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文字数 1,072文字
礼拝堂に戻り、床にある扉を開く。地下に続く階段は三段目から先が見えないほど真っ暗だったが、恐る恐る下りていくと終着点が淡く光っていた。
正方形の地下室には、十二体の白い像が円を描くように座っていた。各々が思い思いの格好で、独立した椅子に腰を下ろしているため、間を通ることができる。
そして、十二体の像の中心には白いローブをまとった男の像があった。地下室があまり暗くないのは、この一体の像が屋根裏部屋の少女像のように淡く発光しているためだ。
室内や計十三体の像を見て回っていたツァックは、少年が視界から消えていることに気づいた。慌てて探すと、礼拝堂と地下室を繋ぐ階段の、一番下の段に座っている。
中央の男の像から布をとり、足元の水瓶の中で軽く洗ってから絞る。うつむく像の汚れた足を洗うと、ちゃりん、と麻の布の中から音がした。
像がつくる円の中から、ツァックは出る。少年は暗い顔で立ち上がった。
少年に先導され、地下室から出ようとした刹那、ツァックの背後でがらがらとなにかが崩れる音がする。