第34話 男女の視線<見える部分見えない部分>

文字数 7,711文字


結局それ以上引き留める事も踏み込むことも出来ずに優希君を見送ってしまった。
 そのままどうすることも出来なかった私は仕方なく家に帰って夕ご飯の支度とお風呂の準備洗濯と済ませてしまう。
 慶にしても私が頬を腫らした次の日、蒼ちゃんが来た日だけ早く帰って来ただけで、今週はテスト期間にもかかわらず、帰って来るのが遅い。
 元々慶の言う事には期待はしていないけれどこれだけ言葉と行動がかみ合わないと、どうして同じ人間で、男の子なのにこうも優希君と違うのか。違う人間なのだから比較するのは違うと分かってはいても、どうしてもため息が漏れ出てしまう。
 慶を待っている間に、もう体のだるさもお腹の違和感も完全になくなったからと、どうせ今日も慶の帰りは遅いだろうから、先にお風呂に入りながら少しゆっくりと今日の優希君とのことを思い返す。まあ、特別思い返さなくても最近は優希君の事ばかり考えてしまうのだけれど。
 閑話休題。あの何かを諦めた表情。最後言いかけて途中で止められた言葉。私の知る限り、あんな表情を浮かべた人を私は見たことが無い。あの表情を思い浮かべていると、同じ優希君の事を思う時とは違い、今は全く心が浮つかない。
 ……ふと頭をよぎる。もちろん私は無理やり喋らせたつもりはないけれど、それは私がそう思っているだけで、優希君にとっては違ったのではないのか。あの時何も言わずに帰ろうとしたところを、とっさに腕をつかんで引き留めたのは私の方なのだ。
 ただ、それまでの会話を思い返して決してうぬぼれではなく、嫌われてはいないとは思う。そして優希君の文言通りに受け取って良いのなら、逆に私には嫌われたくはない……と思ってくれていると……そう思いたい。
 嫌われたくないから少しは話そうとしてくれたって事なのか。でも嫌われたくなくて話す事を途中で辞めたのか。
「でもあの時、初めから昇降口に着くまでの間って話だったし……」
 話の筋として通るような通らないような……それにあの時の優希君は
『僕はね、誰からも――』
 何を言おうとしたのか。あの時の優希君の諦念を持った表情が頭から離れない。
 それにあの雪野さんが普通だと言い切った、私の方がイレギュラーだと言外に含んだ時の優希君の起伏の抑えられた声。
 明らかに雪野さんを擁護するような雰囲気でもなかった。
 私の本心としては、話そうとしてくれたことは嬉しかったけれど、どうせなら全てを話して欲しかった。もっと欲を出すなら、雪野さんには何も言わずに私だけに全部を話して欲しい。
「……はぁ」
 朱先輩はもっとワガママになって良いって言ってくれたけれど、これじゃあワガママなんじゃなくてただ自分勝手なだけな気がする。
 ……私にとってはワガママって思ったより難しい気がする。
 結局熟考するにも優希君について知っている事が少なすぎて、今日の事についても何一つ考えがまとまらない。


 ……それにしても慶の奴が遅すぎる。
 私がお風呂から上がってもまだ帰って来ない。
 一度慶の携帯にかけてもやっぱり出ない。
「悪リィ。遅くなった」
 電話を切ってしばらくしてからやっと慶が帰って来る。
 さすがに帰ってくる時間が遅すぎるから慶に文句を言おうとリビングで待つ。
「慶。今何時だと思ってんの?」
 姿を現した慶に文句をぶつける。
「だから初めに悪かったっつってんだろ」
「お姉ちゃんは謝れなんて一言も言ってない。今何時だって聞いてんの」
 私たち学生が普通に出歩く時間じゃないと思う。ましてや弟は体だけは大きくなっても私よりもまだ二つも小さいのだから。
「んだよ。うっせーな! 二十一時過ぎ。遅くなって悪かった」
 私の質問にありありと面倒くさそうな表情を浮かべて棒読みで返す慶。
「誰と、どこで、何を、こんな時間までしてたの?」
 こんなのお父さん、お母さんに言えない。ましてやテスト期間中かテスト直前か……この中間テストもさして慶が勉強してるのをほとんど見てもいない。
「ハァ? なんでイチイチんな事言う必要あんの?」
 私の視線を合わせようともせず、そのまま自分の部屋へと向かうつもりなのか、
「まだ話は終わってないよ慶。それに夜ご飯はどうすんの?」
 出て行こうとする慶を呼び止める。
「メシは外で食った。俺から話す事はなにもねーよ」
 食べて来たって……しかも慶の不躾な視線を感じる。さすがに腹立った私は
「さっきのお姉ちゃんの質問に答えなさい」
 慶の先に回り込んで、扉の前でいつの間にか私よりも背だけは大きくなった慶を見上げる形で扉の前に立って慶の視線を受けて立つつもりで通せんぼをする。
「俺が誰と何をしたって、迷惑さえかけてなればいいだろ……退けよ……ブス」
 慶が私のある部分を見ながら、女の子にとっては屈辱的な一言を放つ。
 正直優希君に言われたら間違いなく立ち直れないだろうけれど、弟の慶にブスって言われたところで腹立つだけで何とも思わない。
 ただ今まで好き放題遊んできてのこの機嫌の悪さにはさすがに違和感を覚える。
「慶。あんまり調子乗ってるとお父さんとお母さんにいい加減言わないといけなくなるよ」
 本当にこのまま帰りが遅いのが普通になると、気づかれるに決まってる。
「出たよ。またジジィ、ババァかよ。いつまで親だ親だっつってんだよ」
 電話口で親から慶に代われと言われたら困る私としては、本当の事しか言えないのに
「ちょっとそこに座りなさいっ!」
 どうしてこの子はそんな事も分からないのか。
 少しでも親が気付く前に慶の生活態度が良くなればと思ってる私の気持ちが伝わらないのか。
 それに機嫌の悪くなる相手と遊んで楽しくないならこんな非常識な時間になる前に、帰って来たら良いのに。私の勘が違和感を強く訴えかけてくる。
「ハァ? 何でブスにんなことまで言われないとイケナイわけ?」
 中学の時のから口の悪さだけは中々治らない。
 家の中で誰もそんな言葉遣いはしていないのに、どうして慶だけそう言う言葉遣いになるのか。
 やっぱり友達が原因なのか。
「分かった。お姉ちゃんのことブスでも何でも良いから。嫌ならもう聞くの辞める。ただし、お弁当箱だけは出して」
 もういい加減慶の相手するのが面倒くさくなってきた上、慶の視線に嫌悪感を覚え始めた私は、会話を切り上げようとする。
「あーあ。蒼依さんならブスなねーちゃんと違って、もっと綺麗だし、優しいし。蒼依さんがねーちゃんだったら良かったのに」
 私より身長のある慶が、お弁当箱をかなり乱暴にテーブルの上に放り投げるのを見た私があの時の事を思い出しているとは露も思ってないのだろう、不満を隠そうともせずに、私だって慶のためにって言うほどの事でも無いかもしれないけれど、親に知られたら印象が悪くなりそうな事とかは、私なりに親にバレない様に工夫しているのに、そんな事も知らずに、考えずに好き放題言う。元々慶が蒼ちゃんに心酔しているのも知っているし、でもその蒼ちゃんも戸塚君とうまく行き始めているのだから、慶が報われることはない。
 だからせめて慶の気持ちくらいは蒼ちゃんに伝えようと
「分かった。お姉ちゃんより蒼ちゃんの方が慶のお姉ちゃんに相応しいって、後で電話するし伝えておくよ」
 ため息交じりで伝えると
「ハァ? なに自分だけいい子ぶってんの? ねーちゃんだってオトコと夜遅くまで遊んで、この前はオトコの家に泊まって一緒に寝――何すんだよっ!」
 慶の言葉を聞いて、視線までは何とか我慢したけれど、さすがに私の手は止まらなかった。
「あんた。もう一度言ってみなさいよっ!」
 気が付いた時には慶の頬を張っていた。
「いってーな! 何すんだよ! オトコとよろしくしてたんだろって言ったんだよ!」
 慶の言葉に思わず涙が浮かぶ。
「ハァ? 図星かよ! 大体オヤジだって同じ事言ってただろ!」
 私はお父さんにも相当きつく言ったはずなのに。お母さんにもその後電話でも言ったはずなのに。
 どうして一部分だけを切り取って話をするのか。
「最っ低!! もう慶の顔なんか見たくない! 自分の部屋に行きかけてたんでしょ? 早く行けば? もうこの先“私”はあんたの事なんか知らないから」
 どうして朱先輩との事をそいう目で見るのか理解が出来ない。
 そして私に向けたあの視線は何だったのか。
「言われなくても行くっつうの」
 お父さんが慶の前であれだけ無神経な事を言わなければって思うと、しばらくお父さんの顔も見たくない。

 慶を追い出して乱暴に投げられたお弁当箱を尻目に仕方なしに食べた夜ご飯はいつもより味気なかった。

 夕食もそこそこに慶の顔を見たくなかった私は、電話の子機だけを持って早々に自分の部屋に籠って恐らく自主的には初めてだろう部屋の鍵をかける。
 本来なら今日で定期テストが終わるから、ゆっくりくつろぎたかったのだけれど、気分も何もかも台無しどころか、本当に気分は最低だ。
 ただ、咲夜さんから例のグループの事も聞いていると言うのもあって、蒼ちゃんとは出来るだけ学校以外でも連絡は取りたい。
 幸い今日は慶の事でも用事が出来たからちょうどいい。
『蒼ちゃん今時間大丈夫?』
『うん。蒼依は大丈夫だけど、愛ちゃんから電話してくるなんて珍しいね』
 蒼ちゃんも時間が空いていて良かった。
『ちょっと気になる事もあって』
 よく考えたら昼間話した内容の事を二度話すのはかえって蒼ちゃんに何かを感づかせることになるかもしれない。
『どうしたの? 何でも言ってね』
 だから本来話そうとしていた事とは少しだけ違う事を話す事にする。
『成績の順位の事だけれど、成績上位者だけの公表になりそうだから、何か言われたり……は無いと思う』
『え? それって蒼依に喋っちゃって大丈夫なの? 統括会の事って結構言えない事も多いんだよね』
 せめて蒼ちゃんに少しだけでも安心して欲しくて。
『今週末には先生から連絡事項であると思うから、それまでは秘密にしておいてもらえれば』
 でも、私の伝え方も蒼ちゃんの空気を重くしてしまったのを、電話口を通して伝わってしまう。
『でも今の蒼依には仲良くしてくれる人少ないから』
 あの戸塚君の件以来、目に見えて蒼ちゃんに絡む人は減っている。
 今は昼休みとか、放課後とか蒼ちゃんが学校の手伝いをしていて教室にいない事が多いからそれほど目立ってはいないけれど、絡む人でも一言二言交わすだけで、会話と言うのも微妙なくらいしか絡まないので、蒼ちゃんにも喋る相手は少ない。
 それはまるで実祝さんの時のようでいや
 ――またあのグループが何かやらかしそうだから――
 場合によっては孤立が深まるかもしれない。私は密かに危機感を強める。
『ごめん……そんなつもりじゃなくて。でもだからこそ、蒼ちゃんには余分な心配をして欲しくなくて。第一私は絶対に蒼ちゃんの味方だからね』
 あの時に公園で蒼ちゃんの本音を聞いてる。知っている私は何があっても蒼ちゃんの味方でいようと改めて心に決める。それに蒼ちゃんはいくら彼氏とうまく行ったからと言って、友達をないがしろにするような子じゃない。だからこそ、例のグループには注意しておかないといけない。
『愛ちゃんありがとう。でも、電話の要件それだけじゃないよね』
『そうだけれど……なんで?』
『もう。愛ちゃんと友達やって長いのに分かるに決まってるよ。第一お昼に同じような話をしてるのに、いつもの愛ちゃんならわざわざもう一度電話をかけてまで同じような事言わないよ』
 私の質問に即答してくれる蒼ちゃんが何よりも、友達の事を大切にしてくれている証拠だと私は思う。
『ちょっとね。慶の事でね』
 言いかけたは良いけれど、本当にこんなことに蒼ちゃんを巻き込んで良いのか
『慶久君とケンカ?』
『まあ、喧嘩とは言えなくもないけれど……私って蒼ちゃんから見てはしたない女の子に見える?』
 揺れていると、蒼ちゃんが渡し船を出してくれたから、それに乗っからせてもらう。
『はしたないって……“そう言う意味”で?』
『うん』
 あの子の私を見る視線を思い出して返事をする。
『愛ちゃんに限ってさすがにそれはないよ。えっと、それを慶久君が愛ちゃんに?』
 そしてさっきのやり取りを朱先輩のことも隠さずに蒼ちゃんに話す。
『だから蒼ちゃん。私の代わりに慶の姉やってくれる?』
 私の今日の本来の電話の目的を言う。端から聞くとホント有り得ない会話だと思う。でも、あの慶の態度からは明らかだし慶の為を思えばって言うのもある。幸い両親も週末しか帰って来ないから出来ない事は無い……本音で言うと慶の顔を見たくない。
『慶久君がそう言う事をねぇ……愛ちゃんには悪いけど蒼依は嫌かな? 愛ちゃんにとってはたった一人の弟だろうけれど、蒼依にとっては愛ちゃんは大切な友達だから。だから友達の事をそう言う言い方されると、愛ちゃんの弟さんでも蒼依は嫌だな』
 蒼ちゃんの言葉を聞いて、優希君の時とはまた違う胸の温かさを感じる。
『蒼ちゃんありがとう』
『愛ちゃんのお願いを断ったのに、愛ちゃんがお礼言うなんて変なの』
 確かにお願いを断られた方が、お礼を言うのは変な気がする。
『でも愛ちゃんがそこまでの信頼を置く人って……蒼依の知ってる人?』
『ううん。私の両親も含めて誰も知らないんじゃないかな』
 そう。朱先輩の事は誰にも言ってない。
 誰にも言ってはいないけれど、覚えてるとは思えないけれど弟の慶は電話口で喋ったことはあるはず。
『ありがとう蒼依に相談してくれて――それでどうする? 慶久君の事、蒼依から電話で話した方が良い?』
『ううんありがとう。少し様子を見てみるよ』
 そう言って後は軽い雑談をして、通話を終える。
 今回は結構な長電話になった気がする。ただ、心の持ちようだけは少しだけ楽になっていた。


 翌朝慶のお弁当をどうしようかと少し迷ったけれど、昨日乱暴に投げられたお弁当箱を思い出して作るのを辞めて朝ごはんの準備だけをして慶は放っておいて、学校へ向かう。
 教室へ着いて自分の席にカバンを置いた所で、
「愛美さんおはようございます。今日のお茶会楽しみでしてよ」
 早速咲夜さんが間違いなく何かを企んでいる時の口調で今日の放課後の約束を確認してくる。
「おはよう咲夜さん。ちょうどこっちも咲夜さんに言いたい事・聞きたい事がいくつかあったから楽しみだよ。“月森さん”」
 なので私の方からも好都合とばかりに、咲夜さんに確認させてもらう。
 特に優希君への“安売りの聖女”発言について細かく。
「あれ? いやー今日の放課後は楽しみだなー」
 私の雰囲気から何かを感じ取ったのか、口調が元に戻っていたから
「あら月森さん? 口調がいつもと違っていましてよ?」
「……」
 咲夜さんに喋り方、口調の事を指摘してさし上げる……指摘する。
「それはともかく、今日の三人でのお茶会が楽しみですわね」
 せっかくなので咲夜さんの口調を引き継いでみたのだけれど、別の所に引っかかったのか
「さん……にん?」
「はい。それでは放課後までごきげんよう」
 人数の確認をしていたけれど、聞こえないフリをして固まったままの咲夜さんをそのままに会話を切り上げてしまう。こっちは優希君に“安売り”の部分に関しては絶対に知られるのも誤解されるのも嫌だから、放課後私が納得するまでじっくりと聞かせてもらうよ。
 それだけ念じたところで、朝の授業開始の予鈴が鳴り響き、みんなが自分席へ着く。
 この光景を見てると見かけだけは何の問題もない進学校なんだと思えてしまう。
 そんな事を考えている間に特に朝礼時での連絡事項もなく、そのまま午前の授業が始まる。


 午前の授業もつつがなく終わった昼休み。今日は私もお弁当を作っていなかったから、
「蒼ちゃん一緒に学食行こう」
 明らかに昨日から今日で人の流れが変わった蒼ちゃんをお昼に誘う。
「あれ? 愛ちゃん今日はお弁当は?」
「今日は慶の分も作って無いから食堂」
 昨日の夜詳細は電話で話してあるから、スムーズに話が進む。
 テスト明けの食堂と言う事で普段よりかは心持ち人が多く感じる食堂で、何とか席を確保して昼食にありつく。
「結局今日は慶久君のお弁当作らなかったんだ」
「うん。昨日あんなこと言われて、お弁当箱も投げられて、なんか馬鹿らしくなっちゃって」
 夜帰って来るのが遅い事ももちろんの事、昨日の発言・言葉遣い、行動にしても。
「でもさすがにびっくりしたよ。慶久君が愛ちゃんにそんな事言うなんて」
「そうなんだよ。だいたい身内の女の子に平気でそう言う事言える神経が分かんない」
 自分で言ってて気分が悪い。それ以上言いたくなかったって言うのもあるけれど、もう一つ今日からあからさまになっている事の確認をする。
「それよりも蒼ちゃんこそ大丈夫?」
「うん……今日は愛ちゃんがいてくれるから何とか」
 口ではそう言ってくれるけれど、蒼ちゃんの揺れる瞳、一番初めに実祝さんと仲違いした時に流した蒼ちゃんのあの涙、大丈夫なわけないと思う。
「誰が言い出したんだろ。こんな幼稚な事」
 もちろん目星はついてる。と言うかそれしか考えられない。
 だけれど証拠が無いから問い詰めたってどうにもならない。
 かといって放っておくなんてことも出来ないし。
「でも、蒼依も何かされたとかじゃないから」
 優しい蒼ちゃんはそう言うけれど
「でもこれってもう集団無視と同じだよね。もうイジメと同じじゃない」
 いつだってこう言うので涙を流すのは、心根の優しい蒼ちゃんみたいな人間って決まってる。
 弟の慶にしても、今回だけに限らない例のグループにしても、雪野さん……は少し違う気もするけれど、どうして自分の都合ばかり、言いたい事ばかり言って、人の話を聞けないのか。例のグループに関してはむしろ反対に言いたい事があるならはっきり言ってくればいいのに、勝手な劣等感を持って、どうして周りの人間を巻き込んで自分よりも弱い者、意見を言えない大人しい子を標的にするのか。
「でも愛ちゃんは蒼依と一緒にお昼してくれるんでしょ?」
「当たり前だよ。何で私たちがあんな連中に気を遣わないといけないの?」
 私の言葉にほっと一息をつく蒼ちゃん。
「じゃあ今までとあんまり変わんないから、蒼依は大丈夫だよ」
 そう言って私に微笑んでくれる。
「じゃあ愛ちゃんも食べ終わったし、教室に戻ろう」
 愚痴を言っている間にいつの間にかお昼を完食していたから、食器を返却して
 教室へと戻った。



―――――――――――――――――次回予告―――――――――――――――――

       「あっとすまん。岡本ちょっとだけ良いか?」
             再び先生からの呼び出し
            「……ああ。また明日な」
            先生の用件とは何だったのか
              「……魔性の聖女」         
            性懲りもなく発案される愛称


          蒼ちゃんを傷つけたら、私絶対怒るよ
 

         35話 【友達から親友へ】<光と影の視線>
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