第11話(東京の)
文字数 581文字
東京の慶應義塾大学病院。
舟木さんは有名人。母親と紀子は事務所を通じて連絡を取ったがすぐに会うことはできなかった。事務所内部も混乱していてそれどころではなかった。
舟木さんと紀子の関係は公表しているわけではないのでまだ事務所の誰も知っていない。
だけど、マネージャー兼務の父親の栄吉さんにだけは舟木さんは紀子のことを話していた。
三日後にやっと父親の栄吉さんの取り計らいで朝食後の8時から30分ほどの個人面会をすることができた。
関係者以外入室禁止いたします、母親と紀子はその立て札の横を通り抜けてドアを開けるとマネージャーの父親の栄吉さんらしき人が椅子に腰をかけていた。舟木さんがベッドの上に座っていた。
父親の栄吉さんとは初対面なので先に親子ともども挨拶をしたが何をどう言っていいものか、 父親の栄吉さんは口ごもりながら言葉数も少なかった。
しばらくすると親の方は気をきかせ席を外してくれた。
舟木さんは思ったより元気そうだったが前よりだいぶ痩せていた。
「ごめんね。こんなことやっちゃって・・・」
舟木さんは複雑な表情でちょっと微笑みながらそういった。
紀子は涙を抑えることが出来なかった。
思わず舟木さんの手を握りしめた。
舟木さんの優しい手が紀子の手を握り返してくる。
紀子は言葉が言葉にならずただ舟木さんのひざ元に突っ伏してしまうのだった。
舟木さんは有名人。母親と紀子は事務所を通じて連絡を取ったがすぐに会うことはできなかった。事務所内部も混乱していてそれどころではなかった。
舟木さんと紀子の関係は公表しているわけではないのでまだ事務所の誰も知っていない。
だけど、マネージャー兼務の父親の栄吉さんにだけは舟木さんは紀子のことを話していた。
三日後にやっと父親の栄吉さんの取り計らいで朝食後の8時から30分ほどの個人面会をすることができた。
関係者以外入室禁止いたします、母親と紀子はその立て札の横を通り抜けてドアを開けるとマネージャーの父親の栄吉さんらしき人が椅子に腰をかけていた。舟木さんがベッドの上に座っていた。
父親の栄吉さんとは初対面なので先に親子ともども挨拶をしたが何をどう言っていいものか、 父親の栄吉さんは口ごもりながら言葉数も少なかった。
しばらくすると親の方は気をきかせ席を外してくれた。
舟木さんは思ったより元気そうだったが前よりだいぶ痩せていた。
「ごめんね。こんなことやっちゃって・・・」
舟木さんは複雑な表情でちょっと微笑みながらそういった。
紀子は涙を抑えることが出来なかった。
思わず舟木さんの手を握りしめた。
舟木さんの優しい手が紀子の手を握り返してくる。
紀子は言葉が言葉にならずただ舟木さんのひざ元に突っ伏してしまうのだった。