【パ障4】もし非社会性パーソナリティの人がTRPGをしたら?

文字数 1,592文字

さて、次は非社会性パーソナリティですが。まずはICD-10の分類の確認ですね。
よしきた。見やすいように改行入れるね。

「非社会性人格障害

 社会的義務の無視,他人の感情に対する無関心を特徴とする人格障害。

 その行動と世間一般の社会規範との間の著しい不釣合いが見られる。

 行動は,罰等を含む経験によっても容易には修正されない。

 欲求不満への耐性が低く,暴力などを含む敵意の表出のいき<閾>値が低い。

 他人を非難したり社会と摩擦を引き起こすような自分の行動に,もっともらしい理屈づけをする傾向がある。」

あれ? この説明だったら「反社会」と呼んだほうがいいのでは?
実は、DSM-5では、反社会性(Antisocial)という言葉を使っているんだけど、今見ているICD-10では、非社会性(Dissocial)という別の言葉を使っているのよ。でも、表そうとしているパーソナリティは大体同じ。

これが教育心理学だと「反社会的行動」と「非社会的行動」は全く違うから、まあ所変わればってやつね。

それで、非社会性パーソナリティというのは、世間一般からみた悪事を働きやすい行動のあり方というふうに理解してよいのでしょうか。
そんな感じね。世間一般の社会規範から外れた行動に抵抗がない。他人を裏切る、他人から盗む、ときに他人に暴力を振るうといった行動を、平気でできてしまう。むしろそうした行いから楽しみを得ようとしていることさえある。

もう一つ注目すべきは、分類に出てきた「もっともらしい理屈づけ」ね。

「もっともらしい理屈づけ」?
ちょっと具体例が見つからなかったので創作してみるけど、

「向こうが先にガン飛ばして来やがったから殴ったんだぜ」

みたいなのかしらね。

ああ、いますねそういう人。
で、それらの傾向が極端になると、犯罪で逮捕されるような非社会性パーソナリティ障害ということになるわけだけど……岡田によれば、ある調査で男性の有病率が約3%で女性は約1%。ただしMSDマニュアルによると、男性は女性の6倍多い。
男性のほうが多いんですね。
逆に女性が多いとされているのは境界性パーソナリティ障害ね。このあたりはジェンダー論の色彩が強いと思うけど、今扱うテーマを超えているから、後に譲りましょう。
さて、もし非社会性パーソナリティの人がTRPGをしたら、ですが……。
まず考えられるのは裏切りや他害行為ね。理由もなく背後からショットガン撃ってきたりとか(注:ゲーム内の話です)
しかも、楽しみを得ようとしてそうした振る舞いに及ぶんですよね?
そこで、「TRPGは楽しむためにするものだろ?」とか「何でもできるのがTRPGの魅力だよなあ?」とか「所詮ゲームだろ」などと理屈づけすることが考えられる。それでは他人は楽しめないのだ、ということが理解できないか、理解した上で背いている
結局これも、他人との信頼関係や、共助関係を欠いているんですね。
妄想性パーソナリティでは、「他人は隙あらば自分を攻撃してくる敵でしかない」だったけど、非社会性パーソナリティでは、「他人は邪魔者か養分」といった感じね。
さて、こうした非社会性パーソナリティに出会った場合は、どうしたらいいのでしょうか?
これも岡田の原文にあたってほしいところだけど、一つだけ紹介しておくね。

「挑発に乗らない」ことが重要。

挑発?
他人を当惑させたり、怒らせたりすることに楽しみを見出している人に、「養分」を与えてはいけないってことね。
なるほど。それだと、もっともらしい理屈づけを与えてしまうことにもなりますからね。「向こうが些細なことで怒っているだけだ」とか。
あと、行動を改めさせることはあまり期待しないほうがいい。分類にも「行動は,罰等を含む経験によっても容易には修正されない」とあるくらいだからね。
次回は何を扱いますか?
そうね、自己愛性パーソナリティに触れることにしましょう。
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登場人物紹介

久恵里(くえり)

主に質問する側

せんせい(先生)

主に答える側

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