護衛の必要性

文字数 1,182文字

 ピトリ国のアイルの街で行商を終えたヨナが市にいるギン達に気付いて声をかける。

「あ、みんな来てたんだ。あいにく、あたしらの商売は終わったよ」

 ヨナの言葉かけにギンが反応を示し、返事をする。

「それなら1度広場に戻ろう。お前達にも話しておきたいことがある」
「何かあったのかい?」
「詳しい話は広場でする。ジエイも戻ってきてからがいいだろう」
「了解」

 こうしてヨナ達と合流したギン達は市を抜け、広場へと戻っていく。

 広場に戻りしばらくするとジエイが戻ってきてギン達に声をかける。

「ただいま戻りました」

 ジエイの言葉にギンが言葉を返す。

「ジエイ、帝国軍はどうだった?」
「帝国はこの街にいる様子はありませんでしたが気になった情報があるのでお伝えしましょう」
「何だ?」
「最近、どうも魔物の目撃情報が多いようです。幸いピトリ軍のおかげで被害は抑えられているようですが」

 ジエイの言葉を聞いて、ルルーが自分達がミックサック団の護衛をする必要性を認識し、それを言葉にする。

「やっぱり、ミックサック団の護衛に私達が必要のようね」
「護衛?どういうことですか?」
「そうだ、あたしにも話してよ」
「そうね、実は……」

 ルルーはジエイとヨナに自分達がラックの街までミックサック団の護衛をすることになったことを伝える。

 金をだまし取った傭兵達の話を聞いたヨナが怒りを露わにする。

「とんでもない奴らだね!依頼を引き受けておいて金だけ持ち逃げするなんてさ!」

 ヨナが怒りを露わにするとブライアンが軽口をたたく。

「いやいや、お前達だって俺達をだまそうとしたじゃないか」
「あ、あれわさ……」

 過去の悪行をブライアンに冗談交じりでからかわれて困るヨナに対しエイムが助け舟を出す。

「ブライアンさん!ヨナさんをあんまりいじめちゃダメですよ、ヨナさん達だって反省したから私達と一緒に旅をしているんですよ!」
「わ、悪い。すまねえなヨナ。ちょっと言い過ぎちまった」

 ブライアンの謝罪の言葉にヨナは言葉を返し、エイムにも声をかける。

「別にあたしは大丈夫だよ。エイム、そこまであたしに気をつかわなくていいからさ」
「いいんですか?」
「時々、こう言ってもらわないと自分達がしたことを忘れるかも知んないし。1人くらい言ってくれる奴があたしらには必要なんだよ」
「そうなんですか、でも私はヨナさんならもうそんなことしないと思ってますから。それにブライアンさんが何か言った時に止められる人も必要ですよね」

 エイム、ブライアン、ヨナのやり取りを見て疑問を抱いたウィルがギンに尋ねる。

「なあ、お前らとヨナ達の間に何があったんだ?」
「いずれゆっくり話してはやる」

 ギンが言葉を返し終えるとルルーが一同に声をかける。

「みんな、明日から護衛もしながら移動をするから今日はもうゆっくり休みましょう」

 遂にミックサック団の護衛が始まろうとしている。
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