第6話:外人に柔道の教授と家庭教師の思い出

文字数 1,996文字

 そこで臭い男の子は抑えたらすぐ交代し臭くない子の時に技のポイントを説明する様にした。そして、また、あの娘の番が来た、今度は上半身に覆いかぶさるように抑えるので彼女の2つの大きな10インチ砲が私の胸の下に治まった。考えただけでも鼻血が出そうだが、ぴったり身体を合わせたもんだから大変、自分の大砲も大きくなった。

 その位置はというと彼女の頭の上、髪の毛の上だった。何とか悟られない様にすると腰が引け変な格好になるので困った。そこで、やむなく大砲を畳に強く押し付けると言うか、押し曲げた。そして何とか彼らに悟られない様にした。しかし、この状態では立ち上がれない。そうこうしているうちに時間ばかり過ぎていった。

 そこで、みんなに変だと思われるので知らないうちに上四方固めから他の固め技に変形させた。いろいろな固め技に変形させて時間稼ぎをした。それを様子を見て、みんなが、なんて熱心な先生だろうと思い違いをして喜んでくれた。ちょっと、かがんだ姿勢で腰を引き山下のピラミッドが目立たない様にした。そして無事、練習を終了した。

 その他、ティムとの思い出は、いくつもあったが、特に印象的だったのが、山下公園の前、ホテル・ニューグランドでの出来事だった。11月下旬に元町をぶらついて、腹が減ったから、中華街で中華そばを食べて山下公園を散歩して、日が傾いて、寒くなったので、目の前のホテル・ニューグランドに入って、ホテルの中を見学した、

 するとティムが、ここはマッカーサーが定宿にしてたホテルだろと言い、道理で素敵なホテルだと言った。その後、寒くなったから身体を温めたいと言い地下にある「シー・ガーディアン」に素知らぬ顔して入店。そしてカウンターに座りジン・フィーズとハイボールを頼んで飲んで少し酔って顔が赤くなり身体が暖かくなった。

 その後、ティムがチェックプリーズと言い店を出るとマスターにジャスト・モーメント・プリーズ「ちょっと、お待ち下さい」続けて、
「プリーズ・ショー・ミー・ザ・エイジ・サーティフィケイト」
「年齢を証明するものを見せて下さい」と言われた。それに対してナウ・アイドント・ハブ・ア・サーティフィケイトと答えた。

 すると
「イフ・ユー・ガイズ・キャント・ビー・ドリンキング・インザ・マイナーズ」
「君たちは未成年で飲酒できないと」と言われアイム・ソーリ-と言って20ドルを置いて走って店を出てホテルの玄関を出て駆け足で立ち去った。出てくるなりティムが完璧な英語で、さすが一流ホテルだと妙に感心しているのを見て山下治が大笑いした。

 山下は心の中で「ティム、日本人を、なめんじゃねーぞと、大声で怒鳴って、すっきりした」
「これがティムとの最後の冒険であり一番印象に残った出来事だった」
 そうして彼と付き合って一年半が過ぎようとした頃、突然、彼との別れが、やってきた。

 それは、彼が高校2年時、飛び級で高校3年になり大学の受験資格を取り、ボストン大学の入学試験に合格し日本を離れる事だった。彼とは、いろんな議論をし、時には激しい口論となった事もあったがフランクでいたずらっ子の様なオチャメな所と裏腹に悪賢い側面を持つユニークで面白い奴だった。そしてボストン大学に合格して単身で米国へ帰ってしまった。

 帰り際に彼が山下君、本当に面白い一年だった。この思い出は多分、一生忘れないと言ってくれた。もちろん山下も同感であり握手して、しっかりハグをして別れた。これは山下治にとって青春の大きな思い出というか勲章と言っても良いくらいの素晴らしい出来事だった。次に山下治が家庭教師をした時の話をしよう。

 高専の合格のお祝いに母方のおじさんが、訪ねて来て市営住宅の庭に6畳のプレハブを建ててくれ、山下専用の勉強部屋として使い、近くの団地の子の家庭教師を依頼された。家庭教師に対する要望は、大きく分けて、二つ。一は、人並みの学力まで、引き上げて欲しいと言う事。二は、良い学校を目指している子供を希望校に合格させる合格請負人。

 私の場合、4人の子の家庭教師を請け負った。1人が人並みにレベルで、残り3人のは良い高校へ入りたいであった。面白いのは人並みレベルの子だったので書く事にする。最初に来たのは中一の女の子で第一印象は集中力がない子。5分足らずで疲れて、やる気をなくした。彼女には、まず問題集をやらせて、その後、教える様にした。しかし、問題集を解いてる段階で、わからなくなるとすぐわかんないと言った。

 そして、やめてしまた。そこで山下が月謝もらってるのだから、もったいないよと毎回言う事になった。でも、私が払ってる訳じゃないから関係ないと言った。実は、どうしたら良いかと困っている時、彼女が沢田研二の大ファンである事がわかった。そこで沢田研二は馬鹿は嫌いだよ、やはり賢くて可愛くて、きれいな子が好きだと思うよと言った。
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