第14話(婚約発表)
文字数 487文字
婚約発表から2か月が経った。
10月下旬のある日、紀子は満たされた気持ちで今日も大学の図書館で卒論の下調べをしていた。今年12月中に卒論を書き上げて提出する予定になっている。ゼミの指導教授のもとで書物をひも解いていた。構想もあらかたは整いあとは細部の詰めをしっかり書いていくだけだった。
夕方に帰宅、玄関を開けると母親が飛んできた。
「紀子、大変!舟木さんが!」
真っ青な顔で母親は目を引きつらせるようにして叫んでいた。
聞けば舟木さんがまた自殺を図ったという。
紀子はその場に崩れ落ちた。
取るものも取りあえず、その夜両親と一緒に羽田行の最終便飛行機に飛び乗った。今回は父親も同伴した。
まさに非常事態だった。
いったいどうしたというのだろう!
何が舟木さんをそんな風に駆り立てているのだろう!
飛行機の中で紀子は悲しみで胸がいっぱいになりあふれ来る涙を抑えることができなかった。
可愛そうな舟木さん。
何もしてあげられない自分。
胸がうずく。
飛行機の中でじっとうつ向いて何かに耐えている紀子。
その傍で母親が時々鼻をすすりながらしっかりと紀子の手を握ってくれていた。
10月下旬のある日、紀子は満たされた気持ちで今日も大学の図書館で卒論の下調べをしていた。今年12月中に卒論を書き上げて提出する予定になっている。ゼミの指導教授のもとで書物をひも解いていた。構想もあらかたは整いあとは細部の詰めをしっかり書いていくだけだった。
夕方に帰宅、玄関を開けると母親が飛んできた。
「紀子、大変!舟木さんが!」
真っ青な顔で母親は目を引きつらせるようにして叫んでいた。
聞けば舟木さんがまた自殺を図ったという。
紀子はその場に崩れ落ちた。
取るものも取りあえず、その夜両親と一緒に羽田行の最終便飛行機に飛び乗った。今回は父親も同伴した。
まさに非常事態だった。
いったいどうしたというのだろう!
何が舟木さんをそんな風に駆り立てているのだろう!
飛行機の中で紀子は悲しみで胸がいっぱいになりあふれ来る涙を抑えることができなかった。
可愛そうな舟木さん。
何もしてあげられない自分。
胸がうずく。
飛行機の中でじっとうつ向いて何かに耐えている紀子。
その傍で母親が時々鼻をすすりながらしっかりと紀子の手を握ってくれていた。