第12話 シャロンの予知能力

文字数 693文字

 頭が冴えて眠れず脳の興奮した状態が続いている。ひどくなる一方だ。郭に打たれた薬の影響だ。靄がかかったような時もあれば、急に鮮明な映像が頭の中で繰り広げられる。
 シャロンはおもむろに州の大きな地図をホテルの壁に貼り付けた。
 しばらく、地図をぼんやり見つめている。
 引き出しから赤ペンを取り出し、右手が無意識に三か所に〇をつけた。
 自立保守党本部、駅前第三ビル、NL州立特別病院。
 
 (これにはなにか意味があるのだろうか?)
 
 首を傾げるシャロン自身も分からず印をつけていた。三つの場所をつなぐと大きな三角形になるにはなるが、意味する理由が思い当たらない。この三角形の中心は何があるんだろうと地図に近づき目を凝らし見つめる。
 バンシティ銀行。この銀行には特に何も思い当たらないし関わりもない。
 この三か所の施設は多くの人が集まる場所以外、接点はなさそうだ。

 ◇◇◇

 ケインに特捜班のボルトから内密に情報が流れてきた。誰かがシャロンを追っているということだ。
 『シャロン。変わりはないか?今、ボルトから情報が入った。誰かが君を狙ってるようだ』
 『どうして?』
 『とにかくすぐに居場所を変えて慎重に行動してくれ。SIDには来なくていいからしばらく身を隠してくれ。急いでくれ』
 『なぜ?私は逃げないわ』
 『頼むから俺の指示に従ってくれ。シャロン』
 『ええ、わかったわ』
 この不思議な三角形の印の事をケインに言うか迷ったが、胸に留めた

 すぐに創一郎に電話をかけたが留守番電話に切り替わった。
 『少し姿を消すことになったの。また電話するわ。愛してるわ』
 メッセージだけ残し、荷物を持って部屋を出た。









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登場人物紹介

シャロン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シーズン1ではSHIHOとして潜入捜査をしていた。過去に治験された薬の影響に悩まされる。<向こうの世界>へ行った経緯がある。

ケイン。特別捜査部処理課SIDの責任者。シャロンのボス。シャロンの父親代わり。

創一郎。ファミリー製薬会社の社長。シャロンの恋人。幼き頃シャロンと同様に治験された過去を持つ。

スティーブン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。ケインの右腕。シーズン1ではシャロンと共に潜入捜査していた。

レイチェル。シャロンの血のつながらない妹。小学校の先生。

マリア。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

ステュアート。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

徹。創一郎の弟。ファミリー製薬会社の天才研究者。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間で殺し屋。

通称リペア。殺し屋。

ミラー。自称カウンセラー。

ジェームズ長官。

ハリス州知事。

マシュー。高校を中退。<地球守護会>に入会し自然保護活動に没頭する。

グレース。

キム。向こうから来た研究者。

大統領。ケインの昔からの友人。

国家中央情報局 局長 ロバート。

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