ニリへの寄港

文字数 1,124文字

ブロッス帝国の補給拠点ならびに、その周辺を守る水軍を追い払うことに成功したギン達は港町ニリへと帰還するべく航海していた。

「どうにか上手くいったな、これで帝国はもうプレツには攻めてこねえよな?」
「当分は本格的な侵攻は無理だろうが、戦争そのものが終わったわけではない。今回の勝利を材料に和平交渉を進めるだろうが……」

 ギンが言葉を詰まらせるとジエイが補足の説明を行う。

「念の為、反帝国同盟も働きかけねばなりませんでしょうね」
「その反帝国同盟ってムルカ様やルルー様がしてらっしゃる動きで、皆さんがその護衛をしていることですか?」
「そうですな、私はあくまで同盟国の者として協力している立場ですが」

 一同がやり取りをしていると、ウィルが全員に声をかける。

「みんな、そろそろ港に着くぞ」

 ウィルがそう言って一同が港に目をやるとミニルが言葉を発する。

「父さん、母さん、リンド!兄さん、みんなで私達を出迎えてくれているわ」
「そんなの見りゃ分かんだよ!」

 こうして港にたどり着くと船を停泊させ、ギン達は船から降りる。

 ギン達が船から降りた瞬間、ウィル達の母であるレンがウィルとミニル2人に駆け寄り抱擁した。

「ちょ、母さん、恥いだろう!」
「か、母さん……」

 恥ずかしさと戸惑いをおぼえる2人に対しレンが声をかける。

「だって……2人共、ちゃんと無事に帰ってこれて母さんうれしいのよ」

 そう言って2人から離れギン達に駆け寄り礼の言葉を述べる。

「ありがとうございました、息子と娘をお守り頂いて」
「危険な任務をお願いしたのはこちらです、ならば命をかけて守り抜くのが務めです。それに2人がいなければ自分達もどうなっていたか分かりません」
「それでも母として、大事な子供を守ってくれたあなた方には感謝しかありません」

 レンがギンに礼の言葉を述べているとボガードが口を挟む。

(あん)ちゃん、俺からも礼を言うぜ、ありがとよ」
「それには及びません、俺達はこれからスップに戻りますが2人も今回の作戦の功労者なので、そこまでは同行してもらいます」
「そうか、俺もスップまで行っていいか?依頼人に話したいことがあるんだ」
「特使の2人ですか?フィファーナ将軍との戦いが終わっていればスップに戻ってるとは思うんですが……」

 ギンとボガードがやり取りをしているとミッツ教徒がギン達の元に現れる。

「ギン殿、戻って来たと聞いたので、お耳にいれたいことがあります」
「どうしたんだ?」
「ムルカ様やルルー様達がフィファーナ将軍の部隊を退けました。エイム殿達も無事です」
「そうか、それなら俺達も戻るとしよう。ボガード殿達もいらっしゃるなら行きましょう」

 こうしてギン達はボガード親子と共にスップへと向かうことになった。
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