第5話 救出作戦

文字数 687文字

 森の中をゆっくりと車を走らせる。ジャリジャリとタイヤが音を立てる。右手には大きな湖が見える。人の気配がない。今日は釣り人はいないようだ。湖に沿って舗装していない道を進むと、すこし遠くに山小屋が見えた。シャロンは気付かれないように手前で車を止め、エンジンを切り、辺りをうかがう。山小屋の正面以外は森に囲まれ、小鳥のさえずりが聞こえる。赤のピックアップトラックが目に留まった。 
 
 『今着いたわ』
 『動かず待ってろ。もうすぐ着く』
 ケインが答えた。

 シャロンは車を降り、双眼鏡を手にすばやく森の中へ入って行った。
 裏手に回り出入り口を探す。勝手口があった。窓はふさがれ中は見えない。
 (チームを待って二手に分かれて突入するしかないかも。それか私一人で中へ入って話し合うか.....)
 
 思案している間に携帯電話が鳴った。
 『今着いた。シャロン戻ってこい。策を練る』
 すぐにステュアートたちも到着した。

 ケインたちが乗ってきたSID専用バンの中でチーム全員で救出方法を確かめた。
 胸に小型カメラを付けたシャロンが一人で正面から入り、郭と交渉する。ステュアートが裏口から突入用意。援護はマリア。屋根に梯子をかけ天窓からスティーブンが攻め込む。ケインはバンの中で指示、後方待機とした。

「極秘事項だから特殊部隊は呼べない。俺たちでレイチェルを救う」
 ケインが言った。中には郭ひとりとは限らない。トラップを仕掛けられているかもしれない。盗まれた薬も必ず見つけ出す事を付け加えた。
「わかっていると思うが郭を撃っても問題ない。よし行くぞ」

 チームはゆっくりと気配を消しながら配置に向かった。












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登場人物紹介

シャロン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シーズン1ではSHIHOとして潜入捜査をしていた。過去に治験された薬の影響に悩まされる。<向こうの世界>へ行った経緯がある。

ケイン。特別捜査部処理課SIDの責任者。シャロンのボス。シャロンの父親代わり。

創一郎。ファミリー製薬会社の社長。シャロンの恋人。幼き頃シャロンと同様に治験された過去を持つ。

スティーブン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。ケインの右腕。シーズン1ではシャロンと共に潜入捜査していた。

レイチェル。シャロンの血のつながらない妹。小学校の先生。

マリア。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

ステュアート。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

徹。創一郎の弟。ファミリー製薬会社の天才研究者。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間で殺し屋。

通称リペア。殺し屋。

ミラー。自称カウンセラー。

ジェームズ長官。

ハリス州知事。

マシュー。高校を中退。<地球守護会>に入会し自然保護活動に没頭する。

グレース。

キム。向こうから来た研究者。

大統領。ケインの昔からの友人。

国家中央情報局 局長 ロバート。

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