第8話

文字数 407文字

 そんな会話をしてから一週間ほどして、ぼくは団地の集会所で英会話を習い始めた。ポスティングされていたチラシに格安の月謝で、ほぼボランティアに近いレッスン料金にお母さんは飛びついた。
 当時の人気の習い事の一つが英会話だった。学習塾は不動の一位だったが、それ以外ではスイミング、ピアノ、英会話が人気の習い事だった。
 近くに基地があることから、特にこのエリアは英会話スクールがあちこちにあった。英会話を習っていることが母親同士の一つのステータスになっていたことは間違いない。かくしてぼくも、その餌食になったのだ。正直にいうと、なったフリをしていたーーというべきかもしれない。

 小学二年生の冬休み。
ぼくの夢は、英会話を習うことから一歩進展して
[エマとダニエルの姉弟と友達になること]に変わっていた。その強い思いの結果、英語も少しずつ話せるようになってきた。今は週に一回、スクールのミセスヘレンに会うことが楽しみて仕方ない。
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