閑話 ゆーしゃ様が来る前の魔王

文字数 536文字



うふふっ、でーきたっ!
あとは勇者が来るのを待つだけね




……それにしても、勇者ってことはやっぱり強いのかしら?
それなら私の不意打ちくらいかわせるわよね
もしも避けられたら言ってやるんだから
『魔王である私の攻撃を避けるなんて、大したものね』
……って
 
そうしたら勇者も反撃してくるだろうから、私はそれをヒラリとかわして魔王城に戻ってくるの
大丈夫、生まれたばっかりとはいえ、私は魔王なんだからそれくらい簡単よ
そのあとは、きっと勇者が私を追いかけてこの塔を昇ってくるわよね
迷路や崖……ただ強いだけじゃクリアなんてさせてあげないんだから




けれど、もしお城までたどり着いてくれたなら……
私とのお茶会に誘ってみようかしら?
……まぁ、どうせ断られるでしょうけど



きっとそのまま勇者との戦闘になるわよね
お互いに全力を出し尽くしての戦い
最後は……
……最後はやっぱり私が負けちゃうかな?
ボロボロになった勇者が、仰向けで倒れている私にとどめを……




とどめを……






……とどめを刺さないでくれたりは……しないわよね
私は魔王で相手は勇者




これは決まった運命だもの
それならせめて、最後の大勝負くらいは派手にやらないとね
私にとっては最初で最後の晴れ舞台なんだから











……せめて、一度くらいは誰かと一緒にお茶会してみたかったなぁ
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登場人物紹介

「……いや、女同士だしコレくらいいいかなと」


ゆーしゃ様

本作の主人公

勇者召喚の影響で女になった元男

女になったことが原因(多分)であまり自重しなくなった変態


彼女いない歴=年齢で、なんとしても彼女がほしい人

そして、できた彼女は神様を敵にしても手放すつもりがない

「ちょ、何やってるんですか!?」


妖精

ゆーしゃ様を召喚した(女性にした)人で

彼に振り回される苦労人

召喚する人間自体を間違えたのではないかと悩み始めた


……のは世界の意思に操られていたことが原因。

本来の彼女自身はこの終わらないゲームから解放されることを望み、彼女の意思でゆーしゃ様を召喚した。

「ぜ、ぜったいゆるさないんだかりゃ!!」


魔王

本作のラスボス……じゃなかったっぽい

まだ生まれたばかりの魔王

それでも強いはずなのだが、勇者に挑むたびに「ぺしっ」とやられる。


魔王城で勇者と戦い、とどめを刺されるのが役割……のはずだったが、いろいろあって結局成し遂げられなかった。

けれど、一度でいいから誰かとお茶会してみたいという夢は叶えられた。


魔王らしく優雅で不敵にふるまおうとしているが、生まれたばかりなので根は純真無垢な子。

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