第12話(舟木さんは疲れて)
文字数 757文字
舟木さんは疲れている。
舟木さんの仕事内容のことはよくわからないが、過労と心身の衰弱が舟木さんの身と心をむしばんでいる。
紀子はそれ以来遠い仙台の地からいつも祈るような気持ちで日々を過ごした。
舟木さんは忙しくて休みが取れない。
そんな中、時々舟木さんが短い休みが取れるような時には東京へ会いに行った。
仕事が終わるとほんの数時間だったがデートした。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
出会うたびに舟木さんが痩せているのが紀子は気になっていた。でも根掘り葉掘り尋ねることは遠慮している。
舟木さんはいつも笑顔を見せて、大丈夫、元気だよと言っている。
ところがある日のデートの時に珍しく、
「この頃胃が痛いんだ・・・」
ふと舟木さんはつぶやいた。
そのあと、その言葉を打ち消すように、
「いや、前から時々。大したことはないよ、これは俺の持病なんだ」
と笑ってみせる。
紀子は心配そうに舟木さんの顔を覗き込む。
そんなやりとりがあってしばらくして、
「そうだ、大事な話!」
急に思い出したように紀子の顔を見つめて、
「おれ達そろそろきちんとした形で婚約をしようか。もう付き合い始めてだいぶ長いし、ずるずるとしていてもお互いのためにはならない。親を呼んできちんと結納を納めて正式に婚約しよう。仕事の関係からもちょうど今が潮時だと思ってるんだ」
舟木さんは紀子の顔をみつめてそう言ってくれた。
紀子の顔がぱっと輝いた。
「えー!ほんと!嬉しい!」
紀子はもう大学の4年生、21歳。
少女のあどけない可憐さから脱け出して今は大人。
花のような美しい女に成長していた。
舟木さんは紀子の肩を優しく抱きしめながらそっと紀子の身体を引き寄せて、
「愛してるよ」
と耳元でささやいてくれた。
夜空に輝くような星が瞬いていた。
舟木さんの仕事内容のことはよくわからないが、過労と心身の衰弱が舟木さんの身と心をむしばんでいる。
紀子はそれ以来遠い仙台の地からいつも祈るような気持ちで日々を過ごした。
舟木さんは忙しくて休みが取れない。
そんな中、時々舟木さんが短い休みが取れるような時には東京へ会いに行った。
仕事が終わるとほんの数時間だったがデートした。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
出会うたびに舟木さんが痩せているのが紀子は気になっていた。でも根掘り葉掘り尋ねることは遠慮している。
舟木さんはいつも笑顔を見せて、大丈夫、元気だよと言っている。
ところがある日のデートの時に珍しく、
「この頃胃が痛いんだ・・・」
ふと舟木さんはつぶやいた。
そのあと、その言葉を打ち消すように、
「いや、前から時々。大したことはないよ、これは俺の持病なんだ」
と笑ってみせる。
紀子は心配そうに舟木さんの顔を覗き込む。
そんなやりとりがあってしばらくして、
「そうだ、大事な話!」
急に思い出したように紀子の顔を見つめて、
「おれ達そろそろきちんとした形で婚約をしようか。もう付き合い始めてだいぶ長いし、ずるずるとしていてもお互いのためにはならない。親を呼んできちんと結納を納めて正式に婚約しよう。仕事の関係からもちょうど今が潮時だと思ってるんだ」
舟木さんは紀子の顔をみつめてそう言ってくれた。
紀子の顔がぱっと輝いた。
「えー!ほんと!嬉しい!」
紀子はもう大学の4年生、21歳。
少女のあどけない可憐さから脱け出して今は大人。
花のような美しい女に成長していた。
舟木さんは紀子の肩を優しく抱きしめながらそっと紀子の身体を引き寄せて、
「愛してるよ」
と耳元でささやいてくれた。
夜空に輝くような星が瞬いていた。