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文字数 1,252文字
輪が引っ張られたことで縄が落ち、梯子が出現している。天井の一部の板が外れ、床に落下していた。
不安定な縄梯子を、ツァックは上がっていく。少年は部屋で待たせておくつもりだったが、不安そうな顔をしていた子どもは置いて行かれることを嫌がったらしく、後ろをついてきた。
用途不明の家具らしきものや木片が乱雑に押しこまれている中で、異彩を放っているのが青白く発光する少女の像だった。両手で桶を持った白い像は、どういうわけか全裸だ。
背中に責めるような視線を感じつつ、室内を調べていたツァックは白い布を発見した。
ばさりと広げた大きな白い布で、ツァックは少女像の細い体を覆う。
視界の端、桶の中で、じわりとなにかが滲み出た。それはみるみるうちに量を増し、やがて桶がいっぱいになったところで停止する。
柔らかな香りをほのかに漂わせている香油を、がらくたの中から発見した杯ですくう。
いつの間にか背後から少年の姿が消えていた。片手に香油が入った杯を持って縄梯子を下りると、部屋の隅で膝を抱えているのが見える。