第2話(白馬の騎士)
文字数 687文字
白馬の騎士がやってくるという、あのシンデレラの物語が現実になった。
紀子はそれがまさか自分の身に降りかかってこようとは思いも染めもしなかった。
当時、紀子は仙台の宮城学院大学の2年生だった。
ある晩、夕食を終えてくつろいでいる時に突然舟木さんから電話が入ったのだ。
電話に出た母親がびっくりした。
「舟木一夫さんからみたいよ」
「えー!?」
噓でしょ、いたずら電話に決まってる。すぐに電話を切るつもりで受話器を受け取った。
ところがそれはまさしく正真正銘の舟木さんからの電話だった。低く甘い柔らかな舟木さんの声だった。
「舟木一夫です。驚いたでしょう。今仙台にいるんですよ。突然ごめんなさい。電話番号は仙台の後援会事務所から教えてもらってね、厚かましくも電話させてもらいました」
受話器を持つ手が震えた。ただただ声もなく驚くばかりだった。
舟木さんが言うには、今度の仙台公演が終わったら休みが取れるのでその時に紀子の自宅に行かせてもらいたいというのだった。
「僕と結婚を前提に付き合ってくれませんか」と舟木さんは電話の奥で言うのだった。
「ご両親にも出会ってその旨のお願いをするつもりです」
紀子は気が遠くなった。身体の力が抜けていくような感じに襲われた。これお芝居のセリフ?からかわれている?
これは何?舟木さんきっと悪い冗談を言っている、まさかまさか、とてもありえない!紀子にはこの話が現実とはとうてい思えなかった。
遠い夢の世界で舟木さんの声がしきりに紀子に語りかけている。「もしもし」・・・・。
めまいのするような舟木さんの声。
魅惑の世界からの歓喜の電話だった。
紀子はそれがまさか自分の身に降りかかってこようとは思いも染めもしなかった。
当時、紀子は仙台の宮城学院大学の2年生だった。
ある晩、夕食を終えてくつろいでいる時に突然舟木さんから電話が入ったのだ。
電話に出た母親がびっくりした。
「舟木一夫さんからみたいよ」
「えー!?」
噓でしょ、いたずら電話に決まってる。すぐに電話を切るつもりで受話器を受け取った。
ところがそれはまさしく正真正銘の舟木さんからの電話だった。低く甘い柔らかな舟木さんの声だった。
「舟木一夫です。驚いたでしょう。今仙台にいるんですよ。突然ごめんなさい。電話番号は仙台の後援会事務所から教えてもらってね、厚かましくも電話させてもらいました」
受話器を持つ手が震えた。ただただ声もなく驚くばかりだった。
舟木さんが言うには、今度の仙台公演が終わったら休みが取れるのでその時に紀子の自宅に行かせてもらいたいというのだった。
「僕と結婚を前提に付き合ってくれませんか」と舟木さんは電話の奥で言うのだった。
「ご両親にも出会ってその旨のお願いをするつもりです」
紀子は気が遠くなった。身体の力が抜けていくような感じに襲われた。これお芝居のセリフ?からかわれている?
これは何?舟木さんきっと悪い冗談を言っている、まさかまさか、とてもありえない!紀子にはこの話が現実とはとうてい思えなかった。
遠い夢の世界で舟木さんの声がしきりに紀子に語りかけている。「もしもし」・・・・。
めまいのするような舟木さんの声。
魅惑の世界からの歓喜の電話だった。