第21話 バイオX菌

文字数 605文字

 NL州立特別病院へのテロ攻撃は大惨事だった。

 三名死亡、怪我人多数。

 病院は予備電源が作動して何とか電源は確保できた。
 しかし、隣のファミリー製薬会社の電源まで影響し復旧しないままだ。

「どういう事なんだ?」
 慌てて戻ってきた創一郎が警備員に聞いた。
「わかりません。十分後には電源が回復すると思われます」
「そうか」

 幸いにも厳重保管の薬品保管庫は電源が落ちなかった。
 創一郎が安心したのもつかの間で徹からすぐに電話が入った。

 『兄貴、大変だ!菌が盗まれた。例のバイオX菌だ!』
 徹はかなり取り乱していた。
 『なんだと!それはまずい。早く取り返さないと。すぐにSIDに報告しておく』
 気が遠くなりそうだった。
 バイオX菌を吸ったら死は確実だ。人を介しての感染力も強大だ。政府の薬品保管庫が襲撃されてからは通常より更に厳重に警備はしていたはずが、簡単に破られたことに創一郎は納得がいかなかった。

 電源が落ちたら中からは外へは手動で出られるが、外からは中に入れない。社員証をかざし、指紋認証、セキュリティーナンバーを入力しなければドアは解除されない。
 それは電源が入っていることが前提だ。
 
 犯人を捜そうにも監視カメラは電源が落ちれば動いてはいないだろう。犯行は映っていないはずだ。

 しかし、扉を壊された形跡がない。

 徹の犯行ではないし、徹が誰かを導き入れたとは考えにくい。

 内部の犯行?

 唯一考えられる答えだった。





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登場人物紹介

シャロン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シーズン1ではSHIHOとして潜入捜査をしていた。過去に治験された薬の影響に悩まされる。<向こうの世界>へ行った経緯がある。

ケイン。特別捜査部処理課SIDの責任者。シャロンのボス。シャロンの父親代わり。

創一郎。ファミリー製薬会社の社長。シャロンの恋人。幼き頃シャロンと同様に治験された過去を持つ。

スティーブン。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。ケインの右腕。シーズン1ではシャロンと共に潜入捜査していた。

レイチェル。シャロンの血のつながらない妹。小学校の先生。

マリア。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

ステュアート。特別捜査部処理課SIDの特別捜査官。シャロンの同僚。

徹。創一郎の弟。ファミリー製薬会社の天才研究者。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間で殺し屋。

通称リペア。殺し屋。

ミラー。自称カウンセラー。

ジェームズ長官。

ハリス州知事。

マシュー。高校を中退。<地球守護会>に入会し自然保護活動に没頭する。

グレース。

キム。向こうから来た研究者。

大統領。ケインの昔からの友人。

国家中央情報局 局長 ロバート。

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