第1話
文字数 620文字
ハイウェイを走っていたマイクロバスがカリフォルニア郊外を抜け、どこか田舎にさしかかったとき、僕は隣に座っている留学生のショウが身じろぎもせず、景色にも目もくれずに神妙な顔をしているのを見て、思わず彼の顔を覗き込んだ。
「どうした? おい、大丈夫か?」
ショウは言った。「さっきのタコベルで食い過ぎたかも」
まもなく、ショウはシートバックネットから嘔吐用のエチケット袋を取り出し、僕はとたんに大声を上げ、飛び上がった。
周りにいた者たちは一斉に僕らを見た。
ショウの顔は、吐くことに備えるかのように緊張した仮面のように変わっていた。
「先生! ショウが…」生徒が言って、運転していた先生がバックミラー越しに「ショウ! 大丈夫か!」と叫んだ。
ショウはエチケット袋をしっかりと両手で持ち続け、その中を覗き込んでいた。
僕はショウに言った。「お前の好きな果物は何だ? 日本の梨だろ? みずみずしい梨だ! 違うか?」
気持ち悪さを少しでも和らげるために、何か別のことを考えさせようとしたのだ。
しかし、ショウの表情はみるみるうちに絶望に染まっていく。「だめだ、気持ち悪い」
友達であろうと、バスの中で吐くのだけは勘弁してほしかった。
ショウは口を閉じ、ひどくこわばった顔をしている。
「ショウ、お願いだから吐かないで!」ドナが言った。「これからタコスを食べるたびに、ショウのゲロを思い出しちゃう」
それを聞いたショウは、さらに顔色を青ざめさせ、必死に吐かないように堪えていた。
「どうした? おい、大丈夫か?」
ショウは言った。「さっきのタコベルで食い過ぎたかも」
まもなく、ショウはシートバックネットから嘔吐用のエチケット袋を取り出し、僕はとたんに大声を上げ、飛び上がった。
周りにいた者たちは一斉に僕らを見た。
ショウの顔は、吐くことに備えるかのように緊張した仮面のように変わっていた。
「先生! ショウが…」生徒が言って、運転していた先生がバックミラー越しに「ショウ! 大丈夫か!」と叫んだ。
ショウはエチケット袋をしっかりと両手で持ち続け、その中を覗き込んでいた。
僕はショウに言った。「お前の好きな果物は何だ? 日本の梨だろ? みずみずしい梨だ! 違うか?」
気持ち悪さを少しでも和らげるために、何か別のことを考えさせようとしたのだ。
しかし、ショウの表情はみるみるうちに絶望に染まっていく。「だめだ、気持ち悪い」
友達であろうと、バスの中で吐くのだけは勘弁してほしかった。
ショウは口を閉じ、ひどくこわばった顔をしている。
「ショウ、お願いだから吐かないで!」ドナが言った。「これからタコスを食べるたびに、ショウのゲロを思い出しちゃう」
それを聞いたショウは、さらに顔色を青ざめさせ、必死に吐かないように堪えていた。