第１５話：子供達の進学、父の死

　すると、ヤフー株購入後、保有中に５回の２倍の株式分割をし２株が６４株に増えた。その結果、税引き後利益が７０７２万円で残金が１８４６６万円となった。７月１１日、第２０回参議院議員通常選挙、民主党が自由民主党を上回る５０議席を獲得した。１０月２３日、新潟県中越地震発生、死者６８人を出した。

　閣僚の年金未納発覚をきっかけに年金未納問題がクローズアップされた。また、年金制度そのものの問題も表面化してくることになった。２００５年が明け、４月２５日、ＪＲ福知山線脱線事故発生し死者１０７人、負傷者５５５人を出す大惨事となった。８月から田所美恵は、横浜高島屋で採用を前提とする研修アルバイトに申し込んだ。

　そして８月１日から２週間の研修を受けた。高島屋に勤めている大学の先輩にデパート内部の情報を教えてもらった。デパートでの研修では、最初に言葉使い、挨拶、接客方法などを教えてもらった。そして、研修を終え９月中旬に採用試験を受け約１週間後に内定通知をもらった。

　９月１１日、第４４回衆議院議員総選挙で郵政民営化問題をめぐり議員が大挙離党した自由民主党が造反議員の選挙区に新人を擁立し３百議席にせまる圧勝した。１０月１４日、郵政民営化関連法案が可決、成立した。大相撲で横綱の朝青龍明徳が史上初の『年間６場所完全制覇、７場所連続優勝・年間最多勝「８４勝」』を達成した。

　日本の人口が戦後初めて減少した。２００６年が明け、１月１日、東京三菱銀行とＵＦＪ銀行が合併、三菱東京ＵＦＪ銀行が発足した。こうして、日本一の巨大銀行が発足した。マリーが上智大学経済学部、ポールが慶応大学経済学部を受験して、それぞれ合格した。その後、合格祝いのパーティを中華街で開いた。

　その頃、田所寿一の長女、田所美恵は、横浜高島屋まで徒歩１５分の所にある賃貸マンションに移り住んだ。１月３０日の寒い朝、日の出前、朝５時過ぎ、田所寿一の所に電話が入った。その電話は横須賀市長井の両親が入居した老人施設からであり、父、田所源藏が老衰のため亡くなったとの知らせだった。

　そこで、弟の田所智次にも父が死亡したと連絡を入れた。その後、レンタカーを借りて弟の田所智次夫妻を乗せて６時半頃、横須賀市長井の両親が入居した老人施設に到着した。母は、憔悴しきった様で子供達が来て大変だったねと言うと号泣した。父のベッドへ行き顔を見た。

「その顔は、まるで気持ちよさそうに昼寝でもしている様な顔つきであった」
「その様子が一層、悲しみを増幅させ、４人とも涙がこみ上げた」
「しかし、４人とも、母の手前、堪えて下を向いていた」
「それでも堪らず涙が吹き出てきて４人ともハンカチで涙を拭いた」

「拭けども拭けども涙がこみ上げ、止まらずに１０分以上も泣き続けた」
「その後、母が、お父さんは、よく頑張ってくれたわ！」
「私もお前達もお父さんのお陰で今があるのよ！」
「それを決して、忘れてはいけないと気丈に言い切った」

「私は、お父さんの思い出を胸にこの素晴らしい相模湾の景色を眺めて生きていくわ」
「命の続き限り、お父さんを思い続けて生きていくつもりだから心配しないでと語った」
「その素晴らしいスピーチを聞き田所兄弟は父の在りし日の仕事に励んでいた姿を思い出した」
「田所寿一は自分が投資で成功したのは両親の積み上げた徳のせいかもしれないと感じた」

　その後、老人施設の人が葬儀をどうしますかと聞かれ近くの葬儀社と葬儀場に連絡してあげましょうかと言うのでお願いした。施設の人が、珈琲でも飲まれませんかというので、自分達でお茶を入れますからお構いなくと答えた。それでは、早速、葬儀社と葬儀場に連絡して、空いてる日を聞いてきますと言ってくれた。

　田所香里さんとナンシーがお茶を入れて、在りし日の田所源藏の話を続けた。しばらくして施設の人が部屋に入ってきて、今週の日曜日、
葬儀場が開いていますと言われた。そこで田所兄弟と母と相談し１３時から葬儀をお願いした。そして墓地は、相模湾と遠くに富士山を見渡せる場所だと教えてくれた。

　こうして、しばらくして田所兄弟の奥さん達の４人は母にお別れの挨拶をして部屋を出た。こうして９時前には橫浜に到着して田所兄弟は、その後、子供達にも彼らの祖父が亡くなった事と日曜日の葬儀の話をした。こうして日曜を迎え９人乗りの大型ワゴンのレンタカーを借りて田所兄弟の一家、総勢８人で横須賀の老人施設に向かった。

　こうして、祖母をのせ９人で１１時に前に葬儀場へ行き、お坊さんに葬儀をしてもらい、父のお骨を老人施設から近い海が見える、お墓に埋葬した。この日は、特に天気が良く葬儀を終えて埋葬するとき陽の光が波間に反射して神々しい輝きを放っているように見えた。その短い、一瞬に父が額に汗して働いてる姿が見えた気がした。