勝利への執念

文字数 1,153文字

 魔導騎士団によるグラッスの砦攻略が失敗に終わった頃、ギンとカイスは一騎打ちをしていたが互いに決定打が与えられず勝負は一進一退となっていた。

 魔導騎士団の士官であるプラナもまた、ブライアンの腕力そしてエイム、ルルーの魔法の補助もあり部下の兵士達が戦闘不能に追い込まれて3対1を余儀なくされる。

 追い詰められたプラナは悔しさを思わず口に出してしまう。

「くっ!この私がこれほど追い詰められるとは、魔導騎士団の名折れか!」

 プラナの声が聞こえたカイスはギンに魔法を放ち、ギンより距離を取りプラナに駆け寄り声を掛ける。

「落ち着けプラナ!弱気を見せれば敵はそこにつけこむぞ。凛とした態度それがお前であろう」
「カイス様……、申し訳ありません。このプラナ、これより全身全霊をかけ敵を殲滅します」
「うむ、だがこのまま戦うのはまずいことも確かだ。私が前面に出ようお前が後方から魔法で私を援護せよ」
「カイス様!それではカイス様が危険にさらされてしまいます。前面には私が出ます」

 カイスの作戦に反対意見を述べるプラナであったが、カイスはプラナに説く。

「プラナよ、あの剣士の腕前は帝国にもそうはいない程だ。私でなければつば競り合いすら不可能だろう。だがそれさえ出来ればお前の魔法で仕留められる」
「カイス様、承知いたしました。私にお任せください」

 カイスが前面に出てきたのを見てブライアンがギンに対応を尋ねる。

「どうすんだギン?敵の大将が自ら前面にきたぜ」

 ブライアンの言葉を聞いたギンはエイムに自分の考えを話す。

「エイム、風魔法で俺を奴に向けて飛ばしてくれ。その勢いで奴を斬る」
「ギンさん、それは危険です!だいいち私の魔力コントロールでは魔法自体でギンさんを傷つけてしまうかも知れません」
「……奴は強い。俺の速度強化の魔法ではスピードで上回っても動きを読まれて決定打を与えられない。だから奴でも捉えられない動きが必要だ」

 理屈では分かっていてもギンを傷つけることを恐れ躊躇しているエイムに対し、ギンは強い言葉を掛ける。

「エイム、俺はお前を信じている。これはお前にしか出来ないんだ!」
「ギンさん……、私やります!」

 ギンの言葉に強く決意したエイムは呪文の詠唱を行う。

「風を司りし者よ、古の盟約に従ひて我の望みに応えよ。彼の者を我の望みし方へ飛ばし給へ。風の玉(ウインドボール)

 エイムは球状の風を起こしそれをギンに向けて放ち、それをギンは背で受け、勢いよくカイスの方へ飛んで行き、剣を魔法で強化する。

「は、速い!」

 あまりの勢いにカイスは回避行動をとれず受け止める行動をとり、それを見たプラナは防御魔法をカイスに張る。

 そして両者は互いの剣が激突し、互いに体が後方に体が吹っ飛び、草原に倒れこむ。

「ギンさん!」
「カイス様!」

 果たして両者の運命は?
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