守り、守られ

文字数 1,122文字

新たなる反帝国同盟の交渉の為の目的地、ピトリ国へと向かう為、ギン達は馬車と荷物の準備をしていた。

 そんな時に、ギンとルルーが会話をしていた。

「とりあえず、馬車に詰め込む荷物はこんなものでいいか」
「そうね、今回から船も使うわけだし、他に必要な物はニリで調達して船に詰め込みましょう」

 ギンとルルーが会話をしていると、ジエイが報告にやって来る。

「ギン殿、ルルー殿、ループとゲンジも来たので、馬車につないでそろそろニリまで向かいましょう」

 ループとゲンジが馬小屋から連れられて来て、馬車と2頭をつないでの出発の準備が進められる。

 準備を終えるとループの馬車をギンが御し、エイム、ブライアン、ルルー、ムルカが乗り込む。

 ゲンジの馬車はヨナの傭兵団の1人が御し、ヨナ、ジエイ、他の傭兵団の団員が乗り込む。

 ギン達がそれぞれの馬車に乗り込むと司祭がギン達に話しかける。

「それでは、皆さんお気をつけてください。ミッツ様のご加護がありますように」

 司祭の言葉にルルーが返事を返す。

「では行って参ります」

 いよいよ出発かという時にどこからともなく声がする。

「待ってーーーー!」

 この声にエイムが反応を示す。

「この声は……」
「あ、良かった、おねえちゃんまだいたんだ」
「やっぱり、マリンちゃん!どうしたんですか?」

 声の主の正体はマリンであり、何かをとりだし馬車からいったん降りたエイムに手渡す。

「これは?」
「あのね、お兄ちゃんがマリンにくれたお守りなんだけどおねえちゃんにあげる」
「いいんですか?」
「うん、だっておねえちゃん危ない所に行くからおねえちゃんが持っている方がいいと思うの」

 エイムは受け取ったお守りを自身の手荷物にしまい、マリンに礼の言葉を述べる。

「ありがとうございます、大事にしますね」

 エイムの言葉を受けて、マリンはギンの方にも向き直して声をかける。

「うん!あ、剣士のおにいちゃん、おねえちゃんのことをしっかりと守ってあげてね。約束だよ」
「ん?ああ、そうだな」

 マリンの言葉に戸惑いつつもギンは了承し、ルルーがギンとマリン、それぞれに声をかける。

「じゃあ、そろそろ出発しましょう。ごめんマリンちゃん、私達そろそろ行かなくちゃ」
「うん!シスター様も頑張ってね」
「ありがとう、マリンちゃんにもミッツ様の加護がありますように」

 その言葉を聞いて、ギンは馬車を御して教会から離れていく。

 エイムがマリンよりもらったお守りを見ながらギンに話しかける。

「ねえ、ギンさん、私達は守るために戦っていますが、私達もこんな風に守られているんですね」
「エイム、そうだな。だから帝国にも魔族にも負けるわけにはいかない」
「はい!」

 戦いに対しより強い決意を示す一同であった。
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