【パ障2】パーソナリティ障害にはどんな種類があるの?
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その前に基礎知識の確認。現在、精神の障害の分類法として広く使用されているものは2つあるの。
アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM)と、
世界保健機関の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(ICD)ね。
DSMはプロプライエタリな著作物だから、利用するなら購入する必要がある。
一方ICDは国際機関が出しているだけあって、WHOのサイトで全文を無料で見られる。日本での統計調査用に訳された「疾病、傷害及び死因の統計分類」を厚生労働省のサイトで見ることができるから、今回はそれを見ていくことにしましょう。バージョンとしては、ICD-10(2013年版)に準拠しているものよ。(注:本稿執筆現在(2018年5月))
「ゲーム障害」の項目が設けられる予定が話題になったことがありましたね。
はい。
「F60.0 妄想性人格障害
F60.1 統合失調症質性人格障害
F60.2 非社会性人格障害
F60.3 情緒不安定性人格障害
F60.3a 衝動型人格障害
F60.3b 境界型人格障害
F60.3c その他の情緒不安定性人格障害
F60.3d 情緒不安定性人格障害,詳細不明
F60.4 演技性人格障害
F60.5 強迫性人格障害
F60.6 不安性 [回避性] 人格障害
F60.7 依存性人格障害
F60.8 その他の特定の人格障害
人格(障害):
・エキセントリック
・「軽佻者」型
・未熟型
・自己愛的
・受動・攻撃性
・精神神経症的
F60.9 人格障害, 詳細不明」
こ、こんなにあるんですか……。しかもわかりづらい漢字が沢山……。
数が多い上に、分類の仕方も曖昧なところがあるから、もっと整理しようという努力はされているんだけど、これまでなかなかうまく行っていなかったのよ。一応、DSM-5では、「代替診断基準」という、パラメータの組み合わせでパーソナリティ障害を分類しようという提案は出されたんだけど。うまく本流に組み込まれるかどうかは、今後の結果次第ね。
おおよそ似通っているんだけど、細かい部分で違いがあるわ。例えばICD-10には「統合失調症質性人格障害」というのがあるけど、DSM-5には「統合失調質パーソナリティ障害」と「統合失調型パーソナリティ障害」があったりとか。
そうね……実例を挙げるわけにはいかないからね。このICD-10の日本語訳と、他のテキストを参照しつつ、「もし〇〇パーソナリティの人がTRPGをしたら」といった、シミュレーションをしてみるのはどうかしら。
さすがにそれは大変すぎるから、ある程度候補を絞ってやっていきましょう。先に挙げた統合失調症質性人格障害は、「他人と関わらずに独りでいようとするパーソナリティ」だから、TRPGとは関連付けようがないでしょ。こういうのは除くってことで。
精神科医の岡田尊司の本で「パーソナリティ障害」があるから、それを使おうと思うの。ただ、出版時期の関係で、DSM-IV-TRという少し古い基準を使用しているから、その点は注意が必要よ。
あともう一冊テキストとして予定しているものがあるけど、それはその時に説明するね。