侵攻の前兆

文字数 1,267文字

 グラッスからプレツへとギン達が帰還している中、ブロッス帝国への帰還を魔導騎士団も成功していた。

 戦いの中、団長であるカイス、副官であるトーラスが重傷を負い、2人の治療が行われ、現在は療養中である。

 そのカイスが療養中の病室に魔導騎士団士官プラナが訪れていた。

「カイス様、お加減はいかがでしょうか?」
「治癒士の話によれば驚異的な回復力のようだ。もっともすぐに戦線に復帰できるわけではないが」
「そうですか、ご無理はなさらないでください。陛下よりお下知があれば私が隊を指揮しますので、カイス様はゆっくりお休みになってください」

 カイスとプラナがやり取りをしている中、もう1人が病室に入ってカイスに声をかける。

「おう!カイス、息災か?」
「バンス将軍?何故?」

 カイスの病室を訪れたのはブロッス帝国将軍のバンスだ。カイスに問いかけられ返答をする。

「おいおい、同志が重傷を負ったのだ見舞うのは当然ではないか」
「だが聞いたぞ、再度プレツへと侵攻をすると」
「おう、ブリードの奴も張りきっている。今度は不覚をとらんと」

 カイスとバンスがやり取りをしている中、さらにもう1人が病室に入ってくる。

「バンスよここにおったのか」
「エンビデスか?いかがした?」

 病室に入室したのはブロッス帝国魔導士エンビデスである。彼は宰相の任も与えられており、どうやらバンスに伝えることがあるようだ。

「先程、私の配下より知らせを受けたのだが、プレツの特使、ならびにその護衛が新たなる護衛を雇い帰還中のようだ」
「プレツの特使と護衛は以前にプレツの砦の奪還の際に現れた奴らか?」
「そうだ、どうやらミッツ教団の司祭が帰還要請をしたようだ」

 新たなる護衛を雇ったという言葉が気になり、カイスがエンビデスに尋ねている。

「その新たなる護衛というのはグラッスの者か?」
「うむ、トッポックス領主が失脚したためその私兵がそのまま奴らに雇われたそうだ」

 エンビデスの話を聞いて、バンスは少し思案をする。

「奴らが戻って来るとなると攻略が難しくなるな、さていかがしたものか」

 バンスが思案する中、プラナがバンス並びにカイスにある提案をする。

「カイス様、バンス将軍、お願いがございます」

 プラナの言葉を聞き、カイスが尋ねる。

「プラナ、どうした?」
「はい、私と私の従士もプレツ侵攻の部隊に加わらせていただきたいと存じます」
「お前がか、だがお前も帰還して間もないであろう。少し休んではどうか」
「大丈夫にございます。奴らの力は強大です。少しでも戦力がいるなら我々もお力添えしたいと思います」

 プラナの申し入れに対し、バンスが返答をする。

「よかろう!お主を我が隊と行動を共にすることを許可する」
「ありがとうございます!では私も出立の準備をしてまいります」

 そう言ってプラナは病室をあとにし、出立の準備に向かった。

「いいのかバンス?我が配下を」
「構わぬ。我らとしても戦力があることにこしたことはない」
「分かった。プラナの事を頼むぞ」
「おう!任せておけ」

 バンス隊、並びにプラナのプレツ侵攻が始まろうとしている。
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