扉の奥の秘宝 (15) 気晴らし
文字数 1,048文字
「あぁ、それは時の運ってもんだ。あんたの言う通りになっても、泣き言は言わねぇよ」
ゾルウッドは、サバサバとした様子で答えます。
その言葉を差し当たって信用したフューイは、腰を上げました。ゾルウッドと違って、ヨッコラショなどとは言いません。
階段を上がり、二人は建物の外へ通じる出口にやって来ます。
「なんだ、今日はもう終わりかい?」
宝物棟の門番が、二人に声をかけました。昨日とは違って、今日はしっかりと見張りをしています。
「えぇ、さすが国の宝物庫だけは、ありまさぁ。ちょっとやそっとじゃ、ビクともしやせん」
ゾルウッドが、本気ともお世辞ともしれない返事をします。ただ門番としては、自分が守る宝物棟を褒められて、嫌な気分はしないでしょう。
宿舎へと向かう二人でしたが、相変わらずゾルウッドは辺りをキョロキョロと見回しています。
「なぁ、施設内を色々見て回っているようだが、何かあるのか?」
ほぉ、珍しい。フューイが他人の行動に興味を示しました。
「何だ、気づいていたのかい。人が悪いなぁ。まぁ、そうだね。だって、考えてもみろよ。王宮の宝物要塞だぜ。もう一生、ここへ来られる用事なんてないだろう?
内部の様子は秘密にするって契約はしたけどさ。何十年か経って爺さんになった俺が、ひ孫に自慢話をする分には構わんだろう」
ゾルウッドは、子供っぽい表情をしてウインクをします。
なるほどね、ひ孫か。オレには関係ない話だな。
フューイは、軽いため息をつきました。
「あぁ、俺はこっちだ」
宿舎へ向かう分かれ道のところで、ゾルウッドが言いました。
「気晴らしに森を散策したいんだが、構わないかい?」
二人がいる道は右へ進めばいつもの宿舎、左へ進めば宝物要塞にたった一つしかない、出入り口へと続いています。
「あぁ、それは勝手だが、何でオレに許可を求めるんだ」
フューイが少し、不思議そうに尋ね返しました。
「ボンシックの旦那が言った事、忘れちゃいないだろ? もし俺が出て行ったまま戻らなかったら、あんたは盗賊の一味として捕まっちまうんだぜ。
牢屋行きとは言ってたけど、まぁ、その後は強制労働とか、重い罰が待っているのは確実だろうな」
ゾルウッドは、そんな事もわからないのかといった顔をします。
「そりゃ、そうだがな。帰って来ないなんて思ってないさ」
「へぇ。そんなに俺を、信用してくれてるのかい」
フューイの意外な返事に、ゾルウッドが目をパチクリさせました。
「いや、そういうわけじゃない。あんたが逃げ出す理由を、見つけられないだけだ」
「ほぉ、そりゃどういう?」
ゾルウッドは、サバサバとした様子で答えます。
その言葉を差し当たって信用したフューイは、腰を上げました。ゾルウッドと違って、ヨッコラショなどとは言いません。
階段を上がり、二人は建物の外へ通じる出口にやって来ます。
「なんだ、今日はもう終わりかい?」
宝物棟の門番が、二人に声をかけました。昨日とは違って、今日はしっかりと見張りをしています。
「えぇ、さすが国の宝物庫だけは、ありまさぁ。ちょっとやそっとじゃ、ビクともしやせん」
ゾルウッドが、本気ともお世辞ともしれない返事をします。ただ門番としては、自分が守る宝物棟を褒められて、嫌な気分はしないでしょう。
宿舎へと向かう二人でしたが、相変わらずゾルウッドは辺りをキョロキョロと見回しています。
「なぁ、施設内を色々見て回っているようだが、何かあるのか?」
ほぉ、珍しい。フューイが他人の行動に興味を示しました。
「何だ、気づいていたのかい。人が悪いなぁ。まぁ、そうだね。だって、考えてもみろよ。王宮の宝物要塞だぜ。もう一生、ここへ来られる用事なんてないだろう?
内部の様子は秘密にするって契約はしたけどさ。何十年か経って爺さんになった俺が、ひ孫に自慢話をする分には構わんだろう」
ゾルウッドは、子供っぽい表情をしてウインクをします。
なるほどね、ひ孫か。オレには関係ない話だな。
フューイは、軽いため息をつきました。
「あぁ、俺はこっちだ」
宿舎へ向かう分かれ道のところで、ゾルウッドが言いました。
「気晴らしに森を散策したいんだが、構わないかい?」
二人がいる道は右へ進めばいつもの宿舎、左へ進めば宝物要塞にたった一つしかない、出入り口へと続いています。
「あぁ、それは勝手だが、何でオレに許可を求めるんだ」
フューイが少し、不思議そうに尋ね返しました。
「ボンシックの旦那が言った事、忘れちゃいないだろ? もし俺が出て行ったまま戻らなかったら、あんたは盗賊の一味として捕まっちまうんだぜ。
牢屋行きとは言ってたけど、まぁ、その後は強制労働とか、重い罰が待っているのは確実だろうな」
ゾルウッドは、そんな事もわからないのかといった顔をします。
「そりゃ、そうだがな。帰って来ないなんて思ってないさ」
「へぇ。そんなに俺を、信用してくれてるのかい」
フューイの意外な返事に、ゾルウッドが目をパチクリさせました。
「いや、そういうわけじゃない。あんたが逃げ出す理由を、見つけられないだけだ」
「ほぉ、そりゃどういう?」