん?あぁ、そうだったね」

フェレンとエルナ、キャスパーは椅子に座り3人組はその場に放置され話を始めた。キャスパーは内ポケットにしまってあった手紙をフェレンに渡した。渋々その手紙を開いて読んでみる。

『フェレンへ

至急2日以内に王都アルナギに帰還してください。これは命令でもあります。必要な馬車はこちらで手配してあるのでそれでは大至急お願いします。

王都アルナギ第一王女リティリア・フィーレ・アルナギ』

読み切った瞬間ふざけているのか?と一瞬イラッとしながらもフェレンはその手紙を仕舞うとキャスパーが話した。大丈夫か?と少し笑っているようにも見えた。

「さて、その手紙に書いてある通り馬車は手配してある。乗る時はこの手紙を出してくれ。すぐに了承してくれる」
「そうか、たっくあの女。急に帰れとかふざけているのかマジで」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ん?どうしたエルナ?」

エルナずっとフェレンをジッと見ており声をかけたが怖かったのでフェレンはフイと視線を逸らした。そしてエルナはフェレンの耳元で一言呟く。

「・・・私が女だって事を教えてあげる・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

そんな怖い一言を残してエルナはいつもの無表情に直した。そんな中フェレンは少しガタガタと震えている。フェレンはそんな恐怖に身を固めながら仕方なしにと席を立ちこの部屋を出ていった。


その夜宿屋で一体の草食動物が一体の猛獣に狩られるのだった。
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