1-7
文字数 1,204文字
「だったらいいところがあるんだわ。ついて来い」
高坂に言われてフェンスを乗り越え来たのは……森の中?
「目的地はここじゃねぇ。もっと奥だ」
「ってか、ここどこだ? マジで人気も何もねぇな」
「T大の敷地だ」
「はっ? ってことは、不法侵入じゃん。大学の敷地だったら、監視カメラとかあるんじゃね?」
「あっても警備員が見てなきゃ意味がない。おっ、これ使えそうだな」
高坂が手にしたのは野球部が使いっぱなしにしていたのか、落ちていたバッド。しかもなぜか釘が刺さっている。
「お前も何か武器持てよ」
「ふざけんな! 素手で勝負じゃねぇのかよ!」
「お前がそれで負けるならいいけど」
「ちっ」
……といいつつも、いつもバタフライナイフは持参しているし、近くに角材があったらそれをくすねようと思っていたのは内緒だ。
「ついた! ここだ! ケンカにはもってこいだろ?」
「ずいぶんとだたっぴろい場所だな」
たどり着いた場所は、噴水広場とでも言えばいいのだろうか。ただ、中心の噴水のオブジェがアンテナみたいだし避雷針のようなものも立ってるんだが……。
「あれはなんだ?」
「ああ、なんかT大はテレポートの研究もしてるらしくて、これはその試験場だって聞いたことがあるぞ
「テレポートぉ?」
「うっさんくせぇよな!」
高坂は楽しそうににかっと笑う。ふうん、こいつ笑うとこんな顔するのか。いつも修羅みてぇな顔しか知らなかったから……。しかも長髪だったし。
「さて……じゃ、ぼちぼちやるか? 雨降りそうな天気だし」
「そうだな。その前に」
何か腕からわっかみたいなものを外し、ポケットに入れる高坂。今のは……?
「ちょっと待て、なんだ、それ」
「静電気防止リングだけど」
「はぁ?」
夏に静電気が起きるのか? こいつは。変わったやつだな。まぁいい。ケンカで勝てば無問題だ。
「行くぞ」
「ははっ、来いよ! 小童」
俺は来る途中で拾った角材を持って構えるが、高坂はというと拾った釘バットはなぜか使おうとしない。
「なんで武器は使わねぇんだよ。拾っただろ」
「お前と戦うために持ってきたんじゃねぇよ。警備員に捕まった時、逃げる用だ。アレは」
「ふ、ふざけんじゃねぇぞ、アマっ!!」
「ふん」
俺は思い切り角材を振りかざすが、そのフリが大きかったのか腹に高坂から一発入れられる。
「ぐうっ……!!」
なんだ、このパンチ……。いやパンチ? 殴られた感じはしない。ただ、思いっきり弾かれたような感覚……。これが『西東京の魔女には触れられない』ってことなのか?
ズザァッ……。オレは吹っ飛ばされそうなのを踏ん張ると、角材をその場に捨てた。
「上等じゃねぇか!! オレは、お前にぜってぇ一発食らわせる!」
「はっ! できるもんならやってみやがれ! 今度はこっちから行くぞっ!!」
高坂が俺に向かって走りこんだそのとき――。
ゴロゴロ、ピシャーンッ!!!
「!!!!」
辺りが閃光に包まれて、オレたちは――。
高坂に言われてフェンスを乗り越え来たのは……森の中?
「目的地はここじゃねぇ。もっと奥だ」
「ってか、ここどこだ? マジで人気も何もねぇな」
「T大の敷地だ」
「はっ? ってことは、不法侵入じゃん。大学の敷地だったら、監視カメラとかあるんじゃね?」
「あっても警備員が見てなきゃ意味がない。おっ、これ使えそうだな」
高坂が手にしたのは野球部が使いっぱなしにしていたのか、落ちていたバッド。しかもなぜか釘が刺さっている。
「お前も何か武器持てよ」
「ふざけんな! 素手で勝負じゃねぇのかよ!」
「お前がそれで負けるならいいけど」
「ちっ」
……といいつつも、いつもバタフライナイフは持参しているし、近くに角材があったらそれをくすねようと思っていたのは内緒だ。
「ついた! ここだ! ケンカにはもってこいだろ?」
「ずいぶんとだたっぴろい場所だな」
たどり着いた場所は、噴水広場とでも言えばいいのだろうか。ただ、中心の噴水のオブジェがアンテナみたいだし避雷針のようなものも立ってるんだが……。
「あれはなんだ?」
「ああ、なんかT大はテレポートの研究もしてるらしくて、これはその試験場だって聞いたことがあるぞ
「テレポートぉ?」
「うっさんくせぇよな!」
高坂は楽しそうににかっと笑う。ふうん、こいつ笑うとこんな顔するのか。いつも修羅みてぇな顔しか知らなかったから……。しかも長髪だったし。
「さて……じゃ、ぼちぼちやるか? 雨降りそうな天気だし」
「そうだな。その前に」
何か腕からわっかみたいなものを外し、ポケットに入れる高坂。今のは……?
「ちょっと待て、なんだ、それ」
「静電気防止リングだけど」
「はぁ?」
夏に静電気が起きるのか? こいつは。変わったやつだな。まぁいい。ケンカで勝てば無問題だ。
「行くぞ」
「ははっ、来いよ! 小童」
俺は来る途中で拾った角材を持って構えるが、高坂はというと拾った釘バットはなぜか使おうとしない。
「なんで武器は使わねぇんだよ。拾っただろ」
「お前と戦うために持ってきたんじゃねぇよ。警備員に捕まった時、逃げる用だ。アレは」
「ふ、ふざけんじゃねぇぞ、アマっ!!」
「ふん」
俺は思い切り角材を振りかざすが、そのフリが大きかったのか腹に高坂から一発入れられる。
「ぐうっ……!!」
なんだ、このパンチ……。いやパンチ? 殴られた感じはしない。ただ、思いっきり弾かれたような感覚……。これが『西東京の魔女には触れられない』ってことなのか?
ズザァッ……。オレは吹っ飛ばされそうなのを踏ん張ると、角材をその場に捨てた。
「上等じゃねぇか!! オレは、お前にぜってぇ一発食らわせる!」
「はっ! できるもんならやってみやがれ! 今度はこっちから行くぞっ!!」
高坂が俺に向かって走りこんだそのとき――。
ゴロゴロ、ピシャーンッ!!!
「!!!!」
辺りが閃光に包まれて、オレたちは――。