第17話:将来の話とサブプライム問題

文字数 2,025文字

 そんなに難しくないから挑戦したらどうなのと言った。この話を聞いて田所智次は、ハワイに移住できれば良いなと考える様になった。やがて眠くなりベッドに入った。翌朝、7時に起き、ホテルの精算を終えタクシーでホノルル空港に8時半に到着。すると大型バンに乗ったナンシーの父、トミー、母、シンディがナンシー一家4人の見送りに来てくれた。

 そこで、空港のカフェで朝食を食べながらナンシーが両親に横浜の教会にも来て下さいと言うと、恥ずかしい話だが、教会で牧師さんの手伝いの仕事で何とか食べている状態であり資金的に無理だと語った。だから、ナンシーが頻繁に来てくれると良い。できれば、アメリカの投資ビザを取得してこっちで商売をしたら良いと語った。

 日本人で商売始めた人って意外に多いと教えてくれた。もし、その気があれば、手伝ってやると言ってくれた。そんな話をしていると9時半となり出国の手続きを開始して、ナンシー達は、両親に別れのキスをしてお別れした。振りかえると、ナンシーの母が、号泣していたので、ナンシーももらい泣きした。

 こうして、11時半発の飛行機に乗り込んでホノルル空港を離陸した。ナンシーは、物思いふけり、田所智次と子供達は心地よい振動で眠りについた。その後、起きて映画を見始めるとナンシーが眠りについた。そんなことを繰り返しているうちに、あと1時間ほどで成田空港に到着予定ですとアナウンスが流れた。

 成田の天候は、晴れと言われて、飛行機から窓の外を見たが、まだ陸地は見えなかった。しばらくして陸地が見えたと思うと、あと15分で成田空港に着陸予定とアナウンスがした。すると、田所智次と子供達は、ワクワクしながら、じっと窓から陸地を眺め続ていた。数分後着陸態勢に入りますと言われ緊張した。

 そして、着陸すると急に減速したと思ったら到着しましたと言われた。その後、バスが飛行機に横付けして乗り込んで成田空港の到着ロビーに急ぎ入国審査を終えて成田空港に出た。こうして横浜行きの高速バスに乗り込んだ。その後、心地よい揺れで、また、眠りについた。しばらくして目を開けると前方にベイブリッジが目に入った。

 これで、横浜に着いたという実感が湧いた。ホテルニューグランドでナンシーの一家4人が下車してタクシーに乗り込んだ。そして数分後、自分達の住むマンションの前に着いた。9月6日、文仁親王妃紀子が皇室に41年ぶりの男子、悠仁親王を出産した。

 2007年が明け、5月24日の朝、証券会社から田所寿一に電話が入り日本ビルファンドの気配値が200万円と高いと言われた。そこで全株、50株の成り行きを売り注文を出した。すると全株が売れ税引き後利益が8321万円で残金が17349万円となった。

この頃、7月12日、第21回参議院議員、通常選挙で野党が躍進。10月1日、日本郵政公社が解散した。その後、日本郵政株式会社を持株会社として郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が発足した。

 11月21日には、京都大学の山中伸弥教授が人工多能性幹細胞「iPS細胞」の作成に成功したと発表した。一方、アメリカでは、2007年の住宅バブル崩壊をきっかけとしてサブプライム住宅ローン危機を始まった。さらに、プライムローン、オークション・レート証券、カードローン関連債券など多分野にわたり資産価格の暴落となった。

 それに伴って2007年からの住宅市場の大幅な悪化となった。そのため、危機的状態となっていたファニー・メイやフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫へは、政府支援機関における買取単価上限額の引上げや投資上限額の撤廃など様々な手を尽くしたがサブプライムローンなどの延滞率は、さらに上昇し住宅差押え件数も増加を続けた。

 2007年2月にアメリカ市場ではサブプライム融資関連株が急落。さらに影響は拡大しNYダウは前日比、百を超える下げ幅を記録するなど関連銘柄も大きな影響を受けた。しかしそれでもまだ誰もが事の重大さに気付いてなかった。4月、サブプライムローンを提供するアメリカでトップクラスの大手銀行ニューセンチュリー・ファイナンシャルが破綻した。

 2007年7月、アメリカの大投資会社「ベアー・スターンズ」が実質的に破綻した。危機に瀕する直前までベアースターンズは、黒字見通しを発表していたにもかかわらず、わずか数日で資金繰りが悪化した。170億円あったはずの資金はあっという間に底をつき破綻は急転直下の勢いでやってきた。

 原因は徐々に表面化してきたサブプライム損失を危うく思った顧客や貸し手がベアー・スターンズから資金を撤収し、さらに金融機関が一斉に返済を迫る「取り付け騒ぎ」が起きた。しかしベアー・スターンズは危機に瀕した直後、アメリカの銀行最大手、JPモルガン・チェースにタダ同然の破格値で買収され、なんとか生き残った。
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