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文字数 473文字



立ち入り禁止という言葉を
初めて覚えた子供の頃に
なんだかワクワクさせられてた
ダメだよと言うママの言葉は
隣に大人の扉があるようで
ゲーム以外のドキドキが
待ってるような気がして
いつも暗闇の向こう側を
覗き込んでは怒られてた
大人になればなるほどに
その向こう側は怖いものに変わった
オモテの綺麗なものしか
見てこなかったから
暗闇の向こう側を覗いたら
戻ってこれない気がした
いつしかオトナを満喫して
そんな暗闇すら気付かずに
ただなんとなく楽しく生きてきた
なんの不安もなくなんの危機感もなく
僕は平和に体たらくな大人に育った
周りの多くも似たり寄ったりだったから
不思議とも違和感もなく
それが当たり前だった
あの日が来るまでは
あの日は突然だった
明と暗とが隣り合わせに
日常の中に広がった
しばらくそれは当たり前に続いて
そしてそれぞれの日常が
新しく始まった時
立ち入り禁止がまた現れた
太陽の下のその場所は
みる限りは何も変わらないのに
近くて遠い場所になった
手を伸ばしても触れることのできない
そんな場所がラインひとつで
仕切られて閉ざされていく
正解がない世の中にある
立ち入り禁止はいつもどこかに
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