第10話

文字数 739文字

ショウには、ロサンゼルスがまるで重力場のように感じられ、その遠く離れた都市に自分が降り立ったかのような感覚があった。まるで目に見えない引力によって、自分の意識が知らぬ間にその地へと引き寄せられているようだった。ロスの空気には、遠い過去の記憶や未解決の謎が濃密に漂い、その中に自分も取り込まれていくような感覚があった。

僕はロスに着くと、前払いで三日分の部屋代を支払い、ダウンタウンにある質素なホテルにチェックインした。二階の部屋に荷物を置いた後、外に出て食事をしようとしたが、眩しい昼間の光がどうにも耐え難く、陽射しを避けて、暗い日陰を選びながら歩いた。それから、まる二日間ほとんど、窓の日よけが真昼の陽光をさえぎるホテルの部屋にこもっていた。日中の時間は、重苦しく自分を圧倒するように感じた。

リザの事件から5年が経った今も、犯人は特定されず逮捕もされていない。ゴシップ記事では、ギャングや殺し屋といった説が浮上していたが、どれも単なる憶測に過ぎず、真実の姿は謎に包まれたままだった。警察は当初、リザと彼女の友達二人との交友関係を調査し、怨恨の可能性を検討していたが、捜査は進展せず、次第に強盗の犯行に焦点を当て、その行為を短絡的で幼稚なものと見なしているようだ。

僕は狂おしいファンタジーに支配されながらも、次なる望みに向かって行動しようとしていた。本当に何を欲しているのかを理解し、その欲望に従って行動する姿には、どこか儀式めいた感覚が漂っていた。リザは死の象徴であり、永遠であり、リザへの愛が僕のすべてを支配し、崇拝の念が日に日に強くなっていた。彼女以外には僕を癒す者はおらず、リザだけが僕を満たし、解放してくれる存在だった。リザを手にしている、その事実だけが僕を支えていた。



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